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2014年8月18日発売

明石書店

出版社名ヨミ:アカシショテン

多様性を拓く教師教育

多文化時代の各国の取り組み
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内容紹介
多様な人々の存在を社会にとっての財産にし、多様な背景をもつ子どもたちを社会のなかに包摂していくための鍵となるのは、教師である。本書は、各国の実践報告とOECDの教員調査から、教員養成と現職研修を見直すための有益な研究や調査を紹介する。
目次
 監訳者はしがき
 序文
 謝辞
 要旨


第Ⅰ部 研究の背景・目的・方法

第1章 多様化が進む子どもたちと効果的な教師教育[トレーシー・バーンズ/ヴァネッサ・シェイドイアン=ガーシング]
 第1節 はじめに
 第2節 多様性における背景の重要性
 第3節 学校や教室にとっての課題
 第4節 制度上の課題:子どもの多様化に応える教師教育と教職環境の整備
 第5節 多様性を拓く教師教育とその重要性
  コラム1.1 オンラインによる質問調査の結果から
 第6節 本書の概要

第2章 教育的文脈における多様性[ミカエル・ルシアック]
 第1節 はじめに
 第2節 文化と多様性に関する多角的な検討
 第3節 国民国家における多様性とその歴史
 第4節 多様性と国際移民
 第5節 多様性を構成する要因の複雑化
 第6節 文化的多様性、文化の違い、学校の役割
 第7節 多様性に対する回答:多文化教育と異文化間教育
 第8節 政策と実践への提言

第3章 OECD国際教員指導環境調査(TALIS)と多様性のための教師教育[ベン・ジェンセン]
 第1節 はじめに
 第2節 TALISとはどんな調査か
 第3節 教師の専門性開発とそのニーズ
 第4節 TALIS調査にみる教師の専門性開発
 第5節 結論と政策への示唆

第4章 教育の場での多様性:構成要素に分けてデータを分析する重要性[ブルース・ガーネット]
 第1節 はじめに
 第2節 実証研究とデータの活用
 第3節 研究方法:対象グループと検討の観点
 第4節 卒業率に関する構成要素ごとの検討結果
 第5節 第12学年レベルの数学・英語の受講状況と平均点
 第6節 多変数モデルによる分析
 第7節 教師教育のための議論と観点
 第8節 結論


第Ⅱ部 教師教育の取り組み

第5章 多様化と教育格差:教師教育の役割[ラッセル・ビショップ]
 第1節 はじめに:多様性と教育格差
 第2節 マオリの子どもと教育課題
 第3節 Te Kotahitangaプロジェクトから導き出された6つの課題
 第4節 結論

第6章 多様な教師の確保と定着[リック・ウォルフ/サビヌ・サーヴェリエンヌ/マリーケ・メーウィッセ]
 第1節 はじめに
 第2節 非ヨーロッパ系エスニックマイノリティの学生とオランダネイティヴの学生の教員養成プログラム修了率:学位プログラムはどの程度の影響力をもつのか
 第3節 オランダの教育システムと高等教育への道のり
 第4節 教員養成プログラム:事例研究の方法
 第5節 教員養成プログラム:事例研究の結果
 第6節 結論と提言

第7章 カリキュラムの設計と開発:新世代の教師教育担当者への示唆[H.リチャード・ミルナーⅣ/F.ブレーク・テノアー]
 第1節 はじめに
 第2節 アメリカ合衆国における教師教育
 第3節 結論と示唆
  コラム7.1 カリキュラム設計・開発の原理

第8章 異文化間コンピテンスに関する教師教育モデル:イタリアの経験から[ミレーナ・サンテリーニ]
 第1節 はじめに
 第2節 コンピテンスに対する横断的・多次元的アプローチ
 第3節 異文化間コンピテンスの定義と評価のためのモデル
  コラム8.1 異文化に関わる意識を高めるトレーニングモデル
 第4節 異文化に関する意識を高めるトレーニングの構築
 第5節 異文化間コンピテンスに関する受講者たちの捉え方
 第6節 結論と次の段階に向けて


第Ⅲ部 理論から実践へ

第9章 均質性重視から多様性重視へと変わるドイツの教育[アンネ・スリフカ]
 第1節 はじめに:ドイツ社会に対する認識の変化
 第2節 ドイツは移民社会なのか
 第3節 多様性に関するその他の問題:ジェンダー問題と特別なニーズをもつ子どものインクルージョン
 第4節 多様性をはばむ早期の選抜制度と教育制度にみられる序列化
 第5節 均質性重視から異質性重視へ:変わるドイツの教育
 第6節 均質性重視から異質性重視へ:考え方や見方を変えることの難しさ
 第7節 異質性重視から多様性重視へ:今後に向けて
 第8節 変化の主体を養成するために教師教育がはたす役割

第10章 スペインにおける多様性のための教師教育:理論から実践への移行[ミケル・アンヘル・エソンバ]
 第1節 はじめに
 第2節 教師教育と多様性に関する現在の状況:新たな現実に対応した議論へ
 第3節 政策と実践の間の「当然の」ギャップ
 第4節 多様性に対する理解と学習のさらなる進展に向けて:スペインの事例から

第11章 多文化教育を取り入れるスクールリーダー:北アイルランドの事例[クレール・マクグリン]
 第1節 はじめに:多文化主義への挑戦
 第2節 紛争を抱える社会における多文化教育
 第3節 北アイルランドにおける統合教育
 第4節 統合学校における統合アプローチ:調査方法
 第5節 統合学校における統合アプローチ:調査結果
 第6節 統合学校における統合アプローチ:調査結果の考察

第12章 多様性の教育と授業実践:アメリカ合衆国ワシントン州の事例[ジェノバ・ゲイ]
 第1節 はじめに
 第2節 着手すべき課題
 第3節 多様性をめざす実践の理念
 第4節 結論


第Ⅳ部 今後の課題

第13章 効果的な実践を支援するための課題[トレーシー・バーンズ/ヴァネッサ・シェイドイアン=ガーシング]
 第1節 はじめに
 第2節 多様性を拓く教師教育と横断的なテーマ
 第3節 既存の知識と政策目標とのギャップ

付録A OECDオンライン質問調査
 A.1 回答者の特徴
 A.2 教員としての仕事、教師教育担当者としての仕事
 A.3 教室での多様性のための準備
  コラムA.1 親や学校周辺の住民との協働
 A.4 結論
  コラムA.2 学校行政機構による支援


 執筆者紹介
 訳者あとがき
 監訳者・訳者紹介


――――図の一覧
 図3.1 学校における教育に対する評価の仕組み:TALIS調査で収集されたデータ
 図3.2 多文化環境での学習指導に関するパス解析
 図4.1 NES、ESLの生徒全体、ESLを受講している各民族文化グループの卒業率
 図4.2 ESL受講開始直後の生徒の5年後卒業率と6年後卒業率
 図4.3 世帯収入を算入することによって得られる民族文化グループごとの6年後卒業率
 図4.4 6年以内での卒業、第12学年レベルの数学および英語の受講に関するロジスティック回帰モデルのオッズ比
 図4.5 第11学年レベルの数学と第12学年レベルの英語における平均値を予測する複合回帰モデルの標準化ベータ比重
 図6.1 エスニックマイノリティの学生の高い中退率に対する説明
 図6.2 オランダ高等教育への道のり
 図7.1 カリキュラム設計・開発に関する複雑な相互作用
 図9.1 パラダイムシフト:均質性重視から異質性重視、そして多様性重視へ
 図12.1 幼稚園から12学年までの公立校における人種/エスニシティの分布
 図A.1 国ごとの回答者の人数
 図A.2 年齢とカテゴリーごとの回答者の内訳
 図A.3 回答した教員の担当教科
 図A.4 多様性のための準備の必要性
 図A.5 多様性のための準備がよくできている分野
 図A.6 多様性のための準備が不足している分野
 図A.7 回答された評価の種別

――――表の一覧
 表3.1 教師の専門性開発ニーズ:多文化環境での学習指導(2007~08年)
 表3.2 学校評価の基準(2007~08年)
 表3.3 多文化環境での学習指導に関するパス解析における相関関係(2007~08年)
 表4.1 ESL受講経験のある生徒と3つのサブカテゴリー:ESL受講開始直後の生徒、低所得世帯、高所得世帯
 表4.2 NES、ESLの生徒、各民族文化グループのESLの生徒ごとにみた、第12学年レベルの数学および英語の受講率と学力の状況:ESL受講経験のある生徒とESL受講開始直後の生徒の比較
 表4.3 NES、ESLの生徒、各民族文化グループのESLの生徒ごとにみた、世帯収入を算入したうえでの、第12学年レベルの数学および英語の受講率と学力の状況
 表10.1 多様性への包括的な見方と、単純化・細分化された制限的な見方
 表10.2 スペインの4つの大学の新しい教員養成カリキュラムにおける多様性に関わる科目
 表11.1 統合学校の校長の統合へのアプローチ
 表11.2 統合アプローチの要約
 表A.1 教員と教師教育担当者によって指摘された多様性に関する課題
 表A.2 教員と教師教育担当者によって指摘された多様性に対する戦略
著者略歴
OECD教育研究革新センター(オーイーシーディーキョウイクケンキュウカクシンセンター ooiishiidiikyouikukenkyuukakushinsentaa)
斎藤 里美(サイトウ サトミ saitou satomi)
1990年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程満期退学。現在、東洋大学文学部教授。専門は教育社会学、教育目標・評価論。主な著訳書に、『OECD教員白書:効果的な教育実践と学習環境をつくる〈第1回OECD国際教員指導環境調査(TALIS)報告書〉』(監訳、OECD編著、明石書店、2012年)、『移民の子どもと格差:学力を支える教育政策と実践』(監訳、OECD編著、明石書店、2011年)、『大学教育と質保証:多様な視点から高等教育の未来を考える』(共編著、明石書店、2009年)、『国境を越える高等教育:教育の国際化と質保証ガイドライン』(監訳、OECD教育研究革新センター,世界銀行編著、明石書店、2008年)、『移民の子どもと学力:社会的背景が学習にどんな影響を与えるのか〈OECD-PISA 2003年調査 移民生徒の国際比較報告書〉』(監訳、OECD編著、明石書店、2007年)、『韓国の教科書を読む』(編著・監訳、明石書店、2003年)、『シンガポールの教育と教科書:多民族国家の学力政策』(編著・監訳、明石書店、2002年)など。
布川 あゆみ(フカワ アユミ fukawa ayumi)
2008年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在学中、埼玉医科大学非常勤講師など。専門は、比較教育学、教育社会学。主な論文・訳書に、「ドイツにおける学校の役割変容――『全員参加義務づけ型』の終日学校の展開に着目して」(日本比較教育学会編『比較教育学研究』第47号、2013年)、「受け入れ社会のまなざしと移民のまなざしの交錯――移民の子どもの『学力』を媒介に」(一橋大学〈教育と社会〉研究会編『〈教育と社会〉研究』第19号、2009年)、『OECD教員白書:効果的な教育実践と学習環境をつくる〈第1回OECD国際教員指導環境調査(TALIS)報告書〉』(共訳、OECD編著、明石書店、2012年)、『移民の子どもと格差:学力を支える教育政策と実践』(共訳、OECD編著、明石書店、2011年)、『移民の子どもと学力:社会的背景が学習にどんな影響を与えるのか〈OECD-PISA 2003年調査 移民生徒の国際比較報告書〉』(共訳、OECD編著、明石書店、2007年)など。
本田 伊克(ホンダ ヨシカツ honda yoshikatsu)
2009年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。現在、宮城教育大学准教授。専門は、教育社会学(学校知識の社会学)、戦後民間教育研究運動史。主著書に、『学力と学校を問う』(共編著、かもがわ出版、2014年)、『ペダゴジーの社会学』(共著、学文社、2013年)、『日本の学校受容』(共著、勁草書房、2012年)など。主論文に、「1950、60年代の民間教育研究運動の成果と課題に関する学校知識論的考察」(一橋大学大学院博士論文、未公刊、2009年)、「〈学校知識の社会学〉の展望」(一橋大学〈教育と社会〉研究会編『〈教育と社会〉研究』第19号、2009年)など。訳書に、『OECD教員白書:効果的な教育実践と学習環境をつくる〈第1回OECD国際教員指導環境調査(TALIS)報告書〉』(共訳、OECD編著、明石書店、2012年)、『移民の子どもと格差:学力を支える教育政策と実践』(共訳、OECD編著、明石書店、2011年)、『学校知識 カリキュラムの教育社会学:イギリス教育制度改革についての批判的検討』(共訳、ジェフ・ウィッティ著、明石書店、2009年)。
木下 江美(キノシタ エミ kinoshita emi)
2010年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。現在、一橋大学大学院社会学研究科特別研究員。専門は、教育思想史、比較教育学、生活誌研究。主な論文・訳書に、「教師の生活誌と近代教育:東ドイツ地域における転換期のライフヒストリー」(一橋大学大学院博士論文、2010年)、「近代教育と生活誌:研究方法論の日独比較が示唆するもの」(日本比較教育学会編『比較教育学研究』第41号、2010年)、『OECD教員白書:効果的な教育実践と学習環境をつくる〈第1回OECD国際教員指導環境調査(TALIS)報告書〉』(共訳、OECD編著、明石書店、2012年)、『移民の子どもと格差:学力を支える教育政策と実践』(共訳、OECD編著、明石書店、2011年)、『移民の子どもと学力:社会的背景が学習にどんな影響を与えるのか〈OECD-PISA 2003年調査 移民生徒の国際比較報告書〉』(共訳、OECD編著、明石書店、2007年)など。
三浦 綾希子(ミウラ アキコ miura akiko)
2013年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。現在、中京大学国際教養学部講師。専門は、教育社会学、異文化間教育学。主な論文に、「フィリピン系エスニック教会の教育的役割――世代によるニーズの差異に注目して」(日本教育社会学会編『教育社会学研究』90号、2012年)、「フィリピン系ニューカマーのネットワーク形成と教育資源――家事労働者の母親に注目して」(異文化間教育学会編『異文化間教育』37号、2013年)、「多文化地区における地域学習室の機能――ニューカマー1.5世を対象として」(日本移民学会編『移民研究年報』19号、2013年)、「2つの「ホーム」の間で――ニューカマー1.5世の帰属意識の変容と将来展望」(異文化間教育学会編『異文化間教育』40号、2014年近刊)など。
藤浪 海(フジナミ カイ fujinami kai)
2014年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在学中、日本学術振興会特別研究員DC1。専門は、国際社会学、国際移民研究。主な論文に、「沖縄系南米人とトランスナショナルなコミュニティの生成:横浜市鶴見区の複層的なネットワークを事例に」(一橋大学大学院修士論文、2014年)など。
タイトルヨミ
カナ:タヨウセイヲヒラクキョウシキョウイク
ローマ字:tayouseiohirakukyoushikyouiku

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