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2015年5月21日発売

解放出版社

出版社名ヨミ:カイホウシュッパンシャ

解放の文学 100冊のこだま

100冊のこだま
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内容紹介
差別からの解放を視座に、日本を中心に韓国などアジア諸国を含めた100冊の近現代の文学作品を読み解く。
藤村『破戒』をはじめ文学に人間の尊厳を守る真の解放を探る試み。
目次
はじめに
序……
『破戒』から100年― 丑松は何を残したか

1 近代への目覚め……
明治の曲がり角に反応 石川啄木 短歌『九月の夜の不平』
大逆事件の鋭利な弁護 平出修『逆徒』
大逆事件と向き合う 森鴎外 短編『沈黙の塔』
明治の新しい女を造型 森田草平『煤煙』
自然を介した人間成長 長塚節『土』
「愛のかたち」の末路 有島武郎『或る女』
新しい男女観の実践 武者小路実篤『世間知らず』

2 束縛への挑戦……
「国家犯罪」にあえぐ群像 田中伸尚『大逆事件』
時代思想への希求 有島武郎 評論『宣言一つ』
人間の尊厳への矜持 金子文子 獄中手記『何が私をこうさせたか』
過酷労働に一抹の希望 小林多喜二『蟹工船』
「冬の時代」抵抗の流儀 黒岩比佐子『パンとペン』

3 戦時下抵抗の形……
貫く人権への執着 山代巴『囚われの女たち』
反戦の若者に光 猪野睦『埋もれてきた群像』
軍隊で廉恥の思想を貫く 大西巨人『神聖喜劇』
「転向作家」の実像を発掘 大家眞悟『里村欣三の旗』
ゆるがない言動 井伏鱒二『徴用中のこと』

4 戦場の心……
戦争体験の冷めた情念 大岡昇平『レイテ戦記』
「戦場俳句」の半世紀の軌跡 鈴木六林男『鈴木六林男全句集』
文学を覆う時代の力 井上光晴『ガダルカナル戦詩集』
「戦争」に迫る新たな試み 百田尚樹『永遠の0(ゼロ)』
 戦無世代による戦争小説 古処誠二『線』
特攻死の意味をみつめる 吉田満『戦艦大和の最期』
「声なき伝言」を聴くには 江成常夫 写真集『鬼哭の島』
「戦場」も時代の延長 火野葦平ら『戦争×文学』

5 被爆体験の凝視……
怒りが導いた反核 峠三吉『原爆詩集』
原爆の記憶を絶やすまい 正田篠枝 原爆歌集『さんげ』
極限での人間性を凝視 井伏鱒二『黒い雨』
原爆文学に被爆2世の眼 青来有一『爆心』
執拗に訴える被爆体験 中沢啓治『はだしのゲン』
記憶の風化に抗う志 長津功三良 原爆詩集『影たちの葬列』
記憶が醸す反原爆 原爆の子 きょう竹会編『「原爆の子」その後』
核状況への多元的な視野 小田実『HIROSHIMA』

6 戦後思想の形成……
堅持した市民的良識 大佛次郎『敗戦日記』
ひたすらなる生き方 中野鈴子 詩集『花もわたしを知らない』
戦後思想をどう持続したか 大江健三郎『飼育』
政治の季節の青春像 柴田翔『されどわれらが日々――』
「わが解体」へとすすむ思想 高橋和巳『悲の器』
行動的知識人を追求 真継伸彦『光る聲』
「平和」への静かな戦い 小田実『終らない旅』
戦場をどう受け止めるか 辻井喬『終わりからの旅』
試される生活者の目線 井上ひさし『夢の痂』など3部作

7 植民地の傷痕……
南洋に果てた少女の煉獄 プラムディヤ・アナンタ・トゥール『日本軍に棄てられた少女たち』
植民地下の抒情を質す 金時鐘『再訳 朝鮮詩集』
「国民詩人」の気高さの根 宋友恵『尹東柱評伝』
韓国・済州島4・3事件後の生き方 金石範『地底の太陽』
もう一つの敗戦体験 金時鐘 詩集『失くした季節』

8 戦争体験の座標……
気概ある詩の落とし穴 高村光太郎 詩集 『典型』
兵隊作家の戦後とは 火野葦平『革命前後』
天皇制と向き合う 城山三郎『大義の末』
「戦後」を持続させる精神 目取真俊『水滴』
「戦場」が蓄積した島 大城立裕『普天間よ』
人間神の「時代精神」に抗う 大江健三郎『水死』
「戦争の記憶」の真摯な追求 井上俊夫 詩集『八十六歳の戦争論』
天皇の戦争責任は明かされたか 赤坂真理『東京プリズン』

9 アジアの叫び……
抵抗を支える誇り プラムディヤ・アナンタ・トゥール『人間の大地』
民族運動のよりどころ プラムディヤ・アナンタ・トゥール『人間の大地』4部作
従順につけいる圧政 オム・ソンバット『地獄の一三六六日』
山の民の誇りを明示 トパス・タナピマ『最後の猟人』
夢つなぐ森のある暮らし アジジ・ハジ・アブドゥラー『山の麓の老人』
椰子労働「解放」の途上で マァゥン・マァゥン・ピュー『初夏 霞立つ頃』
「西洋」とイスラム精神の葛藤 オルハン・パムク『雪』

10 隣国の模索……
体験作家による貴重な証言 玄基榮『地上に匙ひとつ』
行動とともにある詩 高銀『高銀詩選集』
「世界市民」への視野を拓く 黄晳暎『パリデギ』
家族の絆とは何か 申京淑『母をお願い』
不正に立ち向かう力 孔枝泳『トガニ』
言論監視下での体制批判 莫言『豊乳肥臀』
厄災に託した寓意 閻連科『丁庄の夢』

11 古層の発見……
土俗の闇に戦慄する心 柳田国男『遠野物語』
アイヌへの清冽な挽歌 鶴田知也『コシャマイン記』
琉球文化の底流を探る 池上永一『黙示録』

12 人間解放の希求……
「人間の尊厳」への渇仰 西光万吉起草「水平社宣言」
栗須七郎への追慕 鄭承博『水平の人』
「人間平等」を掲げた底力 住井すゑ『橋のない川』
「解放」への情熱の転身 朝治武『差別と反逆―平野小剣の生涯』
差別とたたかう原点は 土方鐵『地下茎』
「路地」に何を発見するのか 中上健次『枯木灘』
「屠畜場」への偏見に挑む 佐川光晴『牛を屠る』
「在日」との溝を凝視 藤代泉『ボーダー&レス』
部落から何を学ぶか 野間宏『青年の環』

13 厄災からの救済……
「震災後」を生きるとは 木辺弘児『無明銀河』
業苦の果てに「聖」を見る 石牟礼道子『苦海浄土』
震災に対峙するためには 辺見庸 詩集『眼の海』
震災を詠む短詩形の意地 歌集『震災三十一文字』
震災の絶望と希望 重松清『希望の地図』
被災地を生き延びるメルヘン 池澤夏樹『双頭の船』
新手法による真実の解放 ハッピー『福島第一原発収束作業日記』

14 状況への肉迫……
魔女裁判への危険を解明 鎌田慧『橋の上の「殺意」』
「悪」なるものへの復讐 吉田修一『悪人』
地方に「生きる意味」とは 佐藤泰志『海炭市叙景』
異世界はどうなるか 村上春樹『1Q84』
「死」を解き明かせるか 平野啓一郎『空白を満たしなさい』
言葉による尊厳を明かす 岩城けい『さようなら、オレンジ』

15 近未来の像……
仮想空間での人間造形 眉村卓『司政官』
地球が主役の時代に 小松左京『日本沈没』
試される戦争への想像力 三崎亜記『となり町戦争』
「限定戦争」は可能なのか 有川浩『図書館戦争』シリーズ
流れる「時間」を慈しむ力 柴崎友香『わたしがいなかった街で』
核のない地球は幻か 原民喜「心願の国」

『破戒』をめぐって……
ルポ 『破戒』のふるさとを歩く
文学史に見る『破戒』

あとがき
掲載一覧
著者略歴
音谷 健郎(オトダニ タツオ otodani tatsuo)
1944年、広島県庄原市生まれ。 広島大学政経学部卒、朝日新聞記者を経て帝塚山学院大学非常勤講師。 現在、大阪文学学校講師。著書に『文学の力』(人文書院、04年刊)がある。
タイトルヨミ
カナ:カイホウノブンガク
ローマ字:kaihounobungaku

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