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2013年3月31日発売

洛北出版

出版社名ヨミ:ラクホクシュッパン

体制の歴史 時代の線を引きなおす

時代の線を引きなおす
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内容紹介

本書は、メジャーな「体制」の歴史に、マイナーな「体制」の歴史の視座を持ち込むことで、メジャーな「体制」の歴史を批判的にとらえかえそうとする書である。

たとえば、本書は、直接的に「福祉国家体制」や「治安体制」や「グローバル経済体制」を扱ってはいないし、それらに対する内在的批判も行なっていない。

本書が企図しているのは、こうしたメジャーな体制が取りこぼしてきた人々の存在や稼ぎ方・暮らし、その苦汁や困窮のあり様から、別の「体制」という視座を打ち立てることで、これまでの「体制」の歴史に新たな分断線や補助線を引くことである。

  
目次
---------------- 目 次 --------------------------
 
◆ 1章 ┃ 天田城介 ----------------
戦時福祉国家化のもとでのハンセン病政策
―― 乞食労働・都市雑業労働の編成
   当事者の歴史記述をいかに診断するか
   当事者の語る歴史を受け止めた上で歴史を診断する
   本妙寺集落の形成と変容
   本妙寺集落の自治組織化
   本妙寺集落の消滅
   戦時動員体制/戦時福祉国家化体制での乞食労働・都市雑業労働の変容
   創造的な歴史の導き方

◆ 2章 ┃ 角崎洋平 ----------------
構想される「生業」への経路
―― 貸付による離陸
   「測量」する者による貸付
   福祉的貸付制度史の断絶を埋める ―― 戦後直後の実践と構想
   戦後の福祉的貸付と民生委員
   「生業」という「離陸」経路の縮小
   おわりに

◆ 3章 ┃ 佐藤 量 ----------------
満洲開拓者の再定住と生活再建
   はじめに
   満洲引揚げ者と米ソ冷戦
   満洲開拓者の人的つながり
   開拓者ネットワークと生活再建
   おわりに

◆ 4章 ┃ 松田有紀子 ----------------
「女の町」の変貌
―― 戦後における京都花街の年季奉公をめぐって
   はじめに
   「女の町」の年季奉公体制
   「女の町」の転換期
   「女の町」における労働者の発見
   「女の町」の変貌
   おわりに

◆ 5章 ┃ 小泉義之 ----------------
精神衛生の体制の精神史
――1969年をめぐって
   「批判」「改革」と「反」「脱」
   社会防衛の下での医療化
   精神医療の拡大 ―― 学会の改革(1969年)
   精神と心理の統治体制へ

◆ 6章 ┃ 櫻井悟史 ----------------
笞刑論争にみる死刑存置を支える思考様式
   苦痛を与えることを目的とする刑罰の系譜
   明治期の刑罰思想小史 ―― 小河滋次郎の戦略的撤退
   笞刑を支える輿論 ―― 笞刑論争の背景と後世の歴史診断
   刑罰における苦痛をめぐる争い
   痛苦懲戒主義の間欠泉としての死刑

◆ 7章 ┃ 福間良明 ----------------
叛逆者としての「磯部浅一」の発見
――『日本暗殺秘録』(1969年)をめぐって
   「打算」と「浅慮」――『日本暗殺秘録』前史
   「磯部浅一」映画の誕生
   「磯部浅一」のその後

◆ 8章 ┃ 酒井隆史 ----------------
Notes on the Snake Dance / Zigzag Demonstration
   A Year of Snake Dance ―― 1960年
   Snake Dance phase 2 ―― 1945年から 1960年まで
   ジグザグ・デモと「へたりこみ(坐り込み)」―― 路上のイニシアチヴ
   転換点
   ジグザグ・デモ――批判の経緯と論点
   ジグザグ・デモ規制と抵抗 ―― フランス・デモの誕生
   roots of the snake dance
   おわりに

◆ 9章 ┃ 石田智恵 ----------------
集団の名、集団の顔
―― アルゼンチンの社会変動と「ニッケイ」
   他者化の体制 ―― 20世紀前半
   白人の国の東洋人
   「移民/国民」の新たな形象と体制の変容
   「ニセイ」と「ニッケイ」のあいだ
   おわりに

◆ 10章 ┃ 近藤 宏 ----------------
アポリアを生み出す自主管理
―― パナマ東部先住民エンベラから見る先住民統治体制
   実現しなかった強制退去
   特別区という制度
   代表制と国内移民
   先住民共同体をかたどる言説編成
   行政区化がもたらすアポリア

◆ 11章 ┃ 冨田敬大 ----------------
モンゴル牧畜社会における2つの近代化
―― 開発政策の転換と都市近郊の牧畜経営をめぐって
   国家体制の転換
   社会主義期
   ポスト社会主義期
   おわりに
  
著者略歴
天田 城介(アマダ ジョウスケ amada jousuke)
1972年生。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。社会学。著書として『〈老い衰えゆくこと〉の社会学』(多賀出版、2003年→〔増補改訂版〕2010年/第3回日本社会学会奨励賞「著書の部」受賞)、『老い衰えゆく自己の/と自由――高齢者ケアの社会学的実践論・当事者論』(ハーベスト社、2004年→〔第二版〕2013年夏刊行予定)、『老い衰えゆくことの発見』(角川学芸出版、2011年)ほか。編著として天田城介・村上潔・山本崇記編『差異の繋争点――現代の差別を読み解く』(ハーベスト社、2012年)、天田城介・北村健太郎・堀田義太郎編『老いを治める――老いをめぐる政策と歴史』(生活書院、2011年)など。
角崎 洋平(カドサキ ヨウヘイ kadosaki youhei)
1979年生。立命館大学大学院先端総合学術研究科在籍・日本学術振興会特別研究員。福祉政策論・福祉理論。編著として『歴史から現在へのアプローチ(生存学センター報告17)』(立命館大学生存学研究センター、2012年)。論文として「なぜ〈給付〉ではなく〈貸付〉をするのか?―― Muhammad Yunusの〈貸付〉論と「市場社会」観の検討」(『コア・エシックス』vol.6、2010年)、「選択結果の過酷性をめぐる一考察――福祉国家における自由・責任・リベラリズム」(『立命館言語文化研究』第24巻4号、2013)など。
櫻井 悟史(サクライ サトシ sakurai satoshi)
1982年生。立命館大学大学院先端総合学術研究科在籍。歴史社会学。著書として『死刑執行人の日本史――歴史社会学からの接近』(青弓社、2011年)、編著として『特別公開企画 アフター・メタヒストリー――ヘイドン・ホワイト教授のポストモダニズム講義(生存学センター報告13)』(立命館大学生存学研究センター、2010年)、論文に「死刑執行方法の変遷と物理的/感情的距離の関係」(角崎洋平・松田有紀子編『歴史から現在へのアプローチ(生存学センター報告17)』立命館大学生存学研究センター、2012年)など。
石田 智恵(イシダ チエ ishida chie)
1985年生。立命館大学大学院先端総合学術研究科在籍。文化人類学、移民研究。論文として、「日本人の不在証明と不在の日系人」(角崎洋平・松田有紀子編『歴史から現在への学際的アプローチ(生存学センター報告17)』立命館大学生存学研究センター、2012年)、「「日系人」という生き方、日系人の生き方」(『生存学』vol.2、2010年)、「1990年入管法改正を経た〈日系人〉カテゴリーの動態――名づけと名乗りの交錯を通して」(『コア・エシックス』vol.5、2009年)など。
小泉 義之(コイズミ ヨシユキ koizumi yoshiyuki)
1954年生。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。哲学・倫理学。著書として『病いの哲学』(ちくま新書、2006年)、『「負け組」の哲学』(人文書院、2006年)、『デカルトの哲学』(人文書院、2009年)、『倫理学』(人文書院、2010年)、『生と病の哲学――生存のポリティカル・エコノミー』(青土社、2012年)など。論文として「国家の眼としての貧困調査」(天田城介・村上潔・山本崇記編『差異の繋争点』ハーベスト社、2012年)、「精神と心理の統治」(『思想』第1066号、2013年)など。
近藤 宏(コンドウ ヒロシ kondou hiroshi)
1982年生。立命館大学大学院先端総合学術研究科在籍・日本学術振興会特別研究員。文化人類学。論文として、「鳥の声を聴く――パナマ東部先住民エンベラにおける動物をめぐる言説の諸相」(『生存学』vol.4、2011年)、翻訳としてクロード・レヴィ=ストロース「親族研究の未来」(『思想』第1016号、2008年)など。
酒井 隆史(サカイ タカシ sakai takashi)
1965年生。大阪府立大学人間社会学部准教授。社会思想史。著書として『自由論――現在性の系譜学』(青土社、2001年)、『暴力の哲学』(河出書房新社、2004年)、『通天閣 新・日本資本主義発達史』(青土社、2011年)など。訳書として、アントニオ・ネグリ&マイケル・ハート『〈帝国〉――グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』(以文社、2003年、共訳)、マイク・デイヴィス『スラムの惑星――都市貧困のグローバル化』(明石書店、2010年、監訳)など。
佐藤 量(サトウ リョウ satou ryou)
1977年生。立命館大学・立命館グローバル・イノベーション研究機構専門研究員(ポストドクトラルフェロー)。歴史社会学・近現代中国史。論文として「1950年代中国の近代化と対日協力者――旅順工科大学出身中国人同窓会を事例に」(『ソシオロジ』第56巻2号、2011年)、「植民地体験を乗り越える同窓会――旅順工科大学同窓生の戦後」(『植民地教育史研究年報』皓星社、第14号、2010年)など。著書として『現代中国史のなかの対日協力者――日本人学校出身者のネットワークと反日のジレンマ(仮題)』(彩流社、2013年)を刊行予定。
冨田 敬大(トミタ タカヒロ tomita takahiro)
1983年生。立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員(ポストドクトラルフェロー)。文化人類学、近現代モンゴル社会史。論文として「家畜とともに生きる――現代モンゴルの地方社会における牧畜経営」(『生存学』vol.2、2010年)、「体制転換期モンゴルの家畜生産をめぐる変化と持続――都市周辺地域における牧畜定着化と農牧業政策の関係を中心に」(角崎洋平・松田有紀子編『歴史から現在へのアプローチ(生存学センター報告17)』立命館大学生存学研究センター、2012年)、"Spatial Temporal GIS Based Analysis of the Pastoral Environment: A Preliminary Approach to the Transformation of the Pastoral Sedentarization in a Suburban Area of Mongolia," Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies, vol.6、2013年)など。
福間 良明(フクマ ヨシアキ fukuma yoshiaki)
1969年生。立命館大学産業社会学部准教授。歴史社会学・メディア史。著書として『「反戦」のメディア史――戦後日本における世論と輿論の拮抗』(世界思想社、2006年)、『「戦争体験」の戦後史――世代・教養・イデオロギー』(中公新書、2009年)、『焦土の記憶――沖縄・広島・長崎に映る戦後』(新曜社、2011年)、『二・二六事件の幻影――戦後大衆文化とファシズムへの欲望』(筑摩書房、2013年)など。
松田 有紀子(マツダ ユキコ matsuda yukiko)
1985年生。立命館大学大学院先端総合学術研究科在籍・日本学術振興会特別研究員。歴史人類学、女性史。論文にとして「「花街らしさ」の基盤としての土地所有――下京区第十五区婦女職工引立会社の成立から」(『コア・エシックス』vol.6、2010年)、「芸妓という労働の再定位――労働者の権利を守る諸法をめぐって」(角崎洋平・松田有紀子編『歴史から現在へのアプローチ(生存学センター報告17)』立命館大学生存学研究センター、2012年)、「京都 祇園の女紅場」(佐賀朝・吉田信行編『シリーズ遊廓社会 2 近世から近代へ』、吉川弘文館、2013年予定)。
タイトルヨミ
カナ:タイセイノレキシ
ローマ字:taiseinorekishi

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