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定価:9,900円(9,000円+税)
判型:A5
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内容紹介
思想界全体の物質への注目を導いた、ニュー・マテリアリズムの金字塔的大著。
本書で提案されるのは、この宇宙のあらゆる物質をはじめ、空間、時間までもあらかじめ確定したものとして存在しているのではなく、関係する諸部分のもつれと内部作用から創発するという、新たな認識論、存在論といえる「エージェンシャル・リアリズム」である。ボーアの量子力学に深く立ち入り、バトラーのフェミニズム理論を批判的に検討することで、言葉と物質、人間と非人間の関係を独自のポストヒューマニズム的視点から捉え直し、哲学、科学論にとどまらず社会理論にも重要な示唆をもたらす。21世紀の思想にその名を刻む革命的著作。
「物質と意味は独立した二つの要素ではない。両者は分かちがたく融合しており、どれほどのエネルギーを持つ出来事をもってしても切り離すことはできない。「分割することができない」「切り離すことができない」という意味のギリシャ語アトモスに由来するアトム、つまり原子でさえも分割することができる。しかし、物質と意味は、化学変化や遠心分離器、核爆発をもってしても分離できない。問題=物質(マター)になるとは物質と意味に同時に関わることであり、おそらくこのことが明白になるのは、問題=物質(マター)の性質が問われているとき、つまり、問題=物質(マター)の極小の一片であっても根深い固定観念や大都市を爆破してしまうほどの力があると明らかになるときだろう。だからこそ、現代物理学がつきつけるさまざまな問題=物質の不可避なもつれ――在ることと知ることと行うことの、存在論と認識論と倫理の、事実と価値のもつれ――は否定しようもなく、非常に重要な意味をもつのだ。」(本書より)
◎目次(抄)
第一部 もつれあった始まり
序章 問題=物質(マター)になることの科学と倫理
第一章 宇宙の途上で出会う
第二章 回折――問題=物質(マター)になる差異、偶発性、もつれ
第二部 内部作用の重要性
第三章 ニールス・ボーアの哲学‐物理学――量子物理学からみた知識と実在の性質
第四章 エ ージェンシャル・リアリズム――物質‐言説的実践はいかにして問題=物質になるか
第三部 もつれと再構成/再定義
第五章 現実(リアル)になること――テクノサイエンス実践と現実(リアリティ)の物質化
第六章 時空の再構成/再定義――自然文化の力、権力の変わりゆくトポロジー
第七章 量子もつれ――実験形而上学と自然の性質
第八章 知ることの存在論、生成の内部作用、問題=物質(マター)になることの倫理
付録A 「カスケード実験」アリス・フルトン
付録B 不確定性原理は相補性の基礎ではない
付録C ボーアの相補性原理とハイゼンベルクの不確定性原理の関係をめぐる論争
本書で提案されるのは、この宇宙のあらゆる物質をはじめ、空間、時間までもあらかじめ確定したものとして存在しているのではなく、関係する諸部分のもつれと内部作用から創発するという、新たな認識論、存在論といえる「エージェンシャル・リアリズム」である。ボーアの量子力学に深く立ち入り、バトラーのフェミニズム理論を批判的に検討することで、言葉と物質、人間と非人間の関係を独自のポストヒューマニズム的視点から捉え直し、哲学、科学論にとどまらず社会理論にも重要な示唆をもたらす。21世紀の思想にその名を刻む革命的著作。
「物質と意味は独立した二つの要素ではない。両者は分かちがたく融合しており、どれほどのエネルギーを持つ出来事をもってしても切り離すことはできない。「分割することができない」「切り離すことができない」という意味のギリシャ語アトモスに由来するアトム、つまり原子でさえも分割することができる。しかし、物質と意味は、化学変化や遠心分離器、核爆発をもってしても分離できない。問題=物質(マター)になるとは物質と意味に同時に関わることであり、おそらくこのことが明白になるのは、問題=物質(マター)の性質が問われているとき、つまり、問題=物質(マター)の極小の一片であっても根深い固定観念や大都市を爆破してしまうほどの力があると明らかになるときだろう。だからこそ、現代物理学がつきつけるさまざまな問題=物質の不可避なもつれ――在ることと知ることと行うことの、存在論と認識論と倫理の、事実と価値のもつれ――は否定しようもなく、非常に重要な意味をもつのだ。」(本書より)
◎目次(抄)
第一部 もつれあった始まり
序章 問題=物質(マター)になることの科学と倫理
第一章 宇宙の途上で出会う
第二章 回折――問題=物質(マター)になる差異、偶発性、もつれ
第二部 内部作用の重要性
第三章 ニールス・ボーアの哲学‐物理学――量子物理学からみた知識と実在の性質
第四章 エ ージェンシャル・リアリズム――物質‐言説的実践はいかにして問題=物質になるか
第三部 もつれと再構成/再定義
第五章 現実(リアル)になること――テクノサイエンス実践と現実(リアリティ)の物質化
第六章 時空の再構成/再定義――自然文化の力、権力の変わりゆくトポロジー
第七章 量子もつれ――実験形而上学と自然の性質
第八章 知ることの存在論、生成の内部作用、問題=物質(マター)になることの倫理
付録A 「カスケード実験」アリス・フルトン
付録B 不確定性原理は相補性の基礎ではない
付録C ボーアの相補性原理とハイゼンベルクの不確定性原理の関係をめぐる論争
目次
序文および謝辞
第一部 もつれあった始まり
序章 問題=物質(マター)になることの科学と倫理
舞台設定
本書の概要
第一章 宇宙の途上で出会う
自然の性質と変化の可能性
表象主義からパフォーマティヴィティへ
表象主義なき実在論
パフォーマティヴィティと社会・政治的エージェンシー
エージェンシャル・リアリズムと量子物理学
第二章 回折――問題=物質(マター)になる差異、偶発性、もつれ
第二部 内部作用の重要性
第三章 ニールス・ボーアの哲学‐物理学――量子物理学からみた知識と実在の性質
光と物質の本性について
測定の重要性――ボーアの認識論的枠組み
非決定性と不確定性
現象
方法論的幕間――ボーアの認識論的枠組みの非決定性
ボーアの実在論的実践
ボーアの存在論――現象と内部作用
ボーアの実在論
因果性
第四章 エ ージェンシャル・リアリズム――物質‐言説的実践はいかにして問題=物質になるか
物質を真剣に考慮する――物質性とパフォーマティヴィティ
ヒューマニズム的軌道
エージェンシャル・リアリズムの存在論
装置の性質
装置の境界
装置のエージェンシャル・リアリズム的理解へ向けて
問題=物質になること――物質‐言説的実践についてのポストヒューマニズム的でパフォーマティヴな説明
身体=物体の境界
装置の境界、あるいは「これは葉巻ではない」
装置の性質と「人間」のポストヒューマニズム的役割
客観性とエージェンシー的分離可能性
生産の性質と自然の生産――エージェンシーと因果性
空間、時間、物質の再構成/再定義
結論
第三部 もつれと再構成/再定義
第五章 現実(リアル)になること――テクノサイエンス実践と現実(リアリティ)の物質化
身体の物質化
実体化の技術
ボーアの認識論的枠組み
影像化する装置から物質化する実践へ
物質はどのようにして問題=物質になるのか
エージェンシーと因果性
表面を超えて――3D超音波検査
第六章 時空の再構成/再定義――自然文化の力、権力の変わりゆくトポロジー
労働者の生産/構造の生産─ 身体生産の物質‐言説的装置としての労働現場
装置の作用、あるいは装置の政治経済学へ
ギアの切り替え、ダイナミクスの切り替え――権力関係のトポロジカルな再構成/再定義のための多様な可能性
位相多様体――空間性・時間性・未来性
第七章 量子もつれ――実験形而上学と自然の性質
はじめに
物理学者と猫――量子物理学の基礎の問題
一 トマス・ヤングの主題による量子変奏曲――重ね合わせ、混合、経路情報‐干渉の相補性
二 EPRパラドックス――物理的実在の性質について
三 シュレーディンガーの猫のパラドックス
四 観測問題
実験形而上学――思考(ゲダンケン)実験の実験的検証
一 EPRの反論とベルの不等式
二 相補性Ⅰ――BKSと文脈依存性(コンテクスチュアリティ)
三 相補性Ⅱ――経路識別実験
三a 相補性と不確定性
三b 経路識別実験
四 相補性Ⅲ――量子消しゴム実験、もつれは続く!
ボーアの解釈に対する誤解と正当な反論
一 ボーアはアインシュタインの実在論に反実在論で答えるのか? 客観性と分離可能性の問題
二 ボーアの解釈にたいする誤解と正当な反論
二a 測定器は本質的に古典的な系なのか
二b 量子現象の記述に古典論の概念は必要か
エージェンシャル・リアリズムによる量子力学の解釈
一 エージェンシャル・リアリズム――現象の存在論的解釈、あるいはボーアの関係論的存在論
二 実験室での些細な測定を超えて
三 認識論的な客観性概念を超えて
四 人間の知識の問題を超えて
五 観測問題について
六 量子力学と宇宙論――宇宙の波動関数は存在するか
結論
第八章 知ることの存在論、生成の内部作用、問題=物質(マター)になることの倫理
カスケード実験
バイオミミクリー、鏡像、反射の光学/政治学
問題=物質となる差異――回折、差異的身体化、知ることの存在論
もつれあう系譜
問題=物質になることの倫理にむけて
付録A 「カスケード実験」アリス・フルトン
付録B 不確定性原理は相補性の基礎ではない
付録C ボーアの相補性原理とハイゼンベルクの不確定性原理の関係をめぐる論争
訳者あとがき
初出一覧
注
参考文献
人名索引
第一部 もつれあった始まり
序章 問題=物質(マター)になることの科学と倫理
舞台設定
本書の概要
第一章 宇宙の途上で出会う
自然の性質と変化の可能性
表象主義からパフォーマティヴィティへ
表象主義なき実在論
パフォーマティヴィティと社会・政治的エージェンシー
エージェンシャル・リアリズムと量子物理学
第二章 回折――問題=物質(マター)になる差異、偶発性、もつれ
第二部 内部作用の重要性
第三章 ニールス・ボーアの哲学‐物理学――量子物理学からみた知識と実在の性質
光と物質の本性について
測定の重要性――ボーアの認識論的枠組み
非決定性と不確定性
現象
方法論的幕間――ボーアの認識論的枠組みの非決定性
ボーアの実在論的実践
ボーアの存在論――現象と内部作用
ボーアの実在論
因果性
第四章 エ ージェンシャル・リアリズム――物質‐言説的実践はいかにして問題=物質になるか
物質を真剣に考慮する――物質性とパフォーマティヴィティ
ヒューマニズム的軌道
エージェンシャル・リアリズムの存在論
装置の性質
装置の境界
装置のエージェンシャル・リアリズム的理解へ向けて
問題=物質になること――物質‐言説的実践についてのポストヒューマニズム的でパフォーマティヴな説明
身体=物体の境界
装置の境界、あるいは「これは葉巻ではない」
装置の性質と「人間」のポストヒューマニズム的役割
客観性とエージェンシー的分離可能性
生産の性質と自然の生産――エージェンシーと因果性
空間、時間、物質の再構成/再定義
結論
第三部 もつれと再構成/再定義
第五章 現実(リアル)になること――テクノサイエンス実践と現実(リアリティ)の物質化
身体の物質化
実体化の技術
ボーアの認識論的枠組み
影像化する装置から物質化する実践へ
物質はどのようにして問題=物質になるのか
エージェンシーと因果性
表面を超えて――3D超音波検査
第六章 時空の再構成/再定義――自然文化の力、権力の変わりゆくトポロジー
労働者の生産/構造の生産─ 身体生産の物質‐言説的装置としての労働現場
装置の作用、あるいは装置の政治経済学へ
ギアの切り替え、ダイナミクスの切り替え――権力関係のトポロジカルな再構成/再定義のための多様な可能性
位相多様体――空間性・時間性・未来性
第七章 量子もつれ――実験形而上学と自然の性質
はじめに
物理学者と猫――量子物理学の基礎の問題
一 トマス・ヤングの主題による量子変奏曲――重ね合わせ、混合、経路情報‐干渉の相補性
二 EPRパラドックス――物理的実在の性質について
三 シュレーディンガーの猫のパラドックス
四 観測問題
実験形而上学――思考(ゲダンケン)実験の実験的検証
一 EPRの反論とベルの不等式
二 相補性Ⅰ――BKSと文脈依存性(コンテクスチュアリティ)
三 相補性Ⅱ――経路識別実験
三a 相補性と不確定性
三b 経路識別実験
四 相補性Ⅲ――量子消しゴム実験、もつれは続く!
ボーアの解釈に対する誤解と正当な反論
一 ボーアはアインシュタインの実在論に反実在論で答えるのか? 客観性と分離可能性の問題
二 ボーアの解釈にたいする誤解と正当な反論
二a 測定器は本質的に古典的な系なのか
二b 量子現象の記述に古典論の概念は必要か
エージェンシャル・リアリズムによる量子力学の解釈
一 エージェンシャル・リアリズム――現象の存在論的解釈、あるいはボーアの関係論的存在論
二 実験室での些細な測定を超えて
三 認識論的な客観性概念を超えて
四 人間の知識の問題を超えて
五 観測問題について
六 量子力学と宇宙論――宇宙の波動関数は存在するか
結論
第八章 知ることの存在論、生成の内部作用、問題=物質(マター)になることの倫理
カスケード実験
バイオミミクリー、鏡像、反射の光学/政治学
問題=物質となる差異――回折、差異的身体化、知ることの存在論
もつれあう系譜
問題=物質になることの倫理にむけて
付録A 「カスケード実験」アリス・フルトン
付録B 不確定性原理は相補性の基礎ではない
付録C ボーアの相補性原理とハイゼンベルクの不確定性原理の関係をめぐる論争
訳者あとがき
初出一覧
注
参考文献
人名索引
著者略歴
カレン・バラッド(カレン バラッド karen baraddo)
【著者】カレン・バラッド
Karen Barad/1956年生まれ。カリフォルニア大学サンタクルーズ校でフェミニズム理論、哲学、History of Consciousness の栄誉教授を務める。素粒子物理学で博士号を取得。物理学の理論的背景をもとに、大陸哲学と科学論を架橋する仕事を精力的に行っている。その研究分野は、フェミニズム理論、物理学、科学論、ポスト構造主義哲学と幅広い。
水田 博子(ミズタ ヒロコ mizuta hiroko)
【訳者】水田 博子(みずた・ひろこ)
1957年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了(英米文学専攻)。博士(文学)。博士論文はNomadic Imagination: Literary Form and the Politics of “Displacement” in D. H. Lawrence’s Later Works。『チャタレー夫人の恋』についての論文は日本ロレンス協会西村孝次賞受賞。文学とフランス現代思想に関心を持つ。翻訳家。
南 菜緒子(ミナミ ナオコ minami naoko)
南 晃(ミナミ アキラ minami akira)
南 晃(みなみ・あきら)
1955年生まれ。京都教育大学特修理学科卒業。研究分野は光学、量子光学。卒業論文「偏光解消に関する研究」。高校の物理教諭。「火星の夕焼けの再現実験」、「水面波の干渉実験」、「Pendulum Waves」などの動画・画像をメディアや大学テキストその他に提供。
タイトルヨミ
カナ:ウチュウノトジョウデデアウ
ローマ字:uchuunotojoudedeau
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