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2024年2月8日発売

明石書店

出版社名ヨミ:アカシショテン

日本語学習は本当に必要か

多様な現場の葛藤とことばの教育
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内容紹介
2019年に「日本語教育の推進に関する法律」が公布、施行され、日本語教育に関する注目が高まっているが、「日本語は本当に必要なのか」という本質的な問いについて、私たちはどれだけ考えているのだろうか。本書では、大学の英語学位生、理工系留学生、技能実習生、介護士、夜間中学や地域の日本語教育に携わる人々など、様々な現場の葛藤と課題を明らかにし、ことばの学びの意味の重層性を浮き彫りにし、未来のことばの教育の可能性を考えていく。
目次
 はじめに

第1章 日本語学習は本当に必要か――多様な現場の葛藤とことばの教育[村田晶子・神吉宇一]
 1.日本語を「教える」ことに対する批判的な振り返り
 2.時代の変化と日本語を「学ぶ」ことの意味の揺らぎ
 3.本書の各章の紹介――現場の人々の自問自答・葛藤・迷い
 4.おわりに――未来のことばの教育に向けて

第2章 英語学位生にとっての「日本語」というグレーゾーン――学生たちの4年間の葛藤と変容[村田晶子]
 1.はじめに
 2.英語学位生にとっての言語的トランジションの難しさ
 3.調査について
 4.学生たちの4年間の葛藤と変容
 5.未来に向けて

第3章 エリート教育の葛藤――日英ハイブリッドプログラムの抱える課題をどう乗り越えるか[河内彩香]
 1.はじめに
 2.Aプログラム概要――日本語で高度な専門性を獲得するエリート教育
 3.インタビュー調査の概要
 4.理系教員が感じているプログラムの問題
 5.留学生が感じたプログラムの問題とかれらのサポートネットワーク
 6.「英語環境から日本語環境へのトランジション」問題はどのように解決できるか
 7.おわりに――日本語教育関係者はどのような支援ができるか

第4章 理系英語学位留学生の就職活動の葛藤[長谷川由香]
 1.深刻な理系人材の不足
 2.日本企業が理系留学生にもとめる日本語力
 3.理系留学生への日本語教育
 4.理系留学生の就職活動の葛藤
 5.おわりに――日本語教育関係者に何ができるのか

第5章 就労の日本語教育は本当に必要なのか――いわゆる「業務」と日本語の関係について考える[神吉宇一]
 1.社会的背景と本章の問題意識
 2.調査について
 3.分析
 4.共生社会のための日本語教育とは
 5.今後の世界とことばの教育

第6章 就労現場で学ぶべきは「介護の日本語」なのか――技能実習生にとってのことばと学習[小川美香]
 1.外国人介護人材をめぐる背景
 2.介護の実習生受け入れ現場の文脈と実践
 3.介護の実習生受け入れ現場における当事者の声
 4.総合的な考察
 5.ことばの教育の未来

第7章 多文化共生社会にとって――地域の日本語は本当に必要か[中川康弘]
 1.問題の所在と提起
 2.「共生」と「多文化共生」は、同一線上にあるのか
 3.多文化共生の土壌となる「社会」とは
 4.調査概要
 5.調査結果:日本語支援に関する疑問・葛藤
 6.考察
 7.まとめと今後に向けて

第8章 「夜間中学=日本語学校化」は本当か――夜間中学という場での学びを探る[高橋朋子]
 1.はじめに
 2.夜間中学の歴史と現状
 3.「夜間中学=日本語学校化」なのか
 4.F夜間中学と授業実践
 5.おわりに

第9章 いったい何のために日本語を教えるのか――アメリカの大学教員による変容的学習の模索[プレフューメ裕子]
 1.日本語を学ぶことはキャリアには関係がない学生たち
 2.日本に留学したくてもできない学生
 3.アメリカの大学における外国語科目の削減
 4.狭義の「日本語教育」を超えて学生と対話し、学生たちに伝えたいこと
 5.おわりに

第10章 継承語学習をやめることは、挫折なのか[本間祥子・重松香奈]
 1.はじめに
 2.ある卒業生のストーリー
 3.継承語学習をめぐる子どもたちの葛藤
 4.おわりに――未来に向けて

第11章 「やさしい日本語より英語でしょ?」――日本の大学生に「やさしい日本語」を通じて伝えたいこと[吉開章]
 1.学生からの質問
 2.やさしい日本語の背景
 3.大学生向けやさしい日本語啓発に取り組んだ経緯
 4.筆者がやさしい日本語の講義を通じて若い世代の人々に学んでほしいこと

第12章 テクノロジーは日本語学習をなくすのか[李在鎬]
 1.背景
 2.テクノロジーの出現が意味するもの
 3.言語学習を支援するコンピュータテクノロジー
 4.機械翻訳と言語学習
 5.言語生成AIと言語学習
 6.おわりに――AIと共生する言語教育

 おわりに[佐藤慎司]
 編著者一覧
著者略歴
村田 晶子(ムラタ アキコ murata akiko)
コロンビア大学教育大学院博士課程修了(教育人類学博士)。現在、法政大学グローバル教育センター教授。専門は、教育人類学、言語文化教育、フィールドワーク教育。 [主な著書・論文] 『人類学・社会学的視点からみた過去、現在、未来のことばの教育――言語と言語教育イデオロギー』(共編著、2018年、三元社) 『大学における多文化体験学習への挑戦――国内と海外を結ぶ体験的学びの可視化を支援する』(編著、2018年、ナカニシヤ出版) 『チャレンジ!多文化体験ワークブック――国際理解と多文化共生のために』(共編著、ナカニシヤ出版、2019年) 『外国人労働者の循環労働と文化の仲介――「ブリッジ人材」と多文化共生』(単著、明石書店、2020年) 『にほんごで文化体験――ことばと文化でつながる』(監修、アルク、2021年) 『フィールドワークの学び方――国際学生との協働からオンライン調査まで』(共編著、ナカニシヤ出版、2022年) 『オンライン国際交流と協働学習――多文化共生のために』(編著、くろしお出版、2022年) 『食で考える日本社会』(共編著、くろしお出版、2023年) 「孤立する留学生のオンライン学習支援とソーシャルサポート――コロナ禍でのボランティア学生の取り組み」(『多文化社会と言語教育』(1)14-29、2021年) 「コロナ禍の『日本留学』――外国人留学生の孤独とレジリエンス」(『多文化社会と言語教育』(2)1-15、2022年)
神吉 宇一(カミヨシ ウイチ kamiyoshi uichi)
大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。海外産業人材育成協会(AOTS)、長崎外国語大学を経て、現在、武蔵野大学グローバル学部教授。専門は、日本語教育学、言語教育政策。 [主な著書・論文] 『未来を創ることばの教育をめざして――内容重視の批判的言語教育の理論と実践』(編著、ココ出版、2018年) 『チャレンジ!多文化体験ワークブック――国際理解と多文化共生のために』(共著、ナカニシヤ出版、2019年) 『The Global Education Effect and Japan: Constructing New Borders and Identification Practices(Politics of Education in Asia)』(共著、Routledge、2020年) 「共生社会を実現するための日本語教育とは」(『社会言語科学』24(1)、2021年) 『オンライン国際交流と協働学習――多文化共生のために』(共著、くろしお出版、2022年) 『Open Borders, Open Society?: Immigration and Social Integration in Japan』(共著、Verlag Barbara Budrich、2022年) 「公的日本語教育を担う日本語教師に求められるもの」(『日本語教育』181、2022年) 『ことばの教育と平和――争い・隔たり・不公正を乗り越えるための理論と実践』(共編著、明石書店、2023年)
タイトルヨミ
カナ:ニホンゴガクシュウハホントウニヒツヨウカ
ローマ字:nihongogakushuuhahontounihitsuyouka

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