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定価:2,200円(2,000円+税)
判型:四六
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内容紹介
哲学と医療の問題を「人間観」を基軸として考察
哲学と生命倫理学における人間観
人間観を基軸に考察したカント哲学から、
生命倫理学の倫理原則
そして終末期医療、生殖補助医療
さらに高齢者医療・福祉の問題まで
哲学と生命倫理学における人間観
人間観を基軸に考察したカント哲学から、
生命倫理学の倫理原則
そして終末期医療、生殖補助医療
さらに高齢者医療・福祉の問題まで
目次
引用について
略号一覧
序
第一部 哲学における人間観
第一章 「幸福」と「道徳」
―一七八〇年代初頭までの「判断力」をめぐるカントの思想形成過程
はじめに
一 「感情と結びつく」という判断力の側面
――「人生全体」という観点から考える
二 「完全性」概念と関連づけられた判断力概念
――目的論的思考において「事物の価値を判断する」側面
1 「世間的怜悧」としての側面
2 「目的としての完全性」の側面
三 一七八〇年代初頭頃における判断力をめぐる思想発展
1 「幸福」をめぐる思想の発展
2 「世間的怜悧」に基づく判断力
四 「道徳」に基づく全体に関する判断
――「世界全体」を視野に入れるという行為規則の強調
おわりに
第二章 「人格の内なる人間性」についてのカントの思想形成
――「個人」の道徳から「社会」の道徳へ
はじめに
一 一七七〇年代の人間学講義における「人間性」の概念
――「人間性の目的」とは何か
二 人間学のレフレクシオーン
――同時代人における思想上の源泉
三 一七八〇年代における「人間性」の概念
――上位理念としての「道徳化」
四 道徳哲学講義における「人間性」の概念
――「人間性」の有する二つの側面‥「脆弱性」と「尊厳」
おわりに
第二部 生命倫理学における人間観
第三章 いま生命倫理学において求められる人間観とは
はじめに
一 アメリカにおける生命倫理学成立の背景
二 英米型生命倫理学が意思表明できない存在を扱う際の特徴
三 生命に関する諸問題を巡る新たな動き
――人間の「脆弱性」の強調
四 現代ドイツ倫理学における「相互依存」の人間観とは
――着床前診断とエンハンスメントを中心に
1 自然のもつ偶然性(ハーバーマス)
2 行為者の人間観(ミュラー)
3 関係主義の生命倫理学
おわりに
第四章 ターミナルケアにおける意思決定のあり方
――「自律」か「相互依存」か
はじめに
一 「自律」を巡るドイツの議論
二 日本における終末期医療の現状
三 アメリカ型の生命倫理とは一線を画するドイツのあり方
四 日本における終末期医療政策への提言
おわりに
第五章 人間関係から見た安楽死是非の再考
はじめに
一 安楽死に関する日本における代表的論者の見解
1 「耐え難い苦痛」緩和のための「積極的に死をもたらす行為」容認の論理的可能性
2 「苦痛緩和」のために死を招来させる行為の倫理的否定
3 人間関係という新たな論点
二 積極的臨死介助容認論の人間関係に及ぼす影響
1 「耐え難い苦痛」緩和のための積極的臨死介助容認論への批判(ライスト、ミュラー)
2 「自律原理」に基づく積極的臨死介助容認論(ディートリッヒ)
三 医療者と患者の信頼関係が成立する地平(ツィーガーら)
おわりに
第六章 ヒト胚研究を巡る「人の生命」と「人類への利益」についての哲学的考察
はじめに
一 日本における報告書、及び共同意見書について
二 ドイツにおけるヒト胚研究を巡る近年の議論
――日本との共通点と相違点
三 メルケルとヒューブナー
1 メルケル――ヒト胚の法的地位論に基づく議論
2 ヒューブナー――「対象」となる側の権利要求という視点からの考察
四 ミュラー――対象を取り扱う「行為者」という視点からの考察
1 道徳的責任における段階づけ
2 「全面的道具化」に至るまでの「道具化の度合い」の段階づけ
おわりに
第三部 高齢者の生きる社会
第七章 家族等の死について
――人間関係から見たグリーフケア
はじめに
一 グリーフケアにおける問題点
1 グリーフケアに関するWHOの声明、新聞記事
2 現代の代表的論者の見解と、そこからみえてくる問題点
二 「個人の問題」としての苦悩について
――シェーラーによる哲学的分析
1 シェーラーにおける「苦悩の分析」
2 「キリスト教苦悩論」の哲学的分析
3 二つの「苦悩の意味」
4 近代以降の文明人にとっての「苦悩の意味」
三 苦悩における「共同体のあり方」
――シュタインによる「人間の本性」の哲学的分析
1 人間の本性
2 他者との存在の分かち合いへの道
おわりに
第八章 弱い立場の人々を支える社会の倫理
――「強さの倫理」と「弱さの倫理」
はじめに
一 アメリカの代表的論者の見解
1 カラハンによる「自立」と「依存」の分析
2 ヌスバウムによる「自立」と「脆弱性」の分析――スティグマからの脱却の道
二 近代以降の文明社会と苦悩、及び苦悩に苦しむ人々に寄り添うための道
――シェーラーによる哲学的分析
三 共同体の生に目覚める道
――シュタインによる哲学的考察
1 悲嘆者に寄り添うことを困難にしている要因
2 他者受容への道
おわりに
第九章 共同体形成の困難な社会
――高齢者との関連において
はじめに
一 共同体形成の問題について
1 対話の閉鎖と再解放――テイラーによる哲学的分析
2 高齢者に対するスティグマ――ヌスバウムによる哲学的分析
3 共同体回復への道――シュタインによる哲学的分析
二 独居高齢者のインタビュー調査
1 調査の方法
2 結果
3 考察――共同体への希求と共同体からの離脱
おわりに
結語
あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
略号一覧
序
第一部 哲学における人間観
第一章 「幸福」と「道徳」
―一七八〇年代初頭までの「判断力」をめぐるカントの思想形成過程
はじめに
一 「感情と結びつく」という判断力の側面
――「人生全体」という観点から考える
二 「完全性」概念と関連づけられた判断力概念
――目的論的思考において「事物の価値を判断する」側面
1 「世間的怜悧」としての側面
2 「目的としての完全性」の側面
三 一七八〇年代初頭頃における判断力をめぐる思想発展
1 「幸福」をめぐる思想の発展
2 「世間的怜悧」に基づく判断力
四 「道徳」に基づく全体に関する判断
――「世界全体」を視野に入れるという行為規則の強調
おわりに
第二章 「人格の内なる人間性」についてのカントの思想形成
――「個人」の道徳から「社会」の道徳へ
はじめに
一 一七七〇年代の人間学講義における「人間性」の概念
――「人間性の目的」とは何か
二 人間学のレフレクシオーン
――同時代人における思想上の源泉
三 一七八〇年代における「人間性」の概念
――上位理念としての「道徳化」
四 道徳哲学講義における「人間性」の概念
――「人間性」の有する二つの側面‥「脆弱性」と「尊厳」
おわりに
第二部 生命倫理学における人間観
第三章 いま生命倫理学において求められる人間観とは
はじめに
一 アメリカにおける生命倫理学成立の背景
二 英米型生命倫理学が意思表明できない存在を扱う際の特徴
三 生命に関する諸問題を巡る新たな動き
――人間の「脆弱性」の強調
四 現代ドイツ倫理学における「相互依存」の人間観とは
――着床前診断とエンハンスメントを中心に
1 自然のもつ偶然性(ハーバーマス)
2 行為者の人間観(ミュラー)
3 関係主義の生命倫理学
おわりに
第四章 ターミナルケアにおける意思決定のあり方
――「自律」か「相互依存」か
はじめに
一 「自律」を巡るドイツの議論
二 日本における終末期医療の現状
三 アメリカ型の生命倫理とは一線を画するドイツのあり方
四 日本における終末期医療政策への提言
おわりに
第五章 人間関係から見た安楽死是非の再考
はじめに
一 安楽死に関する日本における代表的論者の見解
1 「耐え難い苦痛」緩和のための「積極的に死をもたらす行為」容認の論理的可能性
2 「苦痛緩和」のために死を招来させる行為の倫理的否定
3 人間関係という新たな論点
二 積極的臨死介助容認論の人間関係に及ぼす影響
1 「耐え難い苦痛」緩和のための積極的臨死介助容認論への批判(ライスト、ミュラー)
2 「自律原理」に基づく積極的臨死介助容認論(ディートリッヒ)
三 医療者と患者の信頼関係が成立する地平(ツィーガーら)
おわりに
第六章 ヒト胚研究を巡る「人の生命」と「人類への利益」についての哲学的考察
はじめに
一 日本における報告書、及び共同意見書について
二 ドイツにおけるヒト胚研究を巡る近年の議論
――日本との共通点と相違点
三 メルケルとヒューブナー
1 メルケル――ヒト胚の法的地位論に基づく議論
2 ヒューブナー――「対象」となる側の権利要求という視点からの考察
四 ミュラー――対象を取り扱う「行為者」という視点からの考察
1 道徳的責任における段階づけ
2 「全面的道具化」に至るまでの「道具化の度合い」の段階づけ
おわりに
第三部 高齢者の生きる社会
第七章 家族等の死について
――人間関係から見たグリーフケア
はじめに
一 グリーフケアにおける問題点
1 グリーフケアに関するWHOの声明、新聞記事
2 現代の代表的論者の見解と、そこからみえてくる問題点
二 「個人の問題」としての苦悩について
――シェーラーによる哲学的分析
1 シェーラーにおける「苦悩の分析」
2 「キリスト教苦悩論」の哲学的分析
3 二つの「苦悩の意味」
4 近代以降の文明人にとっての「苦悩の意味」
三 苦悩における「共同体のあり方」
――シュタインによる「人間の本性」の哲学的分析
1 人間の本性
2 他者との存在の分かち合いへの道
おわりに
第八章 弱い立場の人々を支える社会の倫理
――「強さの倫理」と「弱さの倫理」
はじめに
一 アメリカの代表的論者の見解
1 カラハンによる「自立」と「依存」の分析
2 ヌスバウムによる「自立」と「脆弱性」の分析――スティグマからの脱却の道
二 近代以降の文明社会と苦悩、及び苦悩に苦しむ人々に寄り添うための道
――シェーラーによる哲学的分析
三 共同体の生に目覚める道
――シュタインによる哲学的考察
1 悲嘆者に寄り添うことを困難にしている要因
2 他者受容への道
おわりに
第九章 共同体形成の困難な社会
――高齢者との関連において
はじめに
一 共同体形成の問題について
1 対話の閉鎖と再解放――テイラーによる哲学的分析
2 高齢者に対するスティグマ――ヌスバウムによる哲学的分析
3 共同体回復への道――シュタインによる哲学的分析
二 独居高齢者のインタビュー調査
1 調査の方法
2 結果
3 考察――共同体への希求と共同体からの離脱
おわりに
結語
あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
著者略歴
船木 祝(フナキ シュク funaki shuku)
1963年生まれ。学習院大学人文科学研究科哲学専攻博士後期課程単位取得満期退学。トリーア大学Ph. D.(哲学)。現在、札幌医科大学医療人育成センター准教授。哲学、倫理学専攻。
著書に、Kants Unterscheidung zwischen Scheinbarkeit und Wahrscheinlichkeit, Frankfurt am Main: Peter Lang Verlag, 2002、『近代からの問いかけ――啓蒙と理性批判』(共著、晃洋書房、2004年)、『医学生のための生命倫理』(共著、丸善出版、2012年)、『教養としての生命倫理』(共著、丸善出版、2016年)、『サイエンスとアートとして考える生と死のケア――第21回日本臨床死生学会大会の記録』(共著、エム・シー・ミューズ、2017年)、分担訳書に『生命倫理百科事典』(丸善出版、2007年)ほか。
タイトルヨミ
カナ:ヒビキアウテツガクトイリョウ
ローマ字:hibikiautetsugakutoiryou
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