近刊検索 デルタ

2014年2月25日発売

明石書店

出版社名ヨミ:アカシショテン

ホームレスと都市空間

収奪と異化、社会運動、資本‐国家
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内容紹介
ホームレスの人々は〈収奪〉〈異化〉〈闘い〉を都市空間の中で経験する。本書は彼らの置かれた状況、彼らの立場に立つ都市社会運動、それらを規定する資本‐国家の動態を単なる現場報告として終わらせることなく、理論的解釈枠組を提示しつつ解明する。
目次
序論――本書の基本的な考え方と概念


第Ⅰ部 収奪と異化
 第Ⅰ部の展望

第1章 ホームレスの人びとの形成と生活――若年層に着目して
 第1節 はじめに――若年ホームレスの人びとという「問い」
 第2節 量的調査から分かる特徴――中高年層との比較
 第3節 若年ホームレスになるまで――生活史とその再構成・解釈(1)
 第4節 若年ホームレスになってから――生活史とその再構成・解釈(2)
 第5節 結語

第2章 ホームレスの人びとの「居住」と公共空間――「ホームレス問題」のもっとも微細な部分
 第1節 はじめに――公共空間で破裂する住宅危機
 第2節 空間領有とその〈異化〉――公共空間の使用価値
 第3節 ホームレスの人びとの居住が管理されるプロセス――A市の事例研究
 第4節 ルールの全体と生存戦略――微細なルールが公共空間に埋め込まれる
 第5節 結語

第3章 ホームレスの人びとの「仕事」と公共空間――都市雑業の〈異化〉による排除
 第1節 はじめに――公共空間における交換価値の追求
 第2節 資源ごみへのグローバルな需要と公的回収の動揺――グローバリゼーションのなかで
 第3節 ホームレスの人びとの仕事が排除される――横浜市と平塚市の比較研究
 第4節 都市社会運動の介入――その役割と限界
 第5節 生活の圧迫と適応の模索
 第6節 結語


第Ⅱ部 都市社会運動
 第Ⅱ部の展望

第4章 一九七〇年代.一九八〇年代の寿地区――都市社会運動(1)
 第1節 はじめに――グローバルな危機とローカルな運動
 第2節 一九七〇年代の寿地区におけるホームレスの人びと――危機に立ち向かう寄せ場労働者
 第3節 寿生活館の占拠による連帯の創出――シェルター・炊き出し・パトロール
 第4節 横浜市と神奈川県への働きかけ――パン券・宿泊券・年末一時金
 第5節 寿日雇労働者組合の結成と全国的な連帯――内とつながる、外とつながる
 第6節 当局との対立の激化――寿生活館の占拠をめぐる政治
 第7節 賃金をめぐる差別の重層構造と対資本――労働現場=「生産点」での連帯へ
 第8節 自主管理の終わりと合意形成――一九七〇年代の運動が残した遺産
 第9節 一九八〇年代の寿地区で「市民」が立ち上がる――「横浜・『浮浪者』連続殺傷事件」の後で
 第10節 結語

第5章 一九九〇年代の寿地区と神奈川エリア――都市社会運動(2)
 第1節 はじめに――ローカルな運動の再活性化
 第2節 一九九〇年代のホームレス急増の衝撃――寿地区とその周辺におけるホームレスの人びとの急増と暴行事件、他者化の空間政治の萌芽
 第3節 激しい暴力と排除に抗するホームレス運動――抵抗運動としての一九九〇年代の幕開け
 第4節 一九九〇年代の争議の具体像――横浜と川崎の生存権と公共空間の問題
 第5節 寿地区における新しい/旧い動員基盤――「寿支援者交流会」と「寿日雇労働者組合」を例に
 第6節 なぜ中小都市に運動が広がったか?――寿地区が媒介した神奈川エリアの転換
 第7節 運動による独自調査とホームレスの人びとの「発見」――かれらはどこにいるのか?
 第8節 結語

第6章二〇〇〇年代の寿地区と神奈川エリア――都市社会運動(3)
 第1節 はじめに――都市間連帯・ガバナンス・NPOによるリスケーリングへの対抗
 第2節 都市間連帯と、ハブとしての寿地区――「大都市運動に終わってはいけない」
 第3節 『自立支援法』への都市間連帯による対抗――ローカルな水準で法を「飼い馴らす」
 第4節 ローカル・ガバナンスのもとでの政策と運動の共進化――平塚市の事例研究
 第5節 NPOによる行政協働の高度化――価値観の「共有化」に向けて
 第6節 行政交渉と、その記憶の古層――「そういう人がタマにはいる……」
 第7節 結語


第Ⅲ部 資本‐国家と都市貧困
 第Ⅲ部の展望

第7章 グローバル・ノース
 第1節 はじめに――資本‐国家と都市貧困という考え方
 第2節 一八~一九世紀グローバル化における収奪と抑圧――資本主義の世界的拡張と本源的蓄積のなかで
 第3節 フォーディズムにおける〈臣民〉の社会権――貧困調整の国民化と国家資本主義
 第4節 現代グローバル化における貧者への危機の移転――貧困調整の危機と都市貧困の高まり
 第5節 結語

第8章 戦後日本
 第1節 はじめに――戦後日本の資本‐国家と都市貧困
 第2節 一九五〇年代~一九六〇年代――高度成長のもとで
 第3節 一九七〇年代~一九八〇年代――世界的な危機の乗り越え
 第4節 一九九〇年代~二〇〇〇年代――ドメスティックな危機の文脈
 第5節 特に世界金融危機以降――再び世界的な危機
 第6節 結語

第9章 社会権の外縁に生まれるホームレス問題の「新しい調整空間」
 第1節 はじめに――貧困調整のリスケーリングという考え方
 第2節 解釈枠組の提示――「ロジック」と「スケール」
 第3節 日本国家による「上から」のリスケーリング――一九九〇年代~二〇〇〇年代に注目して
 第4節 横浜による「下から」のリスケーリング――一九九〇年代~二〇〇〇年代に注目して
 第5節 東京による「下から」のリスケーリング――一九九〇年代~二〇〇〇年代に注目して
 第6節 結語

終章 物語は終わらない――現在と未来
 第1節 世界金融危機と年越し派遣村――二〇〇〇年代の黄昏に
 第2節 危機が加速させるネオリベ――二〇一〇年代の幕明け
 第3節 再び、都市の前線へ


 文献
 あとがき
 索引
著者略歴
林 真人(ハヤシ マヒト hayashi mahito)
1977年生まれ。主な研究分野はホームレス問題、社会運動、労働問題、都市政策、社会政策など。専門は都市社会学、地域社会学、マルクス主義社会理論、批判主義都市研究。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員(PD)、ニューヨーク大学社会学部客員研究員などを経て、現在は首都大学東京都市教養学部客員研究員。1998年から日本のホームレス運動に関わる。主な著作に「若年野宿者の形成と現存」『社会学評論』57巻3号、「生成する地域の境界」『ソシオロジ』159号、「脱国家的なガバナンス構造を利用する野宿者支援運動」『地域社会学会年報』19集(地域社会学会奨励賞)、“Times and Spaces of Homeless Regulation in Japan, 1950s-2000s” International Journal of Urban and Regional Research 37(4)など。
タイトルヨミ
カナ:ホームレストトシクウカン
ローマ字:hoomuresutotoshikuukan

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