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2023年11月30日発売

九州大学出版会

出版社名ヨミ:キュウシュウダイガクシュッパンカイ

中国産後ケア文化の変容

産業化する伝統文化とその担い手たち
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内容紹介
 近年、文化人類学、民俗学、福祉学、医学などの視点に立った出産・育児(以下産育)研究が盛んに行われている。これらの産育研究では、妊娠・出産のみならず、各国の伝統的な産後の養生習慣についても言及されている。その背景として現代社会が出産前後の女性の心身や子育てをめぐる様々な困難や問題に直面するなかで、あらためてかつての産後養生習俗の意義や役割を見直そうとする学術的、社会的な関心の高まりがあると思われる。また、これらの伝統習俗の多くは現代社会の医療化の脈絡のなかで新たな装いを伴って受け継がれており、産育をめぐる習俗や文化研究においても興味深いテーマを提供している。
本書では中国都市部における伝統的な産後の養生習慣である「月子」を取り上げ、中国の都市的文脈における伝統習俗の継承と新たな展開およびそれを担う家事労働者である「月嫂」の実践を描くことを通して、中国都市部の新しい産育文化である「科学月子」の形成過程とそこでの「月嫂」の役割を明らかにすることを試みるものである。
目次
まえがき
資料

序 章
 第1節 はじめに
 第2節 先行研究の検討
  1. 産後養生習慣に関する研究
  2. 「月子」習俗とその変容についての先行研究
  3. 「月嫂」についての先行研究
 第3節 分析枠組み
  1. 実践と実践コミュニティ
  2. 実践コミュニティにおける権力作用
 第4節 調査概要
  1. 調査地概要
  2. 調査方法
  3. 調査に至った経緯
 第5節 本書の構成

第1章 「科学月子」の表象と言説
 第1節 ガイドブックに描かれる「科学月子」
 第2節 育児雑誌に描かれた「科学月子」
  1. 中国知網で検索した育児雑誌における「科学月子」
  2. 1冊の育児雑誌からみる「科学月子」
 第3節 産育企業と「科学月子」
  1. Johnson & Johnson と「科学月子」、「科学育児」
  2. 「広禾堂」の科学的な段階式「月子料理」
 第4節 小括

第2章 「月嫂」の職業化と資格化のプロセス──上海市を中心に──
 第1節 中国における「月嫂」の職業化と資格化の概要
 第2節 上海市における「月嫂」の職業化と資格化のプロセス
  1. 病院による「月嫂」養成と資格の授与:1993年〜
  2. トレーニングセンターによる「月嫂」養成と資格の授与:1995年〜
  3.  「月嫂」資格の格上げ:2006年〜
 第3節 「月嫂」になる方法──上海好事トレーニングセンターを中心に
  1. 就労要因
  2.  「月嫂」になる方法
  3.  「月嫂」の雇用方法、費用など
 第4節 小括

第3章 上海好事トレーニングセンターにおける「月嫂」養成の実態
 第1節 上海好事トレーニングセンターの概要
 第2節 上海好事トレーニングセンターにおける養成内容──教科書から──
 第3節 上海好事トレーニングセンターにおける養成の実態──座学と実技──
 第4節 上海好事トレーニングにおける特別訓練
 第5節 小括

第4章 病院における研修の実態
 第1節 上海市虹口区婦幼保健院と研修の概要
 第2節 病院研修における「現場知」の習得
  1. 医療に関わる「現場知」の習得
  2. 「現場地」としての産育情報の獲得
 3. 日常的なケアにおける「学校知」と「現場知」の「すりあわせ」
第3節 育児の習俗への対処
第4節 産育実践の形成における差異化
第5節 小括

第5節 「月嫂」による産育実践の遂行と雇用主による受け入れ
 第1節 各職場における「月嫂」の産育実践
  1. 上海市虹口区婦幼保健院における「月嫂」の産育実践
  2. 「月子中心」における「月嫂」の産育実践
  3. 雇用主宅における「月嫂」の産育実践
 第2節 「月嫂」の行う産育実践──医、食、住、衛生、医療を中心に──
  1. 「衣」に関する産育実践
  2. 「食」に関する産育実践
  3. 「住」に関する産育実践
  4. 「衛生」に関する産育実践
  5. 「医療」に関する産育実践
 第3節 雇用主の受け入れ
  1. 「月嫂」の雇用の実態
  2. 雇用主による「月嫂」の受け入れ
  3. 雇用主と「月嫂」の葛藤
 第4節 「月嫂」の戦略
  1. 主導権の発揮
  2. 言葉による専門性の誇示
  3. 技術の駆使
 第5節 小括

終章 「月嫂」の産育実践と「月子」の変容、再構築をめぐる考察
 第1節 「月嫂」の産育実践の形成と遂行
  1. 「学校知」の習得と「まなざし」の獲得
  2. 「現場知」をめぐる産育実践の形成と遂行
  3. 産育実践の「創造」
 第2節 「月子」の変容と再構築
  1. 「月子」の資格化
  2. 「月子」の医療化
  3. 「月子」の「早期教育」化
  4. 「月子」の商業化
  5. 「科学月子」における伝統の創出
 第3節 「月嫂」の産育実践における権力関係
 第4節 本書の意義と展望

 参考文献
 索 引
著者略歴
翁 文静( )
タイトルヨミ
カナ:チュウゴクサンゴケアブンカノヘンヨウ
ローマ字:chuugokusangokeabunkanohenyou

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