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2024年3月31日発売

コトニ社

出版社名ヨミ:コトニシャ

シュテファン・バチウ

ある亡命詩人の生涯と海を越えた歌
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内容紹介
世界をさまよう宿命を背負った詩人バチウの生涯と、大洋を越えてひろがる詩的な連帯の〈世界文学〉をあきらかにする、本格評伝!

ルーマニアからスイス、ブラジルはリオデジャネイロ、ラテンアメリカをへて、シアトル、そしてハワイはホノルルへ——。

そのときどきの政治状況によって生を危ぶまれ、自由と真実をもとめ闘いながら、生涯を誠実な言葉とともに旅すること(亡命)を選んだ詩人バチウ。太平洋の離れにある群島から、海と大陸をこえて世界のあらゆる土地の詩人や作家、芸術家たちを結び、詩にもとづく連帯のネットワークを織りあげた。

詩誌「MELE」(ハワイ語で「詩や歌、祈り」)は、国家や民族の境界に隔てられるはるか手前で、一人ひとりがその生を凝集した言葉を交わしあってできたもの。詩の贈与交換をもとにした小さき〈世界文学〉が、知られざる海にひろがっていた。

世界の周縁に生きた彼を知るものはもはや数少ない。日本に数名、世界を見渡してもごくわずか。しかし彼の成し遂げた仕事の数々は、分断と衝突に満ちた私たちの時代へ、忘れてはならないことを教えている。

本書は、詩人の生きた土地々々へ実際に足を運び、散逸した資料を集め、知人や友人への聞き取りを合わせて研究した成果である。温かみある詩的文体でその生涯と広大にひろがる詩のネットワークを精緻にたどった、世界で初めてのシュテファン・バチウ評伝。

第一部は、ルーマニアからハワイにいたる道行きのなかで失われた時、土地、人々への〈郷愁〉”Dor, Saudade, Aloha”を描きながら、つねに詩とともにあったその生涯を緻密に追った心にせまる伝記。

第二部は、バチウの膨大な業績のなかでもとりわけ重要な詩誌「MELE International Poetry Letter」に焦点をあてる。
その世界大の詩の連帯のネットワークに参加した詩人たちの作品を具体的に取り上げ、それぞれの土地の文学や政治にいかなる価値をもったのかあきらかにする。多なる世界の言葉がひとところに響く複数性の場としてMELEを描きだす。

〈MELE、太平洋は蒼海の彼方に浮かぶ群島から、世界へむけて差し出された手紙――その差出人にも宛名にも、詩が自由と真実、行動、そして革命であることを信じて疑わない、すべてのものたちの名が記されてゆくであろう手紙。そして銘々の渚に立ち、我々は歌う〉(「MELE」のマニフェストより)
目次
手紙Ⅰ



第一部 追想的評伝――シュテファン・バチウの詩の生涯とその〈郷愁〉
 第一章 追想的評伝――「潮の泡はここにたたずみ」Aquí yace la espuma
 第二章 ルーマニア――ブラショフ一九一八―一九三七
 第三章 ルーマニア――ブクレシュティ一九三七―一九四六
 第四章 スイス――ベルン一九四六―一九四九
 第五章 ブラジル――リオデジャネイロ一九四九―一九六二
 第六章 アメリカ――シアトル一九六二―一九六四
 第七章 ハワイ――ホノルル一九六四―一九九三

手紙Ⅱ

第二部 「MELE 詩の国際便」とシュテファン・バチウの「詩の親密圏」
 第一章 自由・真実・行動・革命のうた
 第二章 オウィディウスの末裔たち――ヴィンティラ・ホリア、アンドレイ・コドレスク
 第三章 ウルムズの「寓話」のもとで――ミラ・シミアン・バチウ、ヴィクトル・ヴァレリウ・マルティネスク
 第四章 シャルロ父子のハワイ 島と海と人への憧憬、交感の記憶――ジャン・シャルロ、ドロシー・カハナヌイ、ダリル・ケオラ・カバクンガン、ジョン・シャルロ
 第五章 再び言語が芽吹くための種 ラリー・カウアノエ・キムラのハワイ語詩――ラリー・カウアノエ・キムラ
 第六章 抗う詩、交わされる霊性――トマス・マートン、パブロ・アントニオ・クアドラ
 第七章 リオデジャネイロへのアロハ、路上の石に秘めたサウダージ――カルロス・ドゥルモン・ジ・アンドラージ、バッハ・マイ・ファム・ラーション
 第八章 群島を行き交う希求の手紙

手紙Ⅲ

結びに代えて

〈付録〉『千を超える四行詩』序文 イオアナ・マルジネアヌ・バチウ

謝辞

シュテファン・バチウ著作一覧
主要引用・参考文献リスト
著者略歴
阪本 佳郎(サカモト ヨシロウ sakamoto yoshirou)
1984年、大阪生まれ。2020年、東京外国語大学大学院博士後期課程修了(学術博士 PhD.)。詩人シュテファン・バチウの足跡を追って、ルーマニア(バベシュ・ボヤイ大学文学部客員研究員[2015年3月-9月])、スイス(チューリッヒ大学ロマンス語圏研究所客員研究員[2015年10月-2016年3月)、ハワイ(ハワイ大学マノア校伝記文学研究所客員研究員/皇太子明仁親王奨学生[2017-2019])と移動を続けて調査。バチウと親交を結んだ人々、詩人の愛した土地を訪ね歩き、「MELE:International Poetry Letter」をはじめ散逸した資料を収集。2018年バチウ生誕100周年の記念祭をホノルルと京都にて主催。バチウの足跡を辿る中で出遭った各地の詩人や作家、芸術家たちより作品を募ってできた詩誌「 MELE:ARCHIPELAGO」をバチウへのオマージュとして2019年に刊行した。現在、日本学術振興会特別研究員(PD・立命館大学)。
タイトルヨミ
カナ:シュテファン バチウ
ローマ字:shutefan bachiu

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