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2023年5月23日発売

文学通信

出版社名ヨミ:ブンガクツウシン

東アジアにおける笑話

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内容紹介
新たな進展をもたらす、最新の「笑話」研究。

中国白話文学と日本近世文学の比較研究を専門とする川上陽介が代表となってはじめた共同研究の成果。佐伯孝弘〈浮世草子〉、荒尾禎秀〈日本語学・書誌学〉、島田大助〈噺本〉、台湾の王國良(中国俗文学・敦煌学・中国文献学・中国古典小説・東アジア漢文学)、韓国の崔溶澈(中国小説)らにより、「東アジアにおける笑話」の諸相を、さまざまな角度から検討し直す。

佐伯孝弘は、浮世草子『籠耳』の「笑話性」を分析。荒尾禎秀は、『訳解笑林広記』の文字の特徴を日本語学の立場から検証。島田大助は、噺本研究の立場から日本の笑話集の「絵」を考える。川上陽介は、『訳解笑林広記』の全注釈。語学的に正確に読み解くだけでなく、「笑いのツボ」を正しく読み取ろうとする。王國良は、中国・朝鮮・日本の漢文笑話を概観し、「笑話」の話型を分類する。崔溶澈は、前人未到、禁断の朝鮮時代の「性笑話」を初めて分析する。翻訳は、閻小妹(読本、中国古典小説)、申英蘭(日本近代文学・日中比較文学〈近現代〉・日中韓比較文化)、全怡炡(日本近世文学)。

「笑い」は、人間の本性を如実に表すものである。そして、「笑い」ほど人生を豊かにしてくれるものはない。
目次
はじめに(川上陽介)
一 笑話をさまざまな角度から検討し直す
二 本書の構成
三 文学研究を志す学生のために

第1章
浮世草子『籠耳』考(佐伯孝弘)
一 はじめに
二 『醒睡笑』の利用
三 作品全体の笑話性
四 『宇治拾遺物語』の利用
五 その他の要素――多様性――
六 おわりに

第2章
『訳解笑林広記』の漢字字体(荒尾禎秀)
一 はじめに
二 調査の資料と方法
三 調査結果と考察
四 『訳解笑林広記』にみる変字法の可能性
五 『訳解笑林広記』の字体の特徴
六 まとめにかえて

第3章
日本の笑話本と東アジアの笑話本—絵の用い方に注目して—(島田大助)
一 はじめに
二 東アジアの笑話本
三 日本笑話と絵
四 笑話の絵本化による文字数の変化
五 草双紙仕立て笑話本の問題
六まとめ

第4章
『訳解笑林広記』全注釈(九)(川上陽介)
一 はじめに
111 拾螞蟻(蟻を掬い上げる)〜120 過橋嚏(橋を渡っているときにクシャミ)


第5章
中国・朝鮮・日本における漢文笑話の発展・伝播とその比較(王 國良)(共訳:閻 小妹・申 英蘭)
一 はじめに
二 朝鮮における漢文笑話の伝播について
三 日本における漢文笑話の伝播について
四 中国・朝鮮・日本における漢文笑話の具体例
(1)自慢や見栄
(2)虚偽と詐欺
(3)妄想・愚昧
(4)間違い
(5)教養のない、無知な人間を嘲笑う話
(6)欲張りすぎて罰が当たった話
(7)食欲と色欲
(8)物忘れと居眠り  
五 結び

第6章
朝鮮時代の漢文笑話本と性笑話の特徴(崔 溶澈)(訳:全 怡炡)
一 はじめに
二 朝鮮時代の漢文笑話集
三 漢文笑話集の序・跋文
四 韓國漢文性笑話の特徵
(1)漢文笑話の性行為描写
(2)文字遊戯と吏讀式表現
(3)性笑話の対象と類型
五 漢文性笑話の中韓比較
六 結語

[中国語]中、韓、日漢文笑話之發展.流傳與比較(王 國良)
[韓国語]조선시대의 한문소화집과 성소화의 특징 최용철(崔 溶澈)

執筆者・翻訳者一覧
著者略歴
佐伯 孝弘(サエキ タカヒロ saeki takahiro)
所属・専門――清泉女子大学教授(日本近世文学) 主要著書・論文――『浮世草子研究資料叢書』全7巻(共編、クレス出版、二〇〇八年)、『江島其磧と気質物』(若草書房、二〇〇四年)、「死なせぬ復讐譚―『万の文反古』巻三の三「代筆は浮世の闇」を巡って―」(清泉女子大学「日本文学と怪異」研究会編『日韓怪異論―死と救済の物語を読み解く―』笠間書院、二〇一七年)
荒尾 禎秀(アラオ ヨシヒデ arao yoshihide)
所属・専門――東京学芸大学名誉教授・元清泉女子大学教授(日本語学〈近世近代の語彙・表記・辞書〉) 主要著書・論文――『日本語学から見た和刻本『福恵全書』―索引と素描―』(汲古書院、二〇二二年)、「近代日本語資料としての渋沢・杉浦『航西日記』―左振仮名を中心に―」(『近代語研究』第二〇集、二〇一八年)、「『雑字類編』と「納日」」(『学芸国語国文学』第四五号、二〇一三年)
島田 大助(シマダ ダイスケ shimada daisuke)
所属・専門――安田女子大学教授(日本近世文学・舌耕文学) 主要著書・論文――『近世はなしの作り方読み方研究―はなしの指南書―』(新葉館出版 二〇一三年八月)、『よみがえる講談の世界 水戸黄門漫遊記』(国書刊行会、二〇〇六年四月)、「中国笑話集と『増補萬寶全書』」(『東アジアの古典文学における笑話』、新葉館出版、二〇一七年一〇月)
川上 陽介(カワカミ ヨウスケ kawakami yousuke)
所属・専門――富山県立大学教授(日本近世文学・中国白話文学) 主要著書・論文――「遠山荷塘施訓『訳解笑林広記』小考」(『国語国文』八六巻五号、二〇一七年五月)、 『京都大学蔵 潁原文庫選集』全一〇巻(監修責任・共編、臨川書店、二〇一六~二〇一九年)、 「『笑府』三種比較攷(上・下)」(『国語国文』六八巻一号・二号、一九九九年一月・二月)
王 國良(オウ コクリョウ ou kokuryou)
所属・専門――國立臺北大學名誉教授(中国俗文学・敦煌学・中国文献学・中国古典小説・東アジア漢文学) 主要著書・論文――「明末清初的典籍庋藏與傳承―以錢謙益爲主軸的探討」(『書目季刊』第五十四巻第四期、二〇二一年三月)、『冥祥記研究』(臺北市文史哲出版社、一九九九年)、『魏晉南北朝志怪小說研究』(臺北市文史哲出版社、一九八四年)
崔 溶澈(チェ ヨンチョル che yonchoru)
所属・専門――高麗大学名誉教授(中国小説) 主要著書・論文――『四大奇書と中国文化』(高麗大学校出版文化院、二〇一八年)、『紅樓夢(共譯)』(ナナム出版、二〇〇九年)、『紅樓夢伝播と翻訳』(シンソンウォン出版、二〇〇七年)、「明代笑話『絶纓三笑』と朝鮮刊本『鍾離葫蘆』」(『域外漢籍研究國際學術研討會』南京大學域外漢籍研究所、二〇〇七年)、『鍾離葫蘆(訳注)』(『中国小説論叢』韓国中国小説学会、二〇〇二年)
タイトルヨミ
カナ:ヒガシアジアニオケルショウワ
ローマ字:higashiajianiokerushouwa

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