命を救えなかった

渋井哲也/著

命を救えなかった
978-4-8074-1601-1
2017年3月
在庫あり
出版社による内容紹介:
この3・11で7回忌を迎える。 あの日、岩手県釜石市鵜住居(うのすまい)の防災センターに津波から逃れて逃げ込んだ老若男女、計248人にとって、そこは思いもよらない「防災」の場となってしまったのだった。 ここでの犠牲者数は200余人。そのなかに自らの妻も子供もいたひとりの男性に寄り添って、いま改めて3・11がもたらしたものの大きさを数々の写真と振り返る。
目次:
はじめに―――――1
妻子が亡くなった「防災センター」で見せた表情 1
「防災センター」にこだわる理由 6
第一章 被災―――――
15
「止まるな、上がれ!」片桐さんは市街地で被災 15
釜石保育園の避難行動 23
「両石の街がない。道路もない」 26
恋の峠を越えて鵜住居へ 32
幼稚園と保育園の情報が入り乱れた 36
避難者名簿には「カタギリコウイチ」がない 42
前日の会話 45
「遺体番号63妊娠中期」遺体安置所での悲しい〝対面〟 47
理香子さんと陽彩芽ちゃんの思い出 49
過去の津波で高台移転した吉浜 55
安否について口を濁される 56
母の足と遺体の足が似ていた 58
最後の実家での会話 61
仕事で「のぞみ病院」にいた駒林さん 64
「大槌は地獄絵図」と聞いた 66
失って地元が好きだったことがわかった 68
釜石市の飲食店街 73
病院付近では渋滞になっていた 81
父と母の手が離れて…… 83
第二章 〝キセキ〟と悲劇―――――88
子どもたちの避難を目撃した浦山さん 88
「奇跡」と呼ばれた小中学生の避難 92
奇跡のかげで亡くなった子どもたちがいた 107
恋の峠トンネル 108
「呆れるしかなかった」自宅の屋上で津波の写真を撮り続けた両川さん 110
ヘリコプターで救助された人たちの名簿を作った 114
「どこまで本気になって避難を考えていたのか」 119
祖母から聞いていた津波とは違っていた 121
「魔の3日間」と姉の遺体確認 124
「ここまでは津波がくるとは思わない」 128
救助が来ないため自力で避難所へ 131
車中泊しながら仕事を再開 134
仮設住宅で孤独死した弟 136
大好きな祖母を亡くした 137
現地に行けず、我慢しなければならなかった 140
防災センターで「何も言葉にできませんでした」 142
亡くなった祖母への思いと被災地外の温度差 144
防災センター解体。3年目は…… 147
第三章 避難訓練と周辺での犠牲―――――151
釜石市の検証 153
「センター」に避難したのは何人だったのか 155
ハザードマップでは「防災センター」は過去の浸水範囲だった 159
水害の歴史だった鵜住居 163
「防災センター」設立の経緯 164
町内会の避難訓練 167
町内会長の息子 169
無視されたメール 170
地震発生後、連絡が取れず…… 172
2日後から防災センターに通い続ける 176
涼斗くんを発見。琴美さんの遺体を確認 178
解体に賛同するも、複雑な思い 180
「センター」近くの自宅前で吹く虎舞の笛 182
文化祭ではつい、泣いてしまった 183
景色を見るのが辛かった 187
毎月お墓に来ていれば、お盆とか彼岸とか気にしなくなる 189
墓前で「東京五輪が決まったよ」と報告 192
第四章 園舎解体―――――196
「助けられる命」骨髄移植のドナーとなる 196
「コーヒーを置きにこないと」 202
「あのときの姿を保ちたい」当日着ていたジャンパー、切らない髪 206
「仕事帰ってきたら、おつかれさまって」子育てに専念する予定だった理香子さん 214
指定避難所に近くても、避難が遅く、津波に飲まれた前川さんの母と娘 215
「30分くらいあるのなら」指定避難所の鵜住神社まで歩いて考えた 227
なんで山さ逃げなかったのか? 228
二年半も経ってわかった避難した場所 232
第五章 防災センター解体―――――235
「防災センター」に手を合わせる人たち 235
「防災センター」の解体を決める 238
責任の取り方について 246
「もし、避難室にいれば……」 251
市を相手に訴訟 262
従業員もお客さんも日曜日は家族と過ごしてほしい 263
あとがき 釜石から広島へ―――――266
「広島に行かなきゃ!」 266
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