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2021年12月14日発売

文学通信

出版社名ヨミ:ブンガクツウシン

Butoh入門 肉体を翻訳する

肉体を翻訳する
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内容紹介
舞踏という迷宮を、旅するためのガイドブック。
「舞踏って何なんだろう」と漠然と思っているひとにも、専門的に舞踏を研究しているひとにも最適な本。
踊りとは、ダンスとは、そして、世界中で通じるButohとは何か。
「言葉では表現できない」という言葉であらわされるButohについて、言葉で立体的に捉えると何が見えてくるのか。果たして肉体を駆使する言語としての舞踏は、どのような言葉から成り立っているのか。その肉体を翻訳します。

舞踏をこれまであまり意識しなかったひとたち、舞踏よりもむしろButohという国際的なものとしてそれに出会ったひとたちに向けた、ありそうでなかった入門書。コラムではそれぞれの視点から舞踏の歴史や国際交流について紹介、代表的な舞踏家を列挙した「舞踏『図』譜」や、舞踏に関する参考文献を集めた「舞踏『書』譜」、それに年表「舞踏『年』譜」も付す。この一冊に舞踏について考える材料が詰まっています。

執筆は大野ロベルト、相原朋枝、酒向治子、ブルース・ベアード、ローズマリー・キャンデラリオ、横尾咲子、関 典子、塚田美紀。

【私が本書の編者となっているのは、奇をてらってのことではないのである。「媒がなければ舞踏を身近に感じることができない」地点から出発したという意味において、私は執筆者の誰よりも読者一般に近い立場にある。現代における舞踏の受容のあり方を体現する一人として、「私の場合」を出発点に置いた結果、このような書物が出来上がった。むろん、その出発点から一歩を踏み出し、舞踏というものを立体的に捉えるためには、共編者と各執筆者の専門的な知見と経験が不可欠であった。
 私自身、本書の各章に手を引かれて、ようやく舞踏の森を抜けたばかりである。ぜひ読者にも、それぞれの経路で、この迷宮に踏み込んでいただければ幸いである。】…あとがきより
目次
舞踏「図」譜

土方 巽/大野一雄/大野慶人/笠井 叡/石井満隆/元藤燁子/玉野黄市/中嶋 夏/高井富子/大駱駝艦/山海塾/白桃房(友惠しづねと白桃房)/小林嵯峨/和栗由紀夫/山本 萌/三上賀代/上杉満代/武内靖彦/秀島 実/室伏 鴻/アリアドーネの会/白虎社/北方舞踏派/ダンス・ラヴ・マシーン/エイコ&コマ/竹之内淳志/吉岡由美子(ミゼール花岡)/SU-EN/Oguri/ゆみうみうまれ/岩名雅記/岩下 徹/山田せつ子/山崎広太/伊藤キム/工藤丈輝/鈴木ユキオ/東雲舞踏
【・舞踏とその歴史において重要な舞踏家や舞踏グループ、振付家、ダンサー、パフォーミングアーティストのリストである。・おおむね二〇年以上の活動歴を有し、本書に登場する個人、団体を主な対象としている。】

序にかえて─舞踏家がバサバサと骨ばった腕を拡げてくる

第1章 綱渡りする死体─日本語の身体性(大野ロベルト)

1 舞踏と言葉と身体/2 能と和歌/3 テクストの狭間にいる業平/4 筒井筒/井筒─反転する歌ことば/5 和歌と身体/6 涙の井戸と分身と/7 おわりに

第2章 肉体と観念の三重奏─土方巽・澁澤龍彥・三島由紀夫(大野ロベルト)

1 前口上/2 序曲─三人の交差/3 ワルプルギスの夜─第一夜/4 ワルプルギスの夜─第二夜/5 ワルプルギスの夜─第三夜/6 傀儡としての文学者/7 オブジェ、人形、書斎─澁澤龍彥/8 肉体の余生─三島由紀夫/9 作家は舞踏家の夢を見たか─土方巽

第3章 舞踏の技法、舞踏の身体─大駱駝艦と野口体操(相原朋枝)

1 舞踏の方法論をめぐって/2 大駱駝艦と舞踏/3 大駱駝艦の分派と舞踏の拡大/4 大駱駝艦の方法論と野口体操/5 宇宙体という受動態/6 開かれる舞踏

[Column] カニングハムと土方巽─アンチモダニズムの心身(酒向治子)

第4章 西洋的欲望の迷宮に踊る─日本国外での土方巽(ブルース・ベアード)(大野ロベルト訳)

1 舞踏史の興味深い一面/2 世界に拡散する舞踏(土方は抜きで)/3 西洋における当初の舞踏理解/4 舞踏史に土方をさしもどす/5 アーカイヴのなかの土方/6 研究と実践における土方への新たな理解/7 未来へと向かう土方

第5章 舞踏百景─グローバルでローカルなダンス(ローズマリー・キャンデラリオ)(大野ロベルト訳)

1 舞踏と自然─基礎を築いたダンサーたちの活動/2 野外の舞踏、場所の舞踏、舞踏のようなもの─「新たなローカル舞踏」の浸透/3 結論

[Column] メキシコ人の血に流れる舞踏熱(横尾咲子)

第6章 舞踏とコンテンポラリーダンス─和栗由紀夫との協働を超えて(関 典子)

1 最初の謎/2 舞踏譜とは何か/3 謎を拓く言葉/4 舞踏譜のメカニズム─絵画・言葉・肉体/5 「想像を現実のものにすること」─シュルレアリスムとの類縁性/6 「飼い慣らされた動作」を離れて─オブジェの視点からの考察/7 再び「飼いならされた動作」を離れて─ダンスにおける実践/8 舞踏とコンテンポラリーダンス─和栗由紀夫との協働を超えて

第7章 言葉で踊る─一九九五年の大野一雄(相原朋枝)

1 上星川の稽古場/2 アルヘンチーナとの出会い、戦争、モダンダンス/3 舞踏の揺籃期/4 《ラ・アルヘンチーナ頌》での復活/5 眠りから覚めた子ども/6 魂が先行して肉体がついてくる/7 花魁道中道行/8 仏の行列/9 鰈のダンス/10 胎児の夢/11 言葉と舞踏

[Column] 美術館と身体表現─世田谷美術館の歩みを中心に(塚田美紀)

舞踏「書」譜
舞踏「年」譜

あとがき(大野ロベルト)

執筆者紹介
著者略歴
大野 ロベルト(オオノ ロベルト oono roberuto)
法政大学国際文化学部准教授。国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科博士後期課程修了。博士(学術)。日本社会事業大学社会福祉学部助教、同専任講師を経て、2021年より現職。The Routledge Companion to Butoh Performance (Routledge, 2018)に “A la Maison de Shibusawa: The Draconian Aspects of Hijikata’s Butoh” を寄稿。著書に『紀貫之─文学と文化の底流を求めて』(東京堂出版、2019)、訳書にM・ウィリアム・スティール『明治維新と近代日本の新しい見方』(東京堂出版、2019)などがある。
相原 朋枝(アイハラ トモエ aihara tomoe)
日本社会事業大学社会福祉学部准教授。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程退学。お茶の水女子大学助手、洗足学園短期大学准教授を経て現職。The Routledge Companion to Butoh Performance (Routledge, 2018)に “Open Butoh: Dairakudakan and Maro Akaji”を寄稿。実践に大野一雄の稽古への参加、エイコ(エイコ&コマ)との共演《Two Women》(2014)などがある。
タイトルヨミ
カナ:ブトーニュウモン
ローマ字:butoonyuumon

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