近刊検索 デルタ

2019年2月21日発売

法政大学出版局

出版社名ヨミ:ホウセイダイガクシュッパンキョク

固有名の詩学

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内容紹介
固有名はその対象と不可分に結びついた唯一無二のものである一方で、代替可能な単なる記号でもあるという両義性を有する。固有名を介して、現実と虚構が接続される。本書は中世から現代までのドイツ語圏の文学における固有名の機能を、〈産出性〉、〈虚構性〉、〈否定性〉という三つのキーワードのもとに、解明する。
目次
固有名の詩学のための序論 前田佳一

第Ⅰ部 〈産出性〉
第一章 作者と名前──ドイツ盛期中世俗語文芸における作者 山本潤
第二章 『ジーベンケース』における名前の交換 江口大輔
第三章 呼びかけ・主体化・服従化──トーマス・マン『トニオ・クレーガー』における名前 木戸繭子
第四章 リルケ作品における名づけと呼びかけ 山崎泰孝
第五章 インゲボルク・バッハマン『ボヘミアは海辺にある』における固有名の神話化作用 前田佳一

第Ⅱ部 〈虚構性〉
第六章 ヘルダーリンの頌歌『キロン』における固有名の機能 小野寺賢一
第七章 ジャン・パウル『自叙伝』における固有名「パウル」 江口大輔
第八章 ホフマンとディドロ──継承と呼応 宮田眞治
第九章 トーマス・マン『すげ替えられた首』における「体を表す名」と「神話の名」 木戸繭子
第十章 ウィーンの(脱)魔術化──ハイミート・フォン・ドーデラーとインゲボルク・バッハマンのウィーン 前田佳一

第Ⅲ部 〈否定性〉
第十一章 Nemo mihi nomen──あるアナグラムの系譜 平野嘉彦
第十二章 ベルリンは存在しない──ウーヴェ・ヨーンゾンにおける境界と名称 金志成
第十三章 断片としての名──インゲボルク・バッハマンにおける固有名の否定性 前田佳一
編者あとがき 前田佳一
執筆者紹介
著者略歴
前田 佳一(マエダ ケイイチ maeda keiichi)
1983年生まれ。お茶の水女子大学基幹研究院助教。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専攻は近現代ドイツ文学、オーストリア文学。業績に『「人殺しと気狂いたち」の饗宴あるいは戦後オーストリア文学の深層』(編著、日本独文学会研究叢書126、2017年)、Nachleben der Toten – Autofiktion(共著、iudicium, 2017年)、「インゲボルク・バッハマンにおけるグレンツェ(Grenze)をめぐる一考察」(論文、『ドイツ文学』146号、2013年)ほか。
タイトルヨミ
カナ:コユウメイノシガク
ローマ字:koyuumeinoshigaku

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