近刊検索 デルタ

2016年7月25日発売

法政大学出版局

出版社名ヨミ:ホウセイダイガクシュッパンキョク

共生への道と核心現場

実践課題としての東アジア
サピエンティア
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内容紹介
「核心現場」とは、沖縄、朝鮮半島、台湾のように歴史的矛盾が凝縮された「分断」の場所であるとともに構造的差別において苦しみのあるすべての現場を指す。東アジアの分断構造を解体し、和解を導くために、「共感と批評としての歴史学」を、さらには既存の学術制度を超える「社会人文学」を提唱する。相互憎悪を超えて、そこに生きる人々の苦しみを受けとめ、人文学という学問領域も刷新し、あらゆる現場で実践的な共生への道を提示する。
目次
プロローグ 核心現場から問い直す「新しい普遍」──東アジア分断構造克服への道
 1 なぜ「新しい普遍」を語るのか──「共有する普遍」と「コミュニケーション的普遍」
 2 「新天下主義」の内部秩序と「複合国家論」
 3 「新天下主義」の外部秩序と東アジア分断体制論
 4 おわりに──核心現場から新しい普遍を

第一部 東アジア論

第一章 核心現場に見いだす東アジア共生への道
 1 「沖縄帰属論争」再燃の意味
 2 核心現場とは
 3 核心現場と主権の再構成
 4 核心現場における自治権の拡大
 5 東アジアの共生の条件

第二章 連動する東アジア、問題として朝鮮半島──言説と連帯運動の二〇年
 1 なぜ今も東アジアなのか
 2 東アジア論の知的系譜と新しい状況
 3 東アジアの範囲と東アジア共同体という問題
 4 東アジア論と分断体制が出会う三つの層位
 5 複合国家という媒介項と現場のネットワーク

第三章 東アジア論と近代適応・近代克服の二重課題

 1 韓国発東アジア論を振り返る
 2 竹内好の「近代の超克」論からすくいだせるもの
 3 東アジア共同体──中短期的効果と長期的展望
 4 分断された朝鮮半島における複合国家論

第四章 平和に対する想像力の条件と限界──東アジア共同体論の省察
 1 東アジア的文脈における平和とは
 2 中国の和平屈起と東アジア共同体
 3 「普通の国」日本と東アジア共同体論
 4 「東北アジア時代」韓国の平和への道
 5 戦略的知性の結集と「実感としての東アジア」

第二部 中国︲韓国︲台湾

第五章 中華帝国論の東アジアにおける意味──批判的中国研究の模索
 1 なぜ「帝国としての中国」か?
 2 帝国言説の批判的検討(一)──朝貢体制再考
 3 帝国言説の批判的検討(二)──文明国家論と天下観の現在的機能
 4 周辺から模索される主権の再構成と帝国言説
 5 「帝国」論と「複合国家」論の(非対称的)対話

第六章 変わるものと変わらないもの──韓中関係の過去、現在、未来
 1 中国は私たちの運命なのか?
 2 韓中関係を規定する歴史的条件
 3 朝貢秩序は復活するのか
 4 文化大国論と新天下主義
 5 周辺の視座、互いを映す鏡

第七章 私たちにとって台湾とは何か──韓国︲台湾関係を問い直す
 1 私が「発見」した台湾
 2 韓国人の歴史経験のなかの台湾──媒介された出会いと直接向き合うこと
 3 台湾人のアイデンティティを理解するうえで必要な問い
 4 韓国︲台湾関係の未来を描く
 5 戦略的知性の結集と「実感としての東アジア」

第三部 社会人文学と批判的学問

第八章 社会人文学の地平を開く──その出発点としての「公共性の歴史学」
 1 問題提起──なぜ社会人文学なのか
 2 「危機の人文学」の代案
 3 人文精神と社会人文学の構想
 4 社会人文学と「公共性の歴史学」

第九章 共感と批評の歴史学──東アジアの歴史和解のための提言
 1 「良い歴史学」と公共性の歴史学
 2 共感を通じた歴史和解
 3 共感の歴史の事例を検討する──加藤陽子の著書を中心に
 4 「批評としての歴史学」の諸特徴

第十章 地球地域学としての韓国学の(不)可能性──東アジアの歴史和解のための提言

 1 はじめに
 2 内外から見た韓国学のアイデンティティ
 3 地球地域学としての韓国学
 4 地球地域学の兆候──地球的思考と地域的実践の事例
 5 結び

第十一章 「東洋史学」の誕生と衰退──東アジアにおける学術制度の伝播と変形


 2 日本帝国大学で創設された「東洋史学」と民間史学
 3 植民地朝鮮の東洋史学と朝鮮学運動
 4 中国の新史学の科学化・制度化
結論──東洋史学を越えて
補論

第十二章 韓国における中国学の軌跡と批判的中国研究
 1 問題の所在
 2 北学、支那学、そして漢学
 3 解放以後の中国学の軌跡と主な特徴──人文学分野
 4 結び──批判的中国研究の課題

解説と対話
白永瑞──同時代の証言者
 1 経歴
 2 主要業績
 3 本書の問題意識と概要
 4 同時代の証言者との対話

監訳者あとがき

初出一覧

人名索引
著者略歴
白永瑞(ペク ヨンソ peku yonso)
1953年生まれ。専門は中国現代史、東アジア現代史。ソウル大学校大学院博士課程修了。文学博士。翰林大学校史学科副教授などを経て、現在、延世大学校文科大学史学科教授兼文科大学長。(韓国)現代中国学会会長、(韓国)中国近現代史学会会長、延世大学校国学研究院長などを歴任。『創作と批評』の編集主幹、『台灣社會硏究』の編集委員なども務め、研究者・教育者だけでなく編集者としても活躍。主な著作に、『ポスト〈東アジア〉』(共編、東京:作品社、2006)、『核心現場から東アジアを問う――共生社会のための実践課題』(ソウル:創批、2013)、『社会人文学の道――制度としての学問、運動としての学問』(ソウル:創批、2014)、『思想東亞:韓半島視角的歷史與實踐』(臺北:台灣社會研究雜誌社、2009)、『思想東亞:朝鮮半島視角的歷史與實踐』(北京:三聯書店、2011)、『橫觀東亞:從核心現場重思東亞歷史』(臺北:聯經出版公司、2016)など。朝日新聞取材班『歴史は生きている――東アジアの近現代がわかる10のテーマ』(朝日新聞出版、2008)、新崎盛暉『新崎盛暉が説く構造的沖縄差別』(高文研、2012)の韓国語版共訳者でもある。
趙慶喜(チョウ キョンヒ chou kyonhi)
聖公会大学東アジア研究所HK(Humanities Korea)教授。専門は社会学。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。東京外国語大学にて博士号(学術)取得。主な著作に、「温情と教化の植民地主義――1910年代朝鮮総督府の社会救済事業」(『歴史問題研究』25号、2011)、「不安全な領土、密航する日常――解放後〜70年代における済州人の日本密航」(『歴史と社会』106号、2015)、「在韓在日朝鮮人の現在――曖昧な同胞の承認にむけて」(『インパクション』185号、2012)、『戦後の誕生』(共著、ソウル:Greenbee、2013)、『アジアの接触地帯』(共著、ソウル:Greenbee、2013)、『コリアン・ディアスポラと東アジア社会』(共著、京都大学学術出版会、2013)、金東椿『朝鮮戦争の社会史――避難・占領・虐殺』(共訳、平凡社、2008)など。
中島 隆博(ナカジマ タカヒロ nakajima takahiro)
東京大学東洋文化研究所教授。専門は中国哲学、比較哲学。主な著作に、『残響の中国哲学――言語と政治』(東京大学出版会、2007)、『荘子――鶏となって時を告げよ』(岩波書店、2009)、『共生のプラクシス――国家と宗教』(東京大学出版会、2011)、『悪の哲学――中国哲学の想像力』(筑摩書房、2012)、『コスモロギア――天・化・時』(編著、法政大学出版局、2015)、『法と暴力の記憶――東アジアの歴史経験』(共編、東京大学出版会、2007)、『宗教とこころの新時代』(共著、岩波書店、2016)、アンヌ・チャン『中国思想史』(共訳、知泉書館、2010)など。
タイトルヨミ
カナ:キョウセイヘノミチトカクシンゲンバ
ローマ字:kyouseihenomichitokakushingenba

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