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2021年7月26日発売

明石書店

出版社名ヨミ:アカシショテン

日本社会の移民第二世代

エスニシティ間比較でとらえる「ニューカマー」の子どもたちの今
世界人権問題叢書
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内容紹介
1990年代前後に来日した、移民第二世代の若者たち。その人生を振り返り紡いでくれた170名のひとりひとりの歴史、悩み、将来の夢から、直線的でも一様でもないホスト国日本への適応過程とその要因、世代間にまたがる文化変容の型がみえてくる。
目次
 はじめに

序章 移民第二世代研究を考える[清水睦美]
 序‐1 教育学研究におけるニューカマー研究
 序‐2 ニューカマー研究から「移民と教育」研究へ
 序‐3 本書の目的と構成
 序‐4 調査内容と対象者
 コラム 本書が対象とするエスニックグループの概要

第Ⅰ部 移民第二世代のエスニック・アイデンティティ

第1章 イントロダクション――多様化する移民第二世代のエスニック・アイデンティティ[額賀美紗子]
 1‐1 移民第二世代の日本社会への適応
 1‐2 移民第二世代のエスニック・アイデンティティの類型
 1‐3 本調査における移民第二世代のアイデンティティの全体像
 1‐4 エスニック・アイデンティティ分岐の過程と要因――エスニック集団間の比較から
 1‐5 小括――日本社会における移民第二世代の分節的同化

第2章 想像のエスニシティ――ベトナム系・カンボジア系のエスニック・アイデンティティ[清水睦美]
 2‐1 はじめに
 2‐2 インドシナ難民(親世代)の日本への社会移動
 2‐3 第二世代のエスニック・アイデンティティ
 2‐4 小括――エスニック・アイデンティティの分岐要因

第3章 親族コミュニティとの狭間で――中国帰国者三世のエスニック・アイデンティティ[坪田光平]
 3‐1 はじめに
 3‐2 中国帰国者家族と永住帰国政策
 3‐3 親族コミュニティとの関係のなかで
 3‐4 小括――中国系移民第二世代の適応過程と準拠集団の重要性

第4章 「帰国の物語」のもとでの模索――ブラジル系のエスニック・アイデンティティ[児島明]
 4‐1 はじめに
 4‐2 調査の対象と方法
 4‐3 ブラジル系第一世代の移動の特徴
 4‐4 ブラジル系第二世代のエスニック・アイデンティティ
 4‐5 エスニック・アイデンティティの分岐要因
 4‐6 小括――エスニック・コミュニティへの帰属と「帰国の物語」の受容

第5章 日系という表明の消失――ペルー系のエスニック・アイデンティティ[角替弘規]
 5‐1 はじめに
 5‐2 ペルー系移民第一世代の移動の特徴
 5‐3 ペルー系第二世代のエスニック・アイデンティティ
 5‐4 エスニック・アイデンティティの分岐要因
 5‐5 小括――「日系人」と表明しないことの背景

第6章 二国の狭間で揺れ動く――フィリピン系のエスニック・アイデンティティ[額賀美紗子・三浦綾希子]
 6‐1 はじめに
 6‐2 フィリピン系第二世代が育つ家族の構造と編入様式
 6‐3 第二世代のエスニック・アイデンティティ形成と学業達成
 6‐4 アイデンティティ分岐を促す構造的要因――若者たちのネットワークと家族の資本
 6‐5 小括――多様なアクターを含むハイブリッドな文化空間がもつ意義

第Ⅱ部 移民第二世代の学校経験

第7章 イントロダクション――生きられた経験としての排除[児島明]
 7‐1 移民第二世代と日本の学校文化
 7‐2 排除のとらえ方
 7‐3 知見のまとめ
 7‐4 小括――移民第二世代が学校における排除に抗する道筋

第8章 同化のなかの疎外感――ベトナム系・カンボジア系の学校経験[清水睦美]
 8‐1 はじめに
 8‐2 子世代の不安定さ
 8‐3 いじめ経験の語り
 8‐4 いじめ経験におけるヴァルネラビリティ
 8‐5 いじめの様相に違いをもたらす要因
 8‐6 小括――学校と家族の間をどう埋められるのか

第9章 困難経験の異同と階層性――中国系の学校経験[坪田光平]
 9‐1 はじめに
 9‐2 中国系移民第二世代における困難経験
 9‐3 困難経験の形成過程
 9‐4 困難経験の克服の方途
 9‐5 小括――中国系移民家族の理解に向けて

第10章 同化/差異化によるいじめの回避とその陥穽――ブラジル系の学校経験[児島明]
 10‐1 はじめに
 10‐2 ブラジル系第二世代のいじめの諸相――三つの事例
 10‐3 いじめはどのように生じるのか
 10‐4 いじめによる困難に影響を及ぼす要因
 10‐5 小括――ブラジル系第二世代にいじめ回避戦略を強いる学校の構造的要因

第11章 個人化した対処と自発的周辺化の背景――ペルー系の学校経験[角替弘規]
 11‐1 問題設定
 11‐2 ペルー系第二世代のいじめ経験
 11‐3 個人化するいじめへの対処
 11‐4 自発的周辺化
 11‐5 エスニック・コミュニティとの距離、孤立した家族
 11‐6 小括――いじめ経験をめぐる別の可能性

第12章 疎外感の形成と克服の方途――フィリピン系の学校経験[三浦綾希子・額賀美紗子]
 12‐1 問題設定
 12‐2 フィリピン系第二世代が直面する困難経験――疎外感の形成過程
 12‐3 疎外感を克服する道筋
 12‐4 小括――差異を認めあう学校づくりと多様な居場所の確保

第Ⅲ部 移民第二世代のジェンダー

第13章 イントロダクション――出身国のジェンダー規範の世代間継承[坪田光平]
 13‐1 出身国のジェンダー規範と移民家族への影響
 13‐2 出身国のジェンダー規範からの解放と本章の課題
 13‐3 出身国のジェンダー規範継承をめぐる親子関係の様相
 13‐4 小括――三つのエスニック集団間比較

第14章 親子の協和的関係の維持――「働き者」に向かうベトナム系第二世代の女性たち[清水睦美]
 14‐1 親子の協和的関係を保持する女性たち――儒教の影響
 14‐2 役割逆転への向きあい方――母親の権威保持の様相
 14‐3 小括――ジェンダー規範の継承のゆく先としての「働き者」

第15章 農村家族の教育期待と第二世代の進路形成――中国系の女性たち[坪田光平]
 15‐1 中国系移民家族におけるジェンダーと階層
 15‐2 第二世代女性の進路形成――ジェンダー規範の継承をめぐる三つの世代間関係
 15‐3 小括――移民第二世代女性のエンパワーメントに向けて

第16章 ジェンダー規範の世代間再構築――フィリピン系の女性たち[額賀美紗子]
 16‐1 フィリピン人女性に課された「トランスナショナルな家族ケア」
 16‐2 親子間のエスニック文化継承とジェンダー規範の再構築――三つのパターン
 16‐3 小括――エスニシティとジェンダーの交差性

第Ⅳ部 移民第二世代のトランスナショナリズム

第17章 イントロダクション――トランスナショナルな社会空間の世代間継承[三浦綾希子]
 17‐1 はじめに
 17‐2 第一世代のトランスナショナリズム
 17‐3 トランスナショナルな社会空間の世代間継承
 17‐4 トランスナショナルな社会空間の世代間継承の分岐を促す要因

第18章 構築される社会空間――ベトナム系第二世代のトランスナショナリズム[清水睦美]
 18‐1 「難民」としての親世代のトランスナショナリズム
 18‐2 子世代のトランスナショナル実践
 18‐3 小括――子世代のトランスナショナル実践に影響を及ぼす要因

第19章 国境を越えるキャリア志向――中国系のトランスナショナリズム[坪田光平]
 19‐1 トランスナショナルな家族の教育戦略
 19‐2 中国系移民家族におけるトランスナショナルな教育戦略
 19‐3 中国系移民第二世代のキャリア志向
 19‐4 小括――若者たちのキャリア志向を支えるもの

第20章 国を越える家族関係の創造――フィリピン系のトランスナショナリズム[三浦綾希子]
 20‐1 トランスナショナルな家族で育つフィリピン系第二世代
 20‐2 第一世代によるトランスナショナルな社会空間の形成
 20‐3 第二世代のトランスナショナリズム
 20‐4 トランスナショナルな社会空間の世代間継承の分岐要因

終章 移民親子の文化変容が照らし出す日本の教育課題[児島明]
 終‐1 移民親子の文化変容
 終‐2 エスニック集団間比較――ハイブリッド志向型アイデンティティの形成過程に注目して
 終‐3 学校における「つながり」形成の意味

補章 量的データからみた移民第二世代
 補‐1 問題設定[角替弘規]
 補‐2 親子の衝突[坪田光平]
 補‐3 言語獲得[清水睦美]
 補‐4 学校経験[角替弘規]
 補‐5 大学進学[額賀美紗子]
 補‐6 職業観[児島明]
 補‐7 第二世代の海外就労志向[三浦綾希子]

 移民第二世代インタビューリスト
 参考文献
 索引
 執筆者紹介
著者略歴
清水 睦美(シミズ ムツミ shimizu mutsumi)
日本女子大学人間社会学部 教授 学校臨床学,教育社会学 主著に『ニューカマーの子どもたち――学校と家族の間の日常世界』(勁草書房,2006年,単著),『震災と学校のエスノグラフィー――近代教育システムの慣性と摩擦』(勁草書房,2020年,共著),『もっと! 少人数学級――豊かな学びを実現するためのアイデア』(旬報社,2021年,共著).
児島 明(コジマ アキラ kojima akira)
同志社大学社会学部 教授 教育社会学 主著に『ニューカマーの子どもと学校文化――日系ブラジル人生徒の教育エスノグラフィー』(勁草書房,2006年,単著),『地域学 入門――〈つながり〉をとりもどす』(ミネルヴァ書房,2011年,共著),『社会のなかの教育』(岩波書店,2016年,共著).
角替 弘規(ツノガエ ヒロキ tsunogae hiroki)
静岡県立大学食品栄養科学部 教授 教育社会学 主著に『ダイバーシティ時代の教育の原理――多様性と新たなるつながりの地平へ』(学文社,2018年,共著),『教育社会学』(ミネルヴァ書房,2018年,共著).
額賀 美紗子(ヌカガ ミサコ nukaga misako)
東京大学大学院教育学研究科 准教授 教育社会学,比較教育学 主著に『越境する日本人家族と教育――「グローバル型能力」育成の葛藤』(勁草書房,2013年,単著),『移民から教育を考える――子どもたちをとりまくグローバル時代の課題』(ナカニシヤ出版,2019年,共編著),『新グローバル時代に挑む日本の教育――多様性を考える比較教育学の視座』(東京大学出版会,2021年,共編著).
三浦 綾希子(ミウラ アキコ miura akiko)
中京大学教養教育研究院 准教授 教育社会学,異文化間教育学 主著に『ニューカマーの子どもと移民コミュニティ――第二世代のエスニックアイデンティティ』(勁草書房,2015年,単著),『移民から教育を考える――子どもたちをとりまくグローバル時代の課題』(ナカニシヤ出版,2019年,共編著),「高等教育で学ぶ移民第二世代の若者たち――大学での経験は何をもたらすのか」(『現代思想』,2020年,単著).
坪田 光平(ツボタ コウヘイ tsubota kouhei)
職業能力開発総合大学校 助教 教育社会学 主著に「外国人非集住地域におけるマイノリティ支援の制度化過程――秋田のボランティア団体の事例から」(『異文化間教育』52,2020年,単著)。『外国人非集住地域のエスニック・コミュニティと多文化教育実践――フィリピン系ニューカマー親子のエスノグラフィー』(東北大学出版会,2018年,単著).
タイトルヨミ
カナ:ニホンシャカイノイミンダイニセダイ
ローマ字:nihonshakainoimindainisedai

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