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2021年3月3日発売

花鳥社

中世「歌学知」の史的展開

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内容紹介
和歌をめぐる学的営為の実態

歌学とは和歌という文芸を対象とする学問である。
本書では、歌学において創出された知識全般を「歌学知」と呼ぶ。
聖典とする『古今集』に関する注説はじめ、難義語の注釈、歌会作法、和歌の詠み方、勅撰集の撰集故実、和歌史の知識、歌人に纏わる説話、審美的歌論など、様々な内容の知が「歌学知」として捉えられる。
その具体相を探るため、種々の歌学書を調査・読解し、さらには説話文学・仏教文学・思想史学・書誌学といった周辺諸学にも目を配る。
どの時代にどのような「歌学知」が、如何なる意識のもとに生み出されたのか、またどのような意識で利用され、変容していったのか——
動態を明らかにする。
目次
 凡例

序章

第Ⅰ部 初期御子左家の歌学

第一章 藤原定家における三代集注釈の位相—『僻案抄』を中心に—
 一 藤原定家の古典研究と三代集注釈
 二 定家の証本書写
 三 定家本三代集と『僻案抄』
 四 和歌書式から
 五 六条藤家歌学と定家の三代集注釈
 六 『僻案抄』の位置

第二章 藤原俊成・定家の『奥義抄』認識
 一 御子左家歌学と六条藤家歌学の関係をめぐって
 二 『六百番歌合』俊成判と顕昭『六百番陳状』
 三 『三代集之間事』『僻案抄』の『後撰集』九一六番歌注の清輔・『奥義抄』認識
 四 『僻案抄』の『古今集』六六九番歌注をめぐって
 五 定家歌学における六条藤家説の取り扱い

第Ⅱ部 鎌倉後期成立の歌学秘伝書

第三章 歌学秘伝書諸本研究の課題―『悦目抄』広本と略本の関係を例として―
 はじめに―歌学秘伝書研究の課題
 一 歌学秘伝書の諸本のあり方
 二 『悦目抄』の広本と略本に関する先行研究
 三 『悦目抄』広本と略本の先後関係の検討①―『和歌三重大事』との関係
 四 『悦目抄』広本と略本の先後関係の検討②―跋文の異同から
 おわりに―今後の歌学秘伝書諸本研究のために

第四章 『和歌無底抄』諸本の考察
 はじめに―『和歌無底抄』という歌学書
 一 序文について
 二 『和歌無底抄』諸本に関する先行研究と問題点
 三 『和歌無底抄』諸伝本について
 四 『和歌無底抄』諸本の内容・奥書比較
 五 未改編奥書本と改編奥書本
 六 改編奥書本と挿入された『悦目抄』
 七 冷泉流の書として
 八 『和歌無底抄』③「古今和歌序」本文から考える
 おわりに―諸本の図式的整理と今後の課題

第五章 秘伝的歌学知と歌学書の創出・伝授―『和歌古今灌頂巻』『悦目抄』を中心に―
 はじめに
 一 歌学秘伝と仏教・密教
 二 為顕流『和歌古今灌頂巻』
 三 為世流『悦目抄』
 四 生活と文化の歴史としての歌学秘伝―本章の結びとして

第Ⅲ部 南北朝期歌学書『或秘書之抄出』考―秘伝的歌学知の展開一斑―

第六章 南北朝期武家歌人京極高秀とその歌学
 はじめに
 一 京極高秀と南北朝後期の歌壇
 二 「散位高秀」は京極高秀か
 三 『或秘書之抄出』
 四 『古今漢字抄』
 五 南北朝期武家歌人の位置―まとめにかえて
 附 高秀の和歌

第七章 『或秘書之抄出』伝本考
 はじめに―『或秘書之抄出』伝本概要
 一 甲類の伝本
 二 乙類の伝本
 三 丙類の伝本
 四 各類の本文異同と考察
 おわりに
 附 資料翻刻(広島大学図書館蔵『或秘書之抄出』)

第八章 歌学知の再生産―『或秘書之抄出』の生成と享受―
 はじめに
 一 成立事情
 二 構成
 三 先行歌学書との関係
 四 『或秘書之抄出』の享受の一面
 五 抄出の様相
 おわりに

第Ⅳ部 室町期冷泉流の『古今集』注釈

第九章 『古今持為注』の資料的性格―真偽の問題を中心に―
 一 汎冷泉流『古今集』注釈の中の『古今持為注』
 二 奥書と注釈者の立場
 三 真偽をめぐる研究史
 四 真作とみる根拠とその検討
 五 仮託とみる根拠とその検討
 六 再び奥書の問題点
 七 古典注釈における持為説
 八 資料としてどのように利用すべきか

第十章 三康文化研究所附属三康図書館蔵『為和秘抄』所収古今注をめぐって
 一 三康図書館蔵『為和秘抄』について
 二 注の基本的方針
 三 どのような立場で書かれているか
 四 注釈者は為和か
 五 室町期における冷泉家流古今注説の展開―四三一番歌注を例に
 六 九六一番歌「ひな」の注をめぐって
 附 資料翻刻(三康図書館蔵『為和秘抄』)

第十一章 上冷泉為広の『古今集』研究に関する一資料―広島大学蔵伝上冷泉為和筆〔江戸前期〕写『古今聞書』所収「後来迎院御注分」―
 一 広島大学蔵伝冷泉為和筆『古今聞書』について
 二 「後来迎院殿御注分」の本文
 三 内容の検討―特に清輔本古今集との関係
 四 清輔本享受の意義

第十二章 『古今和歌集聞書〔冷泉流〕』という注釈書について
 はじめに―冷泉流の『古今集』注釈書
 一 伝本と被注歌
 二 奥書
 三 冷泉流としての性格
 四 成立圏をめぐって―『詞林采葉抄』『六花集注』との関連から
 五 室町後期冷泉家当主による享受―広島大学蔵伝為和筆『古今聞書』行間書入との関係
 おわりに
 附 資料翻刻(京都大学文学研究科蔵『古今和歌集聞書』)

第Ⅴ部 説話と歌学知

第十三章 歌学知としての説話―行基婆羅門和歌贈答説話の変容―
 一 行基婆羅門和歌贈答説話と和歌系テクスト
 二 『輔親集』序における受容
 三 藤原後生「奉賀村上天皇四十御算和歌序」における受容
 四 真名で書かれた仏教的和歌序における受容
 五 定家監督書写本『俊頼髄脳』における行基婆羅門和歌贈答説話の問題点
 六 本章の総括

第十四章 金源三和歌説話と歌学知―「わがひのもと」という詞をめぐって―
 一 歌学研究と説話資料
 二 金源三の和歌説話―『壒嚢鈔』と『雲玉和歌抄』
 附 金源三とは何者か
 三 和歌表現としての「わがひのもと」と「このひのもと」
 四 和歌表現としての「わがくに」と「このくに」
 五 総括と今後の課題

附章 身分と表現の問題をめぐる中世歌学史―歌学書・歌合判詞の言説から―
 一 和歌における身分による表現規制の存在
 二 院政期歌学書・歌合判詞の記述から
 三 鎌倉期歌学書記述から
 四 室町期における展開
 五 何故「室町期」なのか
 六 謙退の精神へ―結びにかえて

終章

 あとがき
 索引(書名・事項名/人名/研究者名(近代以降))
著者略歴
舘野 文昭(タテノ フミアキ tateno fumiaki)
2016年、慶應義塾大学大学院文学研究科(国文学専攻)後期博士課程単位取得退学。 2017年、博士(文学)(慶應義塾大学)。 現在、国文学研究資料館特定研究員。 論文に「『愚秘抄』諸本研究の諸問題―現状と課題をめぐって―」(『国文学研究資料館紀要』46、文学研究編、2020)、「「誤読」された逸話―『古今著聞集』巻第十六・興言利口第廿五「蔵人判官範貞内覧の大臣頼長を見知らざる事」の考察」(『三田国文』56、2012)などがある。
タイトルヨミ
カナ:チュウセイカガクチノシテキテンカイ
ローマ字:chuuseikagakuchinoshitekitenkai

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