近刊検索 デルタ

2019年3月15日発売

遠見書房

出版社名ヨミ:トミショボウ

荒野の精神医学

福島原発事故と日本的ナルシシズム
このエントリーをはてなブックマークに追加
内容紹介
本書『荒野の精神医学』は,東京の大学病院に勤務する精神科医であった著者が,被災地の復興に加わるべく福島県南相馬市に移住し,日々の活動を通して深めてきた日本文化論・日本人論である。
荒野とは,中央から疎外された場所である。精神科病院がそうであり,原発事故のために復興が遅れている地域がそうである。そこでは,「集団との一体感を重視し,弱い者をスケープゴートにして凝集性を高める」「揺るがしてはならない規則や論理がある場面でも,情と力に流される」「個人の判断や思考を回避しそれを他者に委ねたがる」といった,日本人の無意識の精神性「日本的ナルシシズム」が露出しやすい。
著者は自らその渦中に身を置き,日本的ナルシシズムを乗り越えることが真の復興へつながると提言する。荒野に希望を生む精神科医の挑戦。
目次
第1部 埼玉・川越
重症患者を病棟コミュニティで抱えること
第2部 福島・南相馬
南相馬市の優しい人々のこと/小高郷・標葉郷の武者は美しかった―相馬野馬追のこと/浜通りのこころをめぐる空想/開沼博『「フクシマ」論―原子力ムラはなぜ生まれたのか』についての精神分析的読解/私は福島の人々に多くを求め過ぎているのかもしれない、と不安に思うこと/支援者に求められる禁欲についての一考察/躁的防衛の概念とその両義性について、およびその被災地における心理状況への理解への適応について/南相馬市の高齢化問題について/鼻血と日本的ナルシシズム/原子力発電所事故と怒り/2014年12月に浪江までの相双地区と仙台が常磐自動車道で直結した時に被災地で感じたこと/原発事故被災地支援の倫理について/国土の喪失の否認について/コロナイゼーションの進展としての東京電力福島第一原子力発電所事故対応/福島の子どものメンタルヘルスに思う、日本における自主的な思考の重要性/福島から横浜に自主避難した中学1年生男子がいじめられたことの報道について思う/原発事故から6年、都合の悪いことを黙殺し続ける私たちの「病理」/今のうちにいっておきたい、東京五輪への「大きな違和感」/福島・南相馬の精神科医が見た「大震災6年半後の風景」/原発事故から7年、不都合な現実を認めない人々の「根深い病理」/あれだけの事故が起きてもなぜ日本は「原発輸出」を続けるのか
第3部 日 本
日本の「変わらなさ」へのささやかな抵抗/羨望とその破壊性についての警告/
現代日本における意識の分裂について(1)~(6)/スケープゴート現象と日本的ナルシシズム/ナルシシスティック・パーソナリティーはこころのなかにたくさんの分裂を抱えている/自虐的世話役と攻撃性の統合の困難/日本的ナルシシズムの深層/かつて私を迫害した人への隠された怒りについて/日本的ナルシシズムとうつ病の難治化・自殺の問題について/「教育勅語」の呪縛のなかで日本社会が先送りしてきた課題/日本人の「心情」はすでに大震災前に戻ってしまったのかもしれない/日本社会で増殖する「万能感に支配された人々」への大きな違和感
appendix 福 島
私の体験としての東京電力福島第一原子力発電所事故
著者略歴
堀 有伸(ホリ アリノブ hori arinobu)
ほりメンタルクリニック院長,精神科医。 1972年東京都台東区生まれ。私立麻布高等学校,東京大学医学部医学科を卒業。14歳の時にプロテスタントの教会で洗礼を受けたが,20代前半で無宗教の人間として生きていくことを選択した。東京大学医学部附属病院分院神経科で研修医となり,現象学や精神分析学を踏まえた精神病理学を学んだ。その後は東京都や埼玉県の精神科医療機関に勤務。2011年の東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故に衝撃を受け,2012年から福島県南相馬市で暮らす。2016年に同市でほりメンタルクリニックを開業。 著書に『日本的ナルシシズムの罪』(新潮新書)がある。
タイトルヨミ
カナ:コウヤノセイシンイガク
ローマ字:kouyanoseishinigaku

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを使用しています。

-- 広告 -- AD --

【AD】
今、注目すべき第三書館の本
泣くな、わが子よ
ノーベル賞候補であり続ける文学者の代表作

-- 広告 -- AD --

もうすぐ発売(1週間以内)

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを利用しています。