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2023年5月10日発売

法政大学出版局

出版社名ヨミ:ホウセイダイガクシュッパンキョク

モルブス・アウストリアクス

オーストリア文学をめぐる16章
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内容紹介
「オーストリア病(モルブス・アウストリアクス)」と表現される消滅したかつての帝国をも含む神話への深い執着と愛憎。ナチスによる併合など幾度も国のあり方が変わり、隣国のドイツの文学との差別化からも作家たちは「オーストリア的なるものとは何か」を問い続けてきた。「ニーベルンゲンの歌」から、ホーフマンスタール、ムージル、ツヴァイク、バッハマン、ベルンハルトまで、「オーストリア病」の現代におけるアクチュアリティを問う。
目次
序 章 モルブス・アウストリアクスあるいはオーストリア文学の過去と未来の間 前田佳一

第Ⅰ部
第1章 「ドイツ」国民叙事詩?──オーストリア文学史叙述における『ニーベルンゲンの歌』 山本潤

第2章 「全的人間」による共同体の創造──ホーフマンスタール『国民の精神的空間としての書物』とディルタイの精神科学 石橋奈智

第3章 「この時代」の文化批判──ムージルの「カカーニエン」とアウストロ・ファシズム 桂元嗣

第4章 「この小さな国──偶然にも私の故国」──シュテファン・ツヴァイク『昨日の世界』における「故郷」としてのオーストリア 杉山有紀子

第5章 『聖霊降臨節の牧歌』から『聖霊降臨節の旅』へ──K・H・ヴァッガールにおける第二次世界大戦中/戦後の「故郷」理念の変化 杉山有紀子

第6章 ナチスの桂冠詩人か、言語芸術の革新者か──ヨーゼフ・ヴァインヘーバーの戦後オーストリア文学における立ち位置 日名淳裕

第7章 敷居に立つニーベルンゲン──マックス・メルによる二部作『ニーベルンク族の災厄』 山本潤

第Ⅱ部
第8章 アイヒンガー、アイゼンライヒ、ドーデラー──不信の詩学あるいは「オーストリア的なるもの」の象徴化と神話化 前田佳一

第9章 インゲボルク・バッハマンと戦後ウィーン 前田佳一

第10章 「オーストリア的なるもの」の緩慢なる自殺あるいは損傷した物語──ゲアハル
ト・フリッチュの長編『石の上の苔』と『ファッシング』について 前田佳一

第11章 「けっしてひとりではない」場所──ミロ・ドールにおける故郷と自伝的語り 桂元嗣

第12章 腐食する現在、拓かれる過去──イルゼ・アイヒンガーの詩における「錆」の主題 日名淳裕

第13章 トーマス・ベルンハルト『地上でそして地獄で』における反復される「私」──詩「顔たちの日」と「九篇の聖歌」を例として 日名淳裕

第14章 革命とフラグメント──初期ベルンハルトの中編小説 金志成

第15章 ローベルト・ヴァルザー『散歩』とトーマス・ベルンハルト『行く』──二つの歩行する散文の分岐点 葛西敬之

第16章 自伝が生まれる時──メタフィクションとしてのトーマス・ベルンハルト『推敲』について 飯島雄太郎

執筆者紹介
著者略歴
前田 佳一(マエダ ケイイチ maeda keiichi)
前田 佳一 1983年生まれ。お茶の水女子大学基幹研究院准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専攻は近現代ドイツ文学、オーストリア文学。業績に『天国への階段―オーストリア文学における故郷表象の虚構性』(編著、日本独文学会研究叢書141、2020年)、『固有名の詩学』(編著、法政大学出版局、2019年)、Nachleben der Toten – Autofiktion(共著、iudicium, 2017年)ほか。
タイトルヨミ
カナ:モルブス アウストリアクス
ローマ字:morubusu ausutoriakusu

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