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2018年11月1日発売

公益財団法人たばこ総合研究センター

談 no.113 感情生成 生の始まり

感情生成 生の始まり
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内容紹介
感情強要社会

日常生活のさまざまなシーンにおいて、理性よりも感情に訴える主張が目に付く。たとえば、SNSの炎上や職場での過剰なサービス精神の強要、あるいは選挙で感情的に訴える候補者たち…。国家や企業、共同体が手を変え品を変え巧妙にかつ周到に感情的な共感を引き出し、献身や購買といったかたちで人々を動員しているのが現代社会だ。

いまこそ、この状況を正確に捉え、感情に操られないためのリテラシーを構築することが必要ではないか。理性/感情の対立という構図をいったんタブラサ(白紙還元)することから始めよう。
目次
・〈感情と自己欺瞞〉自分のつくウソに喜んで騙される私とはどういう人なのか
堀内進之介(首都大学東京客員研究員、現代位相研究所首席研究員/政治社会学・批判的社会理論)

自分の理性の不十分さや意志の弱さに付け込まれ、あるいは感情への期待を逆手にとられ、国家や会社や共同体に都合よく動員されてしまう。だまされていることに気づきながらも、もっともらしい理由をつけて納得しようとする。理性より感情を重視する思潮にあって、こうした感情の負の側面にこそ注視する必要がある。あらためて「冷静に考える」ための条件や環境を整えることの重要性について考察する。

・〈キャラ化とイツメンの世界〉つながり過剰症候群…ともだち探しという明るい地獄
土井隆義(筑波大学人文社会系教授/社会学)

決して周囲から突出してはならず、協調しあいながら摩擦を避け、仲良し関係を営み続けなければならない。そういった過剰な同調圧力こそ、今日のいじめの根底に潜んでいるものだと土井氏は言う。同調圧力、すなわち過剰なつながりへの拘りを、感情の強要とのかかわりから分析する。


・〈暴走する現代の世間〉やさしい世間はどこにある?…〈空気読め〉の構造からの脱却
佐藤直樹(九州工業大学名誉教授・現代評論家)

伝統的な人的関係である「世間」は、日本独自のものだが、明治以降の近代化、すなわち西欧化の進展によって、いずれ解体・消滅すると考えられてきた。ところが、1990年代末ぐらいから、この「世間」が逆に暴走し、凶暴化し始めていると「日本世間学会」を設立した一人である佐藤氏は言う。なぜ、今、「世間」が暴走・凶暴化するのか。ポジティブ感情、ネガティブ感情の交差からその正体に迫る。
著者略歴
板倉 昭二(イタクラ ショウジ itakura shouji)
1959年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授 著書に『心を発見する心の発達』(京都大学学術出版会、2007)、『「私」はいつ生まれるか』(ちくま新書、2006)、編著書に『発達科学の最前線』(ミネルヴァ書房、2014)他。
渡辺 正峰(ワタナベ マサタカ watanabe masataka)
1970年生まれ。東京大学大学院工学系研究科准教授、ドイツ・マックス・ブランク研究所客員研究員 著書に『脳の意識、機械の意識 脳神経科学の挑戦』(中公新書、2017)、共著に『イラストレクチャー認知神経科学』(オーム社、2010)、『理工学系からの脳科学入門』(東京大学出版会、2008)、他。
信原 幸弘(ノブハラ ユキヒロ nobuhara yukihiro)
1954年兵庫県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授 著書に、『情動の哲学入門 価値・道徳・生きる意味』(勁草書房、2017)、『意識の哲学 クオリア序説』(岩波書店、2002)、『心の現代哲学』(勁草書房、1999)、他多数。
タイトルヨミ
カナ:ダン ヒャクジュウサン
ローマ字:dan hyakujuusan

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