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定価:7,150円(6,500円+税)
判型:A5
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内容紹介
国内外の研究者による共同研究「キリシタン文学の継承:宣教師の日本語文学」の成果により、宣教師の日本語習得と運用を中心テーマとして、歴史的背景、近代における展開、視覚的イメージ、ハングル著述との比較、という四つの角度からまとめた論集。
目次
序論 キリスト教宣教に始まる多言語多文化的交流[郭南燕]
第一部 キリシタン時代の日本文化理解《イエズス会の適応主義》
1 聖フランシスコ・ザビエルの日本語学習の決意[郭南燕]
一、アジア諸言語との接触
二、ザビエルの日本語学習
三、ザビエルの日本語力
結び
2 イエズス会巡察師ヴァリニャーノの「順応」方針の動機と実践[川村信三]
一、宣教師アレッサンドロ・ヴァリニャーノ
二、ヴァリニャーノの出身地キエーティ
三、ヴァリニャーノの受けた教育――パドヴァ大学、ローマ学院
四、ヴァリニャーノの「順応」(accommodation)方針
五、ポルトガルの東進およびスペインの西進による植民地拡大
六、日本における順応方針の確立
七、順応方針のその後
八、順応方針の負の遺産
九、現地人聖職者の養成
結び
3 イエズス会の教育とヴァリニャーノの思想[李梁]
一、イエズス会の理念
二、ロヨラを継承したヴァリニャーノ
4 イエズス会の霊性と「九相歌」[カルラ・トロヌ/田中零 訳]
一、先行研究について
二、 日本イエズス会の教育制度における「九相歌」
三、「九相歌」と仏教の伝統
四、「九相歌」とイエズス会
結び
5 『日葡辞書』に見える「茶の湯」の文化[アルド・トリーニ]
一、日本文化における「茶の湯」
二、『日葡辞書』における茶の文化の語彙
三、茶の湯と茶の文化にかかわる語彙
結び
6 マニラから津軽へ――「キリシタン時代」末期における日本宣教再開の試み[阿久根晋]
一、航海の背景と史料
二、航海と再布教計画
三、航海の結末と「キリシタン時代」の終焉
結び
[コラム1]先祖の話:キリシタンへの改宗[浦道陽子]
第二部 日本宣教と日本語による著述《近代のプロテスタントとカトリック》
1 辞書は伝道への架け橋である――メドハーストの辞書編纂をめぐって[陳力衛]
一、英和・和英語彙(一八三〇)
二、福建方言字典(一八三二)
三、朝鮮偉国字彙(一八三五)
四、台湾虎尾壟語辞典(一八四〇)
五、華英字典(一八四二‐四三)
六、英華字典(一八四七‐四八)
結び
2 来日プロテスタント宣教師と「言語」――明治初期津軽の事例から[北原かな子]
一、弘前とキリスト教――イング着任前
二、イングとキリスト教布教――来日前と来日後
三、イングの宣教と「言葉」
四、弘前初の洗礼式と「言葉」
五、津軽地方初の留学生派遣へ
六、津軽初の留学生たちとアメリカ
結び
3 仏人宣教師リギョールと『教育と宗教の衝突』論争[将基面貴巳]
一、『教育と宗教の衝突』論争
二、リギョールの観点
三、井上哲次郎の立場
四、キリスト教陣営の主張
4 カンドウ神父の日本文化への貢献[ケビン・ドーク]
一、カンドウ神父の経歴と来日
二、戦後日本の近代主義への反対
三、カンドウの文学的影響
四、優れたエクリヴァン
結び
[コラム2]マレガ神父の日本文化研究[シルヴィオ・ヴィータ]
5 日本語の書き手としてのホイヴェルス――「最上のわざ」を中心に[谷口幸代]
一、「最上のわざ」の詩人
二、〈ホイ語〉の詩
三、「年をとるすべ」の中の「最上のわざ」
6 ホイヴェルス脚本『細川ガラシア夫人』――世界文学へのこころざし[郭南燕]
一、ホイヴェルス神父の日本語文学
二、細川ガラシャへの敬服
三、ホイヴェルス以前の細川ガラシャ像
四、ホイヴェルス脚本の特色
五、世界文学の精神とホイヴェルス
第三部 聖なるイメージの伝播《キリスト教の多文化的受容》
1 複製技術時代における宗教画――世界の「サルス・ポプリ・ロマーニ聖母像」をめぐって[望月みや/田中零 訳]
一、バロック期の機械
二、反復ではない複製
三、画像改革
四、新素材媒体の出現
結び
2 多様性の中の統一性:愛の性格――カクレキリシタンにおける「神の啓示」の意味[松岡史孝/木村健 訳]
一、常に改められる教会――カクレの共同体:生きている歴史遺物か、それとも常に改革する共同体か
二、「知ることは知られることである」――生きられた歴史と観られた歴史
三、「心に伝わる響き」――サン・ジワン枯松神社における神的な啓示の意味
3 贈り物の聖なる交換――カトリック麹町 聖イグナチオ教会[E・C・フェルナンデス、S・M・ピッツ/田中零 訳]
一、生きた石たちの祈りの空間
二、キリシタン時代の交流の場としての教会
三、現代日本における交流の場としての教会
結び:過去から未来へ
4 『沈黙』にひそむ『瘋癲老人日記』の影――遠藤周作と谷崎潤一郎をむすぶ糸[井上章一]
前口上/踏絵と仏足石/日記と書簡/マルキ・ド・サドにみちびかれ
[コラム3]「聖骸布」に関するコンプリ神父の日本語著書[郭南燕]
第四部 朝鮮半島宣教とハングルによる著述《日本との比較》
1 ハングルによるカトリックの書物――一八世紀から一九四五年までの概観[フランクリン・ラウシュ/木村健 訳]
一、朝鮮半島におけるキリスト教伝播の初期(一七八四‐一八三一年)
二、パリ外国宣教会の宣教師到来と迫害の継続(一八三一‐七六年)
三、過渡期のハングルによる書物(一八七六‐八六年)
四、宗教的寛容と朝鮮王朝の終局(一八八六‐一九一〇年)
五、植民地時代の宣教師とハングルによる書物(一九一〇‐四五年)
結び
2 外国人宣教師の半島伝道と著述活動[李容相]
一、朝鮮半島におけるプロテスタントの宣教
二、日本人宣教師の伝道とクリスチャンネットワーク
三、宣教師の著述物
結び
3 外国人女性宣教師の文化的影響[崔英修]
一、来韓する女性宣教師の伝道
二、朝鮮の時代的背景
三、女性宣教師たちの活躍
結び
編著者あとがき
人名索引
第一部 キリシタン時代の日本文化理解《イエズス会の適応主義》
1 聖フランシスコ・ザビエルの日本語学習の決意[郭南燕]
一、アジア諸言語との接触
二、ザビエルの日本語学習
三、ザビエルの日本語力
結び
2 イエズス会巡察師ヴァリニャーノの「順応」方針の動機と実践[川村信三]
一、宣教師アレッサンドロ・ヴァリニャーノ
二、ヴァリニャーノの出身地キエーティ
三、ヴァリニャーノの受けた教育――パドヴァ大学、ローマ学院
四、ヴァリニャーノの「順応」(accommodation)方針
五、ポルトガルの東進およびスペインの西進による植民地拡大
六、日本における順応方針の確立
七、順応方針のその後
八、順応方針の負の遺産
九、現地人聖職者の養成
結び
3 イエズス会の教育とヴァリニャーノの思想[李梁]
一、イエズス会の理念
二、ロヨラを継承したヴァリニャーノ
4 イエズス会の霊性と「九相歌」[カルラ・トロヌ/田中零 訳]
一、先行研究について
二、 日本イエズス会の教育制度における「九相歌」
三、「九相歌」と仏教の伝統
四、「九相歌」とイエズス会
結び
5 『日葡辞書』に見える「茶の湯」の文化[アルド・トリーニ]
一、日本文化における「茶の湯」
二、『日葡辞書』における茶の文化の語彙
三、茶の湯と茶の文化にかかわる語彙
結び
6 マニラから津軽へ――「キリシタン時代」末期における日本宣教再開の試み[阿久根晋]
一、航海の背景と史料
二、航海と再布教計画
三、航海の結末と「キリシタン時代」の終焉
結び
[コラム1]先祖の話:キリシタンへの改宗[浦道陽子]
第二部 日本宣教と日本語による著述《近代のプロテスタントとカトリック》
1 辞書は伝道への架け橋である――メドハーストの辞書編纂をめぐって[陳力衛]
一、英和・和英語彙(一八三〇)
二、福建方言字典(一八三二)
三、朝鮮偉国字彙(一八三五)
四、台湾虎尾壟語辞典(一八四〇)
五、華英字典(一八四二‐四三)
六、英華字典(一八四七‐四八)
結び
2 来日プロテスタント宣教師と「言語」――明治初期津軽の事例から[北原かな子]
一、弘前とキリスト教――イング着任前
二、イングとキリスト教布教――来日前と来日後
三、イングの宣教と「言葉」
四、弘前初の洗礼式と「言葉」
五、津軽地方初の留学生派遣へ
六、津軽初の留学生たちとアメリカ
結び
3 仏人宣教師リギョールと『教育と宗教の衝突』論争[将基面貴巳]
一、『教育と宗教の衝突』論争
二、リギョールの観点
三、井上哲次郎の立場
四、キリスト教陣営の主張
4 カンドウ神父の日本文化への貢献[ケビン・ドーク]
一、カンドウ神父の経歴と来日
二、戦後日本の近代主義への反対
三、カンドウの文学的影響
四、優れたエクリヴァン
結び
[コラム2]マレガ神父の日本文化研究[シルヴィオ・ヴィータ]
5 日本語の書き手としてのホイヴェルス――「最上のわざ」を中心に[谷口幸代]
一、「最上のわざ」の詩人
二、〈ホイ語〉の詩
三、「年をとるすべ」の中の「最上のわざ」
6 ホイヴェルス脚本『細川ガラシア夫人』――世界文学へのこころざし[郭南燕]
一、ホイヴェルス神父の日本語文学
二、細川ガラシャへの敬服
三、ホイヴェルス以前の細川ガラシャ像
四、ホイヴェルス脚本の特色
五、世界文学の精神とホイヴェルス
第三部 聖なるイメージの伝播《キリスト教の多文化的受容》
1 複製技術時代における宗教画――世界の「サルス・ポプリ・ロマーニ聖母像」をめぐって[望月みや/田中零 訳]
一、バロック期の機械
二、反復ではない複製
三、画像改革
四、新素材媒体の出現
結び
2 多様性の中の統一性:愛の性格――カクレキリシタンにおける「神の啓示」の意味[松岡史孝/木村健 訳]
一、常に改められる教会――カクレの共同体:生きている歴史遺物か、それとも常に改革する共同体か
二、「知ることは知られることである」――生きられた歴史と観られた歴史
三、「心に伝わる響き」――サン・ジワン枯松神社における神的な啓示の意味
3 贈り物の聖なる交換――カトリック麹町 聖イグナチオ教会[E・C・フェルナンデス、S・M・ピッツ/田中零 訳]
一、生きた石たちの祈りの空間
二、キリシタン時代の交流の場としての教会
三、現代日本における交流の場としての教会
結び:過去から未来へ
4 『沈黙』にひそむ『瘋癲老人日記』の影――遠藤周作と谷崎潤一郎をむすぶ糸[井上章一]
前口上/踏絵と仏足石/日記と書簡/マルキ・ド・サドにみちびかれ
[コラム3]「聖骸布」に関するコンプリ神父の日本語著書[郭南燕]
第四部 朝鮮半島宣教とハングルによる著述《日本との比較》
1 ハングルによるカトリックの書物――一八世紀から一九四五年までの概観[フランクリン・ラウシュ/木村健 訳]
一、朝鮮半島におけるキリスト教伝播の初期(一七八四‐一八三一年)
二、パリ外国宣教会の宣教師到来と迫害の継続(一八三一‐七六年)
三、過渡期のハングルによる書物(一八七六‐八六年)
四、宗教的寛容と朝鮮王朝の終局(一八八六‐一九一〇年)
五、植民地時代の宣教師とハングルによる書物(一九一〇‐四五年)
結び
2 外国人宣教師の半島伝道と著述活動[李容相]
一、朝鮮半島におけるプロテスタントの宣教
二、日本人宣教師の伝道とクリスチャンネットワーク
三、宣教師の著述物
結び
3 外国人女性宣教師の文化的影響[崔英修]
一、来韓する女性宣教師の伝道
二、朝鮮の時代的背景
三、女性宣教師たちの活躍
結び
編著者あとがき
人名索引
著者略歴
郭 南燕(カク ナンエン kaku nanen)
日本語文学者
1962年生まれ、中国・上海出身。復旦大学、お茶の水女子大学、トロント大学に学び、博士(人文科学)。1993-2008年、ニュージーランド・オタゴ大学で教え、2008-17年、国際日本文化研究センター准教授。研究分野は日本文学、多言語多文化交流。
著書に『バイリンガルな日本語文学:多言語多文化のあいだ』(編著、三元社、2013年)、Refining Nature in Modern Japanese Literature: The Life and Art of Shiga Naoya (Lexington Books, 2014)、『志賀直哉で「世界文学」を読み解く』(作品社、2016年)など。
タイトルヨミ
カナ:キリシタンガヒライタニホンゴブンガク
ローマ字:kirishitangahiraitanihongobungaku
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