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2024年6月28日発売

小鳥遊書房

出版社名ヨミ:タカナシショボウ

ディストピアSF論

人新世のユートピアを求めて
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内容紹介
誰かのユートピアは、
誰かのディストピアである。
ユートピアがディストピアに変容するトポス(場所)を古典的な作品から現代までSFに探る。
「監視」「人工知能」「人口調整」「例外状態」「災害」「気候変動」「労働解放」などを鍵語に、
ユートピアとディストピアとの境界線をたどりながら、人新世のユートピアを想像/創造しよう。
目次
はじめに◉欲望されるディストピア
第1章◉古典的ディストピア—三部作から二一世紀ディストピアへ
1  『一九八四年』に描かれていないもの
 1—1 惹かれる理由
 1—2 客体としての過去
 1—3 非人間的手段
 1—4 オーウェルの(不)可能性
2   『すばらしい新世界』のすばらしいアポリア
 2—1 「すばらしい」人口・階級管理
 2—2 「すばらしい」感情の排除
 2—3 「すばらしい」ソーマ
 2—4 標準からの偏差 バーナード・マルクス
 2—5 内部化される外部 高貴な野人・ジョン
 2—6 システムのアップデート 世界統制官ムスタファ・モンド
 2—7 四層ヒエラルキー
3  『華氏451度』のメディア(媒体)
 3—1 本(知識)を管理する者
 3—2 媒体としての本自体
 3—3 本の読み手(インテリvs大衆?)
4  二一世紀ディストピアへ
 4—1 《①場所—境界・統治・法・アーキテクチャ》
 4—2 《②市民—階級・道徳・身体》
 4—3 《③労働—生産・消費》
 4—4 《④メディア—リテラシー・コミュニケーション》
 4—5 《⑤環境—災害・気候変動》
第2章◉監視ディストピア—スマート化された身体のアイデンティティ
1  風景から環境へ、溶け込むカメラ
2  ヒューリスティックと合理性のあいだ—映画『AI崩壊』
 2—1 地に足のついたAI像
 2—2 なぜ浩介は妻を助けなかったのか
 2—3 なぜAIのぞみは修正プログラムをカメラで読むのか
3  不可視化する/される階級的身体—林譲治『不可視の網』
 3—1 監視カメラ下での不可能犯罪
 3—2 不可視化する/される階級的身体
4  遠のく「透明化」—デイヴ・エガーズ『ザ・サークル』
 4—1 サークルのサービス
 4—2 透明化、そして完全化へ
 4—3 メイの「裂け目」と欲望の行方
 4—4 通時的/共時的な因果関係
5  分人dividualsと散映divisuals—エアリプと平野啓一郎『ドーン』
 5—1 分人と散映
 5—2 散映と透明化
 5—3 分人のアイデンティティ
 5—4 私たちはどうしてエアリプをしてしまうのか
6  監視ディストピア 結論
第3章◉人口調整ディストピアと例外社会
1 少子高齢化時代の「炎上」案件
2 人減らしディストピアの原型—星新一「生活維持省」
3 「かわりましょかわりましょ」—藤子・F ・不二雄「定年退食」
4 老後の人権がありません!—垣谷美雨『七十歳死亡法案、可決』
5 決断できない国民・決断できる政治家 —山田宗樹『百年法』
6 確率化された暴力としての国家繁栄=福祉—映画『イキガミ』
7 静謐な「自決」を止める—映画『PLAN75』
8 結論
第4章◉災害ディストピアとニーズの分配
1 人新世と気候正義
2 ソルニットの災害ユートピア
3 新しい社会を設計する—ジョン・ウィンダム『トリフィド時代』
4 猿の惑星〈新三部作〉
 4—1 『猿の惑星:創世記』
 4—2 『猿の惑星:新世紀』
 4—3 『猿の惑星:聖戦記』
 4—4 ユートピア/ディストピアの置換
5 石油の枯渇した社会で—パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』
6 『日本沈没—希望のひと』
 6—1 科学的態度
 6—2 パターナリズムと報道の自由
 6—3 個別的な国民と普遍的な人権
 6—4 『希望のひと』が「沈めた」もの
 6—5 移民に対する想像力
 6—6 韓国・朝鮮半島
 6—7 人々の日常生活
7 災害ディストピア 結論
補論 小松左京『日本沈没』と日本人の成熟
 補—1 「おとな民族」と地球の進化
 補—2 草食系男子の成熟
 補—3 アニメ『日本沈没2020』
第5章◉労働解放ディストピアの製造コスト
1 生産と再生産のトレードオフ—カレル・チャペック『ロボット RUR』
2 もっとも人間らしいのは誰だ—H・G・ウェルズ『タイムマシン』
 2—1 どちらに感情移入するのか
 2—2 どちらか人間らしいか
 2—3 タイムトラヴェラーは人間らしいか
3 人間から労働が疎外されたユートピア—映画『ウォーリー』
 3—1 あらすじ
 3—2 人間の労働をロボットに置き換えることは可能か?
 3—3 労働する手足
 3—5 道具の目的性と逸脱
4 想像力の放逐—小川哲『ユートロニカのこちら側』
5 無所有主義とアナキズム—アーシュラ・ル・グィン『所有せざる人々』
 5—1 オドー主義の非中央集権性
 5—2 関係性の所有(=所有的関係)
 5—3 創造性を所有できるか
 5—4 知識の偏在は解消できるのか
6 労働解放ディストピア 結論
おわりに◉支配と抵抗の脱構築
1 プラトンのユートピア
2 《私たち》から《あいつら》をパージする
3 仮想現実のユートピア/ディストピア性
4 ハッピークラシーの生前統治
5 希望と絶望のタペストリー

参考文献
あとがき
索引
著者略歴
海老原 豊(エビハラ ユタカ ebihara yutaka)
1982年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻修士課程修了。SF評論家。「グレッグ・イーガンとスパイラルダンスを:「適切な愛」「祈りの海」「しあわせの理由」に読む境界解体の快楽」で第2回日本SF評論賞優秀賞を受賞。著書に、単著『ポストヒューマン宣言:SFの中の新しい人間』(小鳥遊書房)、共編著『3・11の未来:日本・SF・創造力』(作品社)、共著『ポストヒューマニティーズ:伊藤計劃以後のSF』(南雲堂)ほか。
タイトルヨミ
カナ:ディウトピアエスエフロン
ローマ字:diutopiaesuefuron

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