発売してから、どうですか(仮)
近刊検索デルタで発売前に話題になった本の書店や読者からの反響や、発売後の売れ行きなどを追っかけます。月イチ更新(予定)
今回は初の試みとして文学通信が再度の登場となります。教育のあり方まで巡って大きな議論を呼び起こした討論会は一冊の本に結実しました。さて、発売後の動きはどうなっているのでしょうか。
第14回 文学通信『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。』勝又基+猿倉信彦+前田賢一+渡部泰明+福田安典+飯倉洋一
1.発売前の反応はいかがでしたか?
本書はもともと、webで中継されたシンポジウムを元にした本でした。シンポ開催時、そのハッシュタグ「#古典は本当に必要なのか」は、Twitterのトレンド入りしたほどです。それから刊行まで9ヶ月かかってしまいました。その勢いにのっていけるかと思いきや、時間が開きすぎて、大きな反響を呼ぶというほどではありませんでした。ですが近刊検索デルタでは、1位をとりました。
2.発売後の読者や書店からの反響をお聞かせください。
発売後はじわじわと浸透していき、著者によりハッシュタグ「#こてほん」という新たなタグが付されたりと、上手く回りはじめました。Twitter上で意見表明が相次ぎました。書店員の方も見ていらしたらしく、その影響で注文が増えたりといったこともありました。
3.本書に続く企画などの予定はありますか?
今のところ予定はありません。ですが、国語教育関係の本を来年3月に出せそうです。分断されている文学研究と国語教育を架橋する本です。お楽しみに!
4.増刷の予定などがあれば、さしつかえのない範囲でお知らせください。
ようやく刷り部数の6割強出荷できたところです。増刷にはまだ時間がかかりそうです。とはいえ、発売2ヶ月でこの結果は優秀です。ほっとしています。
5.この本を読まれた読者にオススメしたい本はありますか?
本書には、こんな議論にそもそも乗ること自体がバカげているという意見から(それゆえ本書を手にとるまでもない)、学生を巻き込んで対応策まで考えてくれた方がいらっしゃったりなど、まさに賛否両論を巻き起こしています。それだけ受け手が試される問題を扱っているとも言えます。私自身は以下のようなことを考えながら出版しました。
●今度刊行する『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。』について(岡田圭介)
https://bungaku-report.com/blog/2019/09/post-601.html
そこにも書いたように、続きの言葉を紡いでほしいと思っています。
また本書のテーマは、単独で存在しているわけではなく、昨今の国語教育の問題ともリンクしているものです。その観点から以下の2冊は押さえておきたいところです。おすすめです。
○紅野謙介『国語教育の危機――大学入学共通テストと新学習指導要領』(ちくま新書)
○紅野謙介編『どうする? どうなる? これからの「国語」教育:大学入学共通テストと新学習指導要領をめぐる12の提言』(幻戯書房)
文学通信のOさん、再びの登場、ありがとうございます。文学通信は出版だけでなく国語教育や国文学の様々な情報のハブとしての活動も活発に行なっており、本当に頭が下がります。本書が国語教育に関心を持つより多くの方に届くことを願っております。
「発売してから、どうですか(仮)」では、今後も、発売前に話題を集めた本の発売後を追いかけます。次回は12月中旬公開予定。ご期待ください。
古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。
勝又基+猿倉信彦+前田賢一+渡部泰明+福田安典+飯倉洋一
2019年9月発売
978-4-909658-16-6
文学通信
国語教育の危機
――大学入学共通テストと新学習指導要領
紅野謙介
2018年9月発売
978-4-480-07171-2
筑摩書房
どうする? どうなる? これからの「国語」教育
大学入学共通テストと新学習指導要領をめぐる12の提言
紅野謙介 編
2019年7月発売
978-4-86488-173-9
幻戯書房