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定価:3,960円(3,600円+税)
判型:A5
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内容紹介
カメルーン東南部に居住する農耕民バクウェレの妖術とそれをめぐる語りの分析を通じて、従来の「妖術=呪い」等式を解体し、バクウェレにとっての妖術が照射する人間の在り方を考察。民族生成状況を詳細に復元するとともに、妖術に関する人類学的知見に新しい局面を開いた一冊。
目次
はじめに
第1章 「妖術=呪い」を解きほぐす
1 カメルーンの農耕民バクウェレの一風変わった妖術・エリエーブ
恐ろしげな妖術、気楽な妖術
妖術研究とはコンフリクトと不運の研究なのか?
「エリエーブと共にある」という人間のあり方
動物に変身し、動物に転生する
2 本書の目的
3 本書の構成
第2章 熱帯林に住むバクウェレ
1 長い長いフィールドへの道のり
「とりあえず、ドンゴいったらええんちゃう?」
「森しかない」ところで「ゾウに踏まれる」?
国境線沿いに広がる村々
本格的な調査のはじまり
2 跨境地帯を生きる人びと
バクウェレの生活の「地」としての生活環境
自然環境
バクウェレの分布と移動の歴史
先住者のエセルと上流から来たジャーコ
政治のエセル、経済のジャーコ
バクウェレ以外の住民
生業
狩猟採集民研究と農耕民研究の交錯する地
3 バクウェレの親族関係
ナゲの来歴
レナとその家族
バクウェレの親族関係の特徴
親族の紐帯としての名前
名づけの例外:「双子はややこしい」
バクウェレの命名と人格
命名・人格・エリエーブ
第3章 エリエーブを持つ者の身体――その獲得と操作
1 エリエーブの外延を探る
サブスタンスとしての妖術とその獲得
エリエーブと身体イメージ
命令するエリエーブ
エリエーブにまつわる「二重の他者性」
2 拡張される身体と知覚
身体能力
もう一組の目
可視的/不可視的世界
不可視の世界からの呼びかけ
3 どのような人物がエリエーブを持つのか
性格と年齢
誰もがエリエーブを持っているかもしれない社会
第4章 病いと自己の語り方
1 病対処と物語
2 病対処のいろは
身体症状と対症療法
原因不明の重い症状の場合
3 病因追究により複数化する自己――足が動かなくなった女性の事例
何かを踏んだ?
ペンテコスタル・チャーチでの祈り
呪医のもとへ
原因の追究と「本当のこと」
4 際限のない複数化――ジィの死
病院に行かなかった男
疑われた父子
父方オジと妹の見解
首都に住む親族の体調不良
思い悩む人びと
ジィの死が浮かび上がらせるもの
5 エリエーブとの向き合い方――大酒飲みの末路
酒を飲みだしたら止まらない男
ぼや騒ぎ
「火を見る」占い
「鍋を置く」占い
異母弟や男性親族との対立
自他のエリエーブとのつきあい方
6 自己の複数性と開放性
第5章 誰が道路を止めたのか――道路修復工事に見るエリエーブと発展
1 エリエーブの道具的側面と「発展」
2 事件の背景
3 道路修復工事とエリエーブ騒動
重機の故障と「道路を止めた」と疑われた男
カントン長の屋敷での聞き取り
ババルの申し開き
道路を「止めた」のか「奪い返しに行った」のか?
カントン長への非難
「エリエーブは良いものだ」
レゲ村村長の再反撃
会議の終わり
まとめ
4 考察――新しいエリエーブが姿を現すとき
「平準化」と「蓄積」の対立から公共性へ
バクウェレのリーダー「ボーモット」と「発展」
道路に干渉し、モノのように持ち運ぶことができるエリエーブの物語
新しい要素を加えて、並べなおす
身体性と道具性の往還
第6章 ヒトと動物の連環
1 バクウェレにおけるヒト――動物関係の諸相
「人間関係の関数」からの解放
狩猟対象としての動物
他者表象としての動物
食物禁忌と動物
動物がもたらす子どもの病い
動物との関係の遠近
2 動物変身譚の類型
動物に変身する人びと
森や川で人を捕らえるもの:キティ
狩猟採集民バカのモキラキラ
動物に変身するのか、動物を使役するのか
3 動物転生譚
動物として生きる死者
森の動物は人間である
4 人間と動物にまたがるライフサイクル
エリエーブのたどる二つの道筋
故人の人格と動物
5 流転するエリエーブ
第7章 エリエーブと共にあること
1 エリエーブの存在論
本書の論点
バクウェレの人格とエリエーブ
自己を知るということ
身体性と道具性
人間のライフサイクルの一部としての動物
2 不運とコンフリクトの外へ
妖術と道徳という問題
人格と妖術という視点
3 エリエーブが照射するわれわれのあり方
あとがき
文献リスト
索引
第1章 「妖術=呪い」を解きほぐす
1 カメルーンの農耕民バクウェレの一風変わった妖術・エリエーブ
恐ろしげな妖術、気楽な妖術
妖術研究とはコンフリクトと不運の研究なのか?
「エリエーブと共にある」という人間のあり方
動物に変身し、動物に転生する
2 本書の目的
3 本書の構成
第2章 熱帯林に住むバクウェレ
1 長い長いフィールドへの道のり
「とりあえず、ドンゴいったらええんちゃう?」
「森しかない」ところで「ゾウに踏まれる」?
国境線沿いに広がる村々
本格的な調査のはじまり
2 跨境地帯を生きる人びと
バクウェレの生活の「地」としての生活環境
自然環境
バクウェレの分布と移動の歴史
先住者のエセルと上流から来たジャーコ
政治のエセル、経済のジャーコ
バクウェレ以外の住民
生業
狩猟採集民研究と農耕民研究の交錯する地
3 バクウェレの親族関係
ナゲの来歴
レナとその家族
バクウェレの親族関係の特徴
親族の紐帯としての名前
名づけの例外:「双子はややこしい」
バクウェレの命名と人格
命名・人格・エリエーブ
第3章 エリエーブを持つ者の身体――その獲得と操作
1 エリエーブの外延を探る
サブスタンスとしての妖術とその獲得
エリエーブと身体イメージ
命令するエリエーブ
エリエーブにまつわる「二重の他者性」
2 拡張される身体と知覚
身体能力
もう一組の目
可視的/不可視的世界
不可視の世界からの呼びかけ
3 どのような人物がエリエーブを持つのか
性格と年齢
誰もがエリエーブを持っているかもしれない社会
第4章 病いと自己の語り方
1 病対処と物語
2 病対処のいろは
身体症状と対症療法
原因不明の重い症状の場合
3 病因追究により複数化する自己――足が動かなくなった女性の事例
何かを踏んだ?
ペンテコスタル・チャーチでの祈り
呪医のもとへ
原因の追究と「本当のこと」
4 際限のない複数化――ジィの死
病院に行かなかった男
疑われた父子
父方オジと妹の見解
首都に住む親族の体調不良
思い悩む人びと
ジィの死が浮かび上がらせるもの
5 エリエーブとの向き合い方――大酒飲みの末路
酒を飲みだしたら止まらない男
ぼや騒ぎ
「火を見る」占い
「鍋を置く」占い
異母弟や男性親族との対立
自他のエリエーブとのつきあい方
6 自己の複数性と開放性
第5章 誰が道路を止めたのか――道路修復工事に見るエリエーブと発展
1 エリエーブの道具的側面と「発展」
2 事件の背景
3 道路修復工事とエリエーブ騒動
重機の故障と「道路を止めた」と疑われた男
カントン長の屋敷での聞き取り
ババルの申し開き
道路を「止めた」のか「奪い返しに行った」のか?
カントン長への非難
「エリエーブは良いものだ」
レゲ村村長の再反撃
会議の終わり
まとめ
4 考察――新しいエリエーブが姿を現すとき
「平準化」と「蓄積」の対立から公共性へ
バクウェレのリーダー「ボーモット」と「発展」
道路に干渉し、モノのように持ち運ぶことができるエリエーブの物語
新しい要素を加えて、並べなおす
身体性と道具性の往還
第6章 ヒトと動物の連環
1 バクウェレにおけるヒト――動物関係の諸相
「人間関係の関数」からの解放
狩猟対象としての動物
他者表象としての動物
食物禁忌と動物
動物がもたらす子どもの病い
動物との関係の遠近
2 動物変身譚の類型
動物に変身する人びと
森や川で人を捕らえるもの:キティ
狩猟採集民バカのモキラキラ
動物に変身するのか、動物を使役するのか
3 動物転生譚
動物として生きる死者
森の動物は人間である
4 人間と動物にまたがるライフサイクル
エリエーブのたどる二つの道筋
故人の人格と動物
5 流転するエリエーブ
第7章 エリエーブと共にあること
1 エリエーブの存在論
本書の論点
バクウェレの人格とエリエーブ
自己を知るということ
身体性と道具性
人間のライフサイクルの一部としての動物
2 不運とコンフリクトの外へ
妖術と道徳という問題
人格と妖術という視点
3 エリエーブが照射するわれわれのあり方
あとがき
文献リスト
索引
著者略歴
山口 亮太(ヤマグチ リョウタ yamaguchi ryouta)
1983年兵庫県生まれ。日本学術振興会特別研究員(RPD)/静岡県立大学国際関係学部。専門は文化人類学、地域研究。2016年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了、博士(地域研究)。著書に『コンゴ・森と河をつなぐ――人類学者と地域住民がめざす開発と保全の両立』(共編著、2020年、明石書店)がある。
タイトルヨミ
カナ:ヨウジュツトトモニアルコト
ローマ字:youjutsutotomoniarukoto
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