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2024年4月1日発売

松籟社

出版社名ヨミ:ショウライシャ

狂気のイメージ

シュニッツラー、デーブリーン、ツヴァイク
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内容紹介
20世紀初頭、狂気を称揚する表現主義的表象に疑いのまなざしを向けた作家・作品を読みなおし、「正常」と「異常」の境界を撹乱するオルタナティブの狂気イメージを探る。
目次
序章 ドイツ語文学における「狂気」表象の変遷―モダニズムの時代まで
1 はじめに
2 「理性主義」の時代
3 市民社会と狂気
4 ロマン主義の時代と二分法
5 リアリズムの時代における狂気モチーフの衰退
6 変質論と「人生の精神医学化」
7 再接近する芸術と狂気
8 モダニズムの時代とその後

第1章 表現主義文学とナチス・ドイツ―「精神疾患」イメージの類似性
1 はじめに―表現主義の狂気表象とナチス・ドイツ
2 精神医学の歴史とナチス・ドイツ
3 表現主義文学における狂気表象の検討
4 「表象=代理」批判を受けて
5 本書の試み―シュニッツラー、デーブリーン、ツヴァイク

第2章 アルトゥル・シュニッツラー『闇への逃走』における精神医学批判―「体系」へ逃走する精神医学
1 はじめに―シュニッツラーの精神医学批判とラインバッハ
2 先行研究の状況―「自由主義」対「決定論」の図式の限界
3 見逃されてきた転換点
4 ラインバッハ再考
5 おわりに―「普通の人」が狂うことの意味

第3章 シュニッツラーの医学テクストにおける「健康」と「病」―クラフト゠エビングとロンブローゾへの懐疑的見解
1 はじめに―精神医学と侵食される自由意志
2 アルトゥル・シュニッツラーと精神的な「健康」と「病」
3 クラフト゠エビング『性的精神病質の領域における新しい研究』に寄せた書評
4 ロンブローゾ『天才論』に寄せた書評
5 おわりに―病人は怠け者か

第4章 アルフレート・デーブリーン『たんぽぽ殺し』と精神医学―理解可能の「精神疾患者」と理解不可能の「健常者」
1 はじめに―「社会に貢献する健康な人間」のモデル
2 『たんぽぽ殺し』と表現主義的狂気観―「称揚」か「軽蔑」か?
3 『たんぽぽ殺し』成立の背景
4 『たんぽぽ殺し』読解
5 『ベルリン・アレクサンダー広場』との対比
6 おわりに―ホッヘのモデルの否定

第5章 シュテファン・ツヴァイクの枠物語とフロイトの精神分析―話を聴く語り手
1 はじめに―ツヴァイクの要らない「枠」とフロイトの精神分析
2 フロイトの勇気、フロイトの理論
3 類似と違い
4 主体性をめぐって
5 おわりに―剥奪される医師の特権と遍在する狂気

終章 無謬の解は存在するか


あとがき
参考文献一覧
人名索引
著者略歴
籠 碧(カゴ ミドリ kago midori)
1990年愛媛県生まれ。2018年京都大学文学研究科研究指導認定退学。博士(文学)。専門は近現代ドイツ語文学。2022年度より津田塾大学専任講師。論文に「話を聴く語り手―シュテファン・ツヴァイクの枠物語とフロイトの精神分析」「表現主義文学とナチス・ドイツにおける「精神疾患」イメージの類似性」など。シュテファン・ツヴァイク『聖伝』(幻戯書房)を共訳。
タイトルヨミ
カナ:キョウキノイメージ
ローマ字:kyoukinoimeeji

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