イスラーム原理主義の「道しるべ」

サイイド・クトゥブ/著 岡島稔/訳・解説 座喜純/訳・解説

イスラーム原理主義の「道しるべ」
サイイド・クトゥブ/著 岡島稔/訳・解説 座喜純/訳・解説
978-4-8074-0815-3
2008年8月
在庫あり
出版社による内容紹介:
エジプトでベストセラーになったがすぐに発禁になり、著者が死刑となったイスラーム原理主義の基本図書。「9・11」を起こしたアルカイダの教本とされている。現在も中東諸国では発禁本。
目次:
まえがき――『道しるべ』日本語版のもつ意味―――1
資本主義も社会主義も〝無明世界〟とする考え/聖戦(ジハード)としての「九・一一」という見解/イスラームの基本認識
道しるべ サイイド・クトゥブ―――7
序章9
イスラーム共同体に与えられた機会/イスラームに求められる精神的優位/イスラーム復興のための「道しるべ」
(一)偉大な世代にかえれ――コーランの教えに帰依した比類なき世代18
預言者不在の意味/「ムハンマドの本性はコーランだった」/コーランとの接し方が共同体を変える/ジャーヒリーヤの影響からの隔絶こそ
(二)全人類への呼びかけを聞け――コーラン的方法論の本質27
神と人、人と人との関係についての啓示/アラブ統一国家を超えた、アッラーへの帰依/ムハンマドが社会主義の道をとらなかった理由/信仰の深さと神への服従がもたらすもの/イスラーム共同体が法律を必要とするとき/イスラーム法を教えれば信徒になるのではない/イスラームは知的学習では発展しない/人間の世界観だけでなく行動を変えさせるのがイスラーム
(三)人の上に人をつくるな――イスラーム社会の特質と形成55
人が人を支配する社会を作る運動としてのジャーヒリーヤ/イスラーム社会以外の社会は人類の敵である
(四)アッラーの正義を貫く奮闘へ――ジハード(聖戦)の命令63
多神教徒、不信仰者との協定と戦い方/イスラームは抑圧的な制度や独裁を廃絶するために闘う/ユダヤ教徒とキリスト教徒は「多神教徒」になった/説教も剣による聖戦も、同じ意義をもつ/イスラームを迫害した人々も偉大なイスラーム指導者になる/イスラーム運動の目的は狭い意味での「防衛的」なものではない/聖戦の動機は個人の利益や欲望ではない/聖戦は特定の信仰を他者に強制する戦争ではない
(五)森羅万象の基盤を知れ――アッラー以外に崇拝すべき対象はない97
信仰告白と実践が両立しないとイスラームではない/日本もジャーヒリーヤ(無明)社会である/現在のアラブ諸国、「ムスリム社会」もジャーヒリーヤだ
(六)アッラーの一言一句に従え――万物を支配する普遍の法則111
アッラーへの完全服従による普遍の法との調和/この世とあの世は互いに補完している
(七)イスラーム社会こそ――唯一の文明社会118
「進歩的イスラーム」を自称するのはイスラーム社会ではない/家族の単位がなければイスラーム的ではない/イスラーム社会は真正な文明社会である/聖戦は最後の審判の日まで続く
(八)科学と芸術を導くアッラー――イスラームの概念と文化134
知識のあらゆる面で必要なアッラーの導き/ジャーヒリーヤ社会の学問はイスラーム原理と対立する/イスラーム大学発の科学を西洋は非イスラーム化した
(九)アッラーへの道はひとつだけ――ムスリムの国籍は信仰以外にない147
「イスラームの家」か「戦争の家」か/血縁関係よりも信仰関係がつくり出す「イスラームの家」/アッラーに選ばれた人だけがイスラーム共同体に結集する
(一〇)人間への隷従からの解放――偉大なる革新162
ジャーヒリーヤとの妥協は不可能/「イスラーム民主主義」「イスラーム社会主義」という迎合/イスラーム故の不幸でなく、イスラーム放棄による不幸/イスラームか、ジャーヒリーヤか。選択の問題である
(一一)信仰しさえすればいい――信仰の勝利179
イスラームの信仰の栄光はかつてなく輝く/ムスリムには殉教があり楽園へ、征服者は地獄に堕ちる/ムスリムは苦難に直面しても、真理と過誤を交換しない
(一二)求められる不動、不屈の精神――これこそアッラーの道189
「坑の住人」が死の直前に直視した真理/精神の不屈さと迫害への勝利に、アッラーは恩寵を約束する/「拷問されても耐え忍べ。楽園が約束されている」/敵との闘いは本質的に信仰の闘争だ。敵は信仰ゆえに激怒する
解説 時空を越えたクトゥブ主義(岡島稔)―――207
1 イデオロギーの衝突、文明の衝突にあらず209
「共産党宣言」に匹敵する衝撃と影響/弾圧によって殉教者となったクトゥブとクトゥブ主義者/全人類に向けて聖戦運動を拡大する/クトゥブ主義者であることを告白したウサーマ・ビン・ラディン/「九・一一」を実行したクトゥブ主義者たちへの称賛/ウサーマ・ビン・ラディンの日本批判発言
2 ムスリム同胞団の思想221
百万人のエジプト人の声を代表する大民衆組織
3 自由将校団とムスリム同胞団の連帯224
サダト元大統領と同胞団の地下でのつながり
4 クトゥブ少年の生い立ち228
幼少時代に体験したエジプト近代化の隘路/イスラームV.S非イスラームの対立で後者を選択/独立革命の燃えさかるカイロへの出発
5 社会正義への目覚め235
エジプト社会のとほうもない貧困と格差
6 イデオロギーの誕生、弾圧、刑死238
アメリカ留学で、イスラエル支持と人種差別に反発/ナセル政権との対立・弾圧・逮捕。懲役十五年の刑/ムスリム同胞団の再建と獄中での理論書執筆、処刑
7 アメリカの敵探しとイスラーム原理主義者たち244
「アメリカの平和を守るためにはアメリカの敵との戦争が必要だ」/極端な原理主義者批判が穏健なムスリムを動揺させる/クトゥブ主義をムスリム社会に広げていく「米国の二重基準」
解説 サイイド・クトゥブの希求した道(座喜純)―――253
ナセル大統領の釈放取引を拒否して死刑を受け入れた著書
A クトゥブの一生257
関連書籍

リッダ

F・E・アスマール/著 城川桂子/訳

ISBN978-4-8074-8110-1

在庫あり

中東

パレスチナ人の詩人である著者の半生を語る。ハイファに生まれた少年時代、突然やってきたユダヤ人が自分たちの土地を...


アフガン戦争

鳥井順/著

ISBN978-4-8074-9121-6

在庫僅少

中東

アフガン戦争はベトナム戦争と並んで、超大国が第三世界に直接介入して失敗、敗走、屈辱の撤退を強いられた軍事的メル...


ミドルイースト・ウォッチング

森戸幸次/著

ISBN978-4-8074-8614-4

在庫僅少

中東

中東問題を理解し、その本質を捉えるにはどのような方法が一番有効だろうか。この課題に重層的な視点からのアプローチ...


PLOと湾岸戦争

バカル・アブデル・モネル/著 関場理一/訳

ISBN978-4-8074-9120-9

在庫僅少

中東

中東湾岸戦争でもっとも傷を受けたのはパレスチナ人だといわれる。1990年夏から91年春までPLOは何を考え何を...


カイロの庶民生活

U・ヴィカン/著 小杉泰/訳

ISBN978-4-8074-8601-4

在庫僅少

中東

カイロの下町。子供のケンカに親が全面介入する。「戸口に坐る女」とは?アラブ女性の人生観は?日本人が既成概念と無...


アラブの目覚め アラブ民族運動物語

ジョージ・アントニウス/著 木村申二/訳

ISBN978-4-8074-8909-1

在庫僅少

中東

久しく邦訳が待たれていた古典的名著。オスマントルコ帝国の桎梏から逃れんとするアラブ民族運動の勃興と英仏独列強の...


世界は周辺部から変る

サミール・アミーン/著 北沢正雄/訳

ISBN978-4-8074-8200-9

在庫僅少

中東

アミーンの訪日講演集。日本資本主義が「成功」した原因、南北問題、世界資本主義システム、カンボジア問題、中央産油...


六日間 パレスチナ文学

H・バラカート/著 奴田原睦明/訳

ISBN978-4-8074-8006-7

在庫あり

海外文学中東文学

1948年、イスラエル建国の美名のもとに押し潰されていったカナンの地、故郷パレスチナの運命と西欧的自我、イスラ...


復刻版〈パレスチナ問題を考える〉シンポジウムの記録

板垣雄三/編著

ISBN978-4-8074-1212-9

在庫あり

中東

1977年に横浜で開催されたシンポジウム「パレスチナ問題を考える」の記録を復刻刊行。同シンポは板垣東大名誉教授...


さらばネフドの嵐

小滝透/著

ISBN978-4-8074-9116-2

在庫僅少

中東

日本とは全く違う文化的基盤をもったイスラーム世界の真っ只中、サウジアラビアに留学した日本人学生の身に何が起こっ...


※書誌情報はopenBDのAPIを使用しています。