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2019年3月11日発売

北大路書房

出版社名ヨミ:キタオオジショボウ

声の法社会学

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内容紹介
紛争,問題解決場面や乗り越えの過程で〈声〉はどんな働きをするのか。本書は,〈声〉が〈法〉と,身体が規範・文化・制度と,ぶつかり,きしむさまを,描こうとしたエスノグラフィカルな考察である。声の働き,即ち,本人性,手触り(メタメッセージ),言葉・物語・意味とのあらがい,それらの記述を試みた苦闘の跡でもある。

【主な目次】
序 章 声に現れる法,法からはみ出る声
●第I部 交通する主体
第1章 新たな法主体の可能性:コールバーグ/ギリガン論争を出発点に
第2章 日常的実践としての紛争=処理
第3章 日常的交渉場面に現れる法
第4章 理由をめぐる生活実践と法
第5章 葛藤乗り越え過程における“人びとのやり方”:その語り口分析から
●第II部 領有からはみ出す声とからだ
第6章 身構えとしての声:交渉秩序の反照的生成
第7章 紛争過程における当事者の声:自主的解決支援の罠と可能性
第8章 ナラティヴとメディエーション:反物語の声
第9章 痛みと償い:震えの声の前で
第10章 痛みと紛争解決:混沌の声に立ち会う
第11章 身体的関わりと了解
目次
 序章 声に現れる法,法からはみ出る声
   1 気づいていない当事者=気づかせる専門家
   2 経験をカウントする法
   3 インタビューの敗北
   4 声のしわざ
    4.1 本人性  4.2 声の手触り(メタメッセージ)  4.3 声と言葉  4.4 声と物語  4.5 意味から離れた声  4.6 声から身体へ
   5 本書の構成

第Ⅰ部 交通する主体

 第1章 新たな法主体の可能性 コールバーグ/ギリガン論争を出発点に
  はじめに
  第一節 コールバーグ/ギリガンモデルの位相
   1 Kモデルの「理想的役割取得」
   2 生態学的視点からのKモデル批判
   3 Gモデルの含意
  第二節 新たな主体イメージの可能性
   1 四つの主体イメージ
   2 「関係に生きる」主体から「交通する」主体へ
  第三節 「交通する」主体と法秩序
   1 三つの法秩序の主体イメージ
    1.1 全体的正義  1.2 個人的正義  1.3 共同体的正義
   2 「交通する」主体の法秩序イメージ
    2.1 「接触の共同体」あるいは「点滅共同体」  2.2 秩序化の契機
   3 交通を支援する法制度
    3.1 対面の直接性  3.2 状況に開かれた発声空間
  おわりに

第2章 日常的実践としての紛争=処理
   1 紛争の法社会学
    1.1 制度志向の紛争研究  1.2 紛争の生成研究へ
   2 日常的実践の凝視
    2.1 日常的実践  2.2 状況的認知研究  2.3 声という実践──接触から生まれる声
   3 実践研究から紛争処理実践へ
    3.1 視角としての実践研究  3.2 処理機構から接触媒介へ  3.3 媒介者としての弁護士

第3章 日常的交渉場面に現れる法
   1 はじめに
   2 しぐさの中の法
   3 対面的了解のテスト
    3.1 現場交渉  3.2 テストとしての了解活動
   4 おわりに

第4章 理由をめぐる生活実践と法
   1 問題関心
   2 離職理由のジレンマ
    2.1 解雇による人格の否定視  2.2 「自己都合」扱いによる二重の自己否定  2.3 「自己都合」扱いによる自己の保持  2.4 理由問題の外観
   3 理由問題のスパイラル
    3.1 解雇扱いによる自己の回復──「辞めさせられたと大手を振って」  3.2 理由問題からの脱却──問いをずらす
   4 若干の展望

第5章 葛藤乗り越え過程における “人びとのやり方” その語り口分析から
   1 問題意識──「顧客満足」経営という視点
   2 ヒアリング・データの分析
    2.1 調査概要  2.2 ケース分析
   3 考察と仮説──“経験” に踏みとどまる話法
    3.1 語りの四つのモード  3.2 “経験” 話法による乗り越え
   4 まとめと今後の課題
    4.1 “人びとのやり方” から得られる示唆  4.2 今後の研究課題


第Ⅱ部 領有からはみ出す声とからだ

第6章 身構えとしての声 交渉秩序の反照的生成
   1 声に現れる日常と法
   2 記述される事実
    2.1 法の記述様式  2.2 語る資格  2.3 要件事実に乗らない事実
   3 出来事を出来事以外で語ること
    3.1 証人尋問  3.2 出来事の陳腐化への抵抗
   4 交渉秩序の反照的生成

第7章 紛争過程における当事者の声 自主的解決支援の罠と可能性
   1 はじめに
   2 事例
    2.1 夫との面接経過  2.2 妻との面接経過  2.3 土壇場で即決
   3 望まれる声
    3.1 カウンセリングの「成果」?  3.2 プロットの導入──非自律的パーソナリティの構築  3.3 転移のエスカレーション  3.4 さぐり=当たり
   4 転移と支援──関与者とのあいだに生まれる特別な関係
    4.1 転移的関係の広がり──引っ張り込みの力と傾聴  4.2 当事者の位置取り
   5 おわりに  157

第8章 ナラティヴとメディエーション 反物語の声
   1 はじめに
   2 〈問題〉の解決から〈物語〉の改訂へ
   3 混沌の語り
   4 声の復唱
   5 声に立ち会うこと──声を物語に回収しない
    5.1 さし出される声  5.2 証人の証人
   6 おわりに

第9章 痛みと償い 震えの声の前で
   1 はじめに
   2 問題の所在
   3 意味づけプロセスとしての喪失
    3.1 喪失は〈終わったこと〉ではない  3.2 プロセスとしての償い
   4 理解から攪乱へ
    4.1 報告が詩に変わるとき  4.2 意味取り回路の切断
   5 おわりに──振舞いの即興性

第10章 痛みと紛争解決 混沌の声に立ち会う
   1 問題の所在
    1.1 痛みの損害化とその余剰  1.2 痛みの〈と〉紛争解決モデル
   2 痛みは語れるか?
    2.1 不定で多面的な痛み  2.2 物語の不能──痛みを語る困難
   3 声に立ち会う──徹底的な受動性の中で
    3.1 物語的救出の無効  3.2 痛みの個別性  3.3 ただ聴くという責任  3.4 召喚──徹底的な受動性
   4 痛みの声と紛争解決
    4.1 対面性の契機──個別性において出会うこと  4.2 しるし──世界の再所有
   5 おわりに

第11章 身体的関わりと了解
   1 問題の所在
   2 からだで確かめる事実
    2.1 身体的軌跡のなぞり  2.2 問いの焦点化
   3 保護者説明会
    3.1 言い繕い,廃棄,逃げ腰  3.2 メモ廃棄の意味
   4 検証委員会──物語の自己成就
    4.1 身体から離れた提言  4.2 背景を探らない背景
   5 了解基盤としての身体的関わり
    5.1 しぐさによる自己暴露──無様で雄弁なからだ  5.2 「70の156です。」
   6 訴訟──「誰でもない/体のない」化け物:NO-BODY
    6.1 黒い魔物  6.2 「現実」をカウントする法
   7 求められる関わりの形
    7.1 身体的手がかりと了解──からだが生み出す了解の芽  7.2 了解を生む身体配置──共同注意の構図
   8 おわりに──了解活動は終わらない

あとがき
文献一覧
初出一覧
著者略歴
西田 英一(ニシダ ヒデカズ nishida hidekazu)
西田 英一(にしだ・ひでかず) 1958年 福井県に生まれる 1982年 京都大学法学部卒業 1985年 京都大学大学院法学研究科博士課程中途退学 現 在 甲南大学法学部教授 《著書》 『振舞いとしての法: 知と臨床の法社会学』(共編集)法律文化社 2016年 『震災後に考える: 東日本大震災と向きあう92の分析と提言』(分担執筆)早稲田大学出版部 2015年 『法の観察: 法と社会の批判的再構築に向けて』(分担執筆)法律文化社 2014年
タイトルヨミ
カナ:コエノホウシャカイガク
ローマ字:koenohoushakaigaku

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