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2025年6月5日発売

明石書店

出版社名ヨミ:アカシショテン

多文化共生と民族的マイノリティ

近現代日本をめぐる「人の移動」の歴史から
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内容紹介
日本社会に増えつつある海外からの様々な移住者の背景の理解を深めるため、在日コリアン女性、中華民国(台湾)系華僑、アメラジアン、フィリピン系日系人、中国帰国者など移住者のルーツのみならず、当事者の経験にも焦点をあて、多文化共生の議論に歴史を振り返る視点を提供する。
目次
 まえがき[長村裕佳子・坪谷美欧子]

Ⅰ部 戦後日本をめぐる民族的マイノリティという経験

第1章 ある在日朝鮮人一世女性の「教育達成」――自分史『無窮花』を読む[橋本みゆき]
 1.はじめに
 2.在日朝鮮人の形成と教育機会の構造――『無窮花』の背景
 3.盧成玉さんの人生物語――『無窮花』を貫く「教育」への道
  (1)『無窮花』について
  (2)渡日までのストーリー
  (3)日本で生きる
 4.高校卒業までの「苦難」――『無窮花』の多角的考察
  (1)教育そのもの:受ける機会/生かす機会
  (2)家族の経済生活
  (3)民族的要因・民族間関係
 5.おわりに

コラム1 いまあらためて、在日朝鮮人の民族的現実を問う[李洪章]

第2章 横浜中華街の「中華民国(台湾)系華僑」――双十節を祝っているのは誰か[岡野翔太(葉翔太)]
 1.はじめに
 2.「中華民国(台湾)系華僑」に注目する意義
 3.「台湾系」という用語――台湾にルーツが無い「台湾系」?
 4.語られない「中華民国」籍/支持の在日華僑
  (1)「中華民国広東省」にルーツを持つ人びとの今
  (2)日本のメディア報道・公的書類から消えた「中華民国」
  (3)日本では「無国籍」、台湾では「無戸籍」となる人びと
 5.横浜中華街で「双十節」を祝う人びと
  (1)第二次世界大戦以前の「双十節」
  (2)第二次世界大戦直後の「双十節」
  (3)中華民国が台湾に移転して以降の横浜の「双十節」
  (4)日華断交後の「双十節」
  (5)中華民国の政治体制の変化と横浜の「双十節」
 6.おわりに

 コラム2 孫文記念館と神戸華僑歴史博物館――「多文化共生」の先駆け[安井三吉]

第3章 アメラジアンが拓く“共生”[野入直美]
 1.ようこそ、アメラジアンスクール・イン・オキナワへ
 2.アメラジアン研究に意義はあるのか?
 3.「アメラジアン」を歴史的に解きほぐす
 4.沖縄における「国際児」支援
 5.アメラジアンスクールの卒業生たち
 6.沖縄のアメラジアンから“共生”を問い直す

第4章 フィリピン日系人とは誰か――日本の帝国主義の歴史とかれらの現在進行形の社会運動[北田依利]
 1.はじめに
 2.戦前にフィリピンへ渡った日本人
 3.第二次世界大戦終了と引揚
 4.フィリピンの戦後
 5.日系人の国籍
 6.外国人労働需要とフィリピン日系人
 7.おわりに

Ⅱ部 「帰還移民」の経験、日本社会の経験

第5章 老齢化した中国残留孤児の困難――エスニック・マイノリティ「日本人」という観点と介護場面を通しての検討[山崎哲]
 1.はじめに
  (1)エスニック・マイノリティ「日本人」との共生
  (2)筆者の祖母の経験
 2.中国残留孤児の歴史的背景
  (1)中国残留孤児とは
  (2)「中国残留孤児は今……」
 3.中国残留孤児と介護
  (1)医療場面で日本語ができないことの恐怖
  (2)介護施設で「中国人」として人種化・他者化される中国残留孤児
  (3)中国残留孤児の集う介護施設の誕生と増加
  (4)中国残留孤児が多く通う介護施設の実際
  (5)「同文化間介護」の需要
 4.考察
 5.おわりに

第6章 日伯移民の歴史を繋ぎ、紡ぐ――継承ポルトガル語教師の経験[拝野寿美子]
 1.はじめに
 2.ブラジルに移住した日本人
 3.日系人/ブラジルの日系人
 4.在日ブラジル人
 5.日本に住むブラジル人の子どもたちと日本語/ポルトガル語
  (1)教育の連続性と言語の力
  (2)日本の学校とブラジル人の子ども
  (3)求められるポルトガル語力の変化と継承ポルトガル語
 6.移民の子ども/孫であった継承ポルトガル語教師の経験
 7.おわりに

第7章 ペルー人と日本社会の35年――日本での多様性と文化資本[小波津ホセ]
 1.はじめに
 2.ペルーから日本へ
 3.日本にいるペルー人
  (1)沖縄県とのつながり
  (2)日系人・非日系人とペルーでの居住地域
  (3)日本のペルー人の人口動態と居住地域
  (4)ペルー人二世以降の現状
 4.地域のペルー人
  (1)ペルー人と栃木県
  (2)ペルー人と神奈川県
 5.おわりに――ペルー人の35年

第8章 〈邂逅〉が創る地域社会――横浜市鶴見区に暮らす2つの沖縄系集団に注目して[藤浪海]
 1.はじめに
 2.沖縄からの離散と鶴見への集住
  (1)アジア太平洋戦争以前の沖縄からの離散
  (2)戦後の沖縄からの離散と1980~90年代の鶴見への集住
 3.沖縄ルーツの日本人住民における〈邂逅〉
  (1)南米系移民を否定的に捉えるAさん
  (2)南米系移民を支援したBさん夫妻
 4.南米系移民における〈邂逅〉
  (1)沖縄県人会との関係を築くCさん
  (2)移民支援団体で地域住民との関係を築くDさん
 5.関わり合いのもとで創られる地域社会
  (1)沖縄県人会との関係形成の進展
  (2)移民への認知を社会に広げる取り組み
 6.おわりに

Ⅲ部 グローバル化と新移民、そして多文化共生

第9章 日本における難民の受け入れ[石川えり]
 1.はじめに
 2.日本における難民受け入れの概要
 3.難民申請の手続きと生活上の課題
 4.社会統合における課題
 5.地域で暮らす難民
 6.日本における難民受け入れの特徴と展望

第10章 インドネシア人看護師の訪日経験――EPA制度の受け入れの現状と課題[村雲和美]
 1.はじめに
 2.日本社会の変容とEPA看護師の受け入れとニーズ
  (1)日本社会での外国人労働者数
  (2)外国人看護師受け入れの背景と現状
 3.EPA看護師とは
  (1)枠組みと特徴
  (2)受け入れ機関と来日までの流れ
  (3)制度の課題
 4.EPAインドネシア人看護師2名の経験談
  (1)日本とインドネシアを往来する女性看護師Aの経験
  (2)第1陣の存在に憧れて来日した男性看護師Bの経験
 5.おわりに

第11章 外国人住民の受け入れと「多文化共生」――高齢化が進む団地に住まうという経験[坪谷美欧子]
 1.はじめに
 2.移民史における外国人の団地居住
  (1)住宅団地における外国人集住
  (2)自治体や地域社会ベースの「多文化共生」
 3.ネオリベラリズム下の地域福祉に取り込まれる「多文化共生」?
 4.団地に住まうという経験――日本人女性と外国人女性のライフストーリーから
  (1)日本人女性Aさん
  (2)ベトナム人女性Bさん
 5.考察
  (1)団地での「共生」経験からの含意
  (2)「難民性」と主体性の中で
  (3)集住という経験の再評価と問い直し
 6.おわりに――ともに老いるという経験へ

第12章 ブラジル人ディアスポラの視点からみる在日ブラジル人――コミュニティ形成と在外投票の分析を手がかりに[グスターボ・メイレレス]
 1.はじめに
 2.ブラジルにおける人の移動の小史
 3.在外ブラジル人の動き
  (1)ヨーロッパにおける移民政策の厳格化とブラジル人コミュニティ
  (2)移民政策、国家安全保障、アメリカにおけるブラジル人コミュニティ
  (3)日本の労働市場と在日ブラジル人への影響
 3.ブラジル政府における在外ブラジル人政策
 4.在外投票
 5.結論

終章 重層化する「人の移動」と「多文化共生」――出入国管理体制を中心として[蘭信三]
 1.はじめに
 2.スポーツのグローバル化という帰結
  (1)パリ・オリンピックの衝撃
  (2)「スポーツのグローバル化」の背景
  (3)「昭和のスポーツ・ヒーロー」を知っていますか?
 3.帝国崩壊と「昭和のスポーツ・ヒーロー」
  (1)「昭和のスポーツ・ヒーロー」の出自
  (2)「単一民族」神話と「昭和のスポーツ・ヒーロー」
  (3)「社会派アスリート」のさきがけとして
 4.戦後日本における外国ルーツの人びとの動向
  (1)帝国崩壊と占領が構築した戦後在留「外国人」
  (2)冷戦が抑圧した国境を越える「人の移動」
  (3)冷戦緩和と在留外国人の胎動
  (4)冷戦崩壊、グローバル化と在留外国人の急増
 5.戦後日本における入国管理体制
  (1)敗戦後日本の変化
  (2)戦後日本における国民の定義
  (3)旧植民地出身者の国籍問題
  (4)戦後日本の出入国管理体制とは――「一九五二年体制」をめぐって
 6.「多文化共生」への歩み
  (1)中国残留日本人の「遅れた帰国」の意義
  (2)インドシナ難民がもたらしたもの――「内外人平等原則」というインパクト
  (3)在日コリアンという経験
 7.おわりに――「五二年体制」と「多文化共生」のせめぎ合い

 あとがき[長村裕佳子・蘭信三]

 編著者・執筆者紹介
著者略歴
長村 裕佳子(ナガムラ ユカコ nagamura yukako)
ノートルダム清心女子大学国際文化学部国際文化学科 講師、JICA緒方貞子平和開発研究所 客員研究員 1987年生まれ。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科国際関係論専攻博士後期課程満期退学(国際関係論博士)。専門は中南米への日本人移民史、社会学。 主著に「移住地をつなぐ記憶の共有と再構築――ブラジルの県連「移民のふるさと巡り」を事例として」『研究紀要』(第17号、JICA横浜海外移住資料館、2023年)、「南米移住地と日本帝国勢力圏における医学知の循環――ブラジルへ渡った高岡医師の活動から」『ラテンアメリカ研究年報』(第42号、日本ラテンアメリカ学会、2022年)、「ホスト社会の変化と葛藤するモデル・マイノリティ像:ブラジル軍事政権下の日系反政府政治家のライフストーリーから」『移民研究』(第16号、琉球大学沖縄移民研究センター、2019年)、「ブラジル日系二世エリートの立候補と投票をめぐる心情と論理――戦後の民主化における1947年選挙を事例に」『イベロアメリカ研究』(No.78、上智大学イベロアメリカ研究所、2018年)など。
坪谷 美欧子(ツボヤ ミオコ tsuboya mioko)
横浜市立大学大学院都市社会文化研究科 教授 1970年生まれ。立教大学大学院社会学研究科博士後期課程満期退学(社会学博士)。専門は国際社会学、移民研究。 主著に『外国人住民が団地に住み続ける意味――神奈川県X団地のビフォア/アフターコロナ』(春風社、2024年)、『人権と多文化共生の高校――外国につながる生徒たちと鶴見総合高校の実践』(共編著、明石書店、2013年)、『「永続的ソジョナー」中国人のアイデンティティ――中国からの日本留学にみる国際移民システム』(有信堂高文社、2008年)など。
蘭 信三(アララギ シンゾウ araragi shinzou)
関西外国語大学国際文化研究所 客員研究員、国際日本文化研究センター 客員教授、上智大学 名誉教授 1954年生まれ。京都大学大学院文学研究科(社会学専修)博士課程中退。博士(文学)。専門は歴史社会学、戦争社会学、国際社会学。 主著に『シリーズ 戦争と社会(全5巻)』(共編著、岩波書店、2021年~2022年)、『引揚・追放・残留 戦後国際民族移動の比較研究』(共編著、名古屋大学出版会、2019年)、『戦争と性暴力の比較史へ向けて』(共編著、岩波書店、2018年)、『中国残留日本人という経験』(編著、勉誠出版、2009年)、『「満州移民」の歴史社会学』(行路社、1994年)など。
タイトルヨミ
カナ:タブンカキョウセイトミンゾクテキマイノリティ
ローマ字:tabunkakyouseitominzokutekimainoriti

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